待ち合わせは鳥居の下 2
第四期:祭り囃子が聞こえる
弾むお喋り。あの人を待ちながら。
あ、アルバ達が闇クレープとかやってるけど…。 え、えと、普通のクレープ頼んでね…!そ、そしたら私やローラが精一杯作るから…! とはいっているが、その闇クレープを頼む頼まないももちろん本人次第である。
(傍らの友に、楽しそうに頷くが、続く説明に首を傾げる) ……普通? 闇? とはどういったものでしょう。 闇クレープ……黒かったり、するのですか? (そういう遊びに全く馴染みが無い様子で、不思議そうに見当外れな予想を口にする)
えっとね、や、闇クレープっていうのはね、 味の合う合わない関係なく、ランダムでクレープの具を入れちゃうの…。 あ、明らかに合わない食材もはいってるんだ…。すっごく辛いのとか、ま、マヨネーズとか…。 あ、アルバはいつも悪戯好きだけど、こ、今回はちょっと怒ってるの。 思い出し怒りでプリプリしている。
…なんかね、アルバが「もしオルゴーが闇クレープ頼んだらこれ名付けよう」って言ってたよ…。 なんだろうね…。 お、オルゴーのところお残しダメなんでしょう? し、心配だよ…。食べられない組み合わせになったりしたら。
それは……何とも危なっかしいクレープですね! 成程、それで闇ですか。
アルバさんらしいと言えばらしいですが、バラクさんもとなると強力タッグですねえ。
ちょっと興味はひかれますね……。
ああ、いやしかし、この祭りには冒険者の皆さんが多くご参加の様ですし。そんな危険なメニューをわざわざ頼むのも大体が冒険者なのではないでしょうか?
皆さん逞しいですから、食べ物ひとつでそうそう大変な事にはなりませんよ。
ですから、まあまあ……そんなお顔をなさっては、せっかくの装いが勿体ないですよ。
そんな貴女も可愛いと仰るかたと、これからお逢いになられるのでしょうけれど。
(ふふッ、と少々からかう様な笑みで)
そ、そうなんだよねえ…。
ぼ、冒険者の人殆ど闇クレープ頼むの。
ふ、普通のも頼んでくれるんだけど、だいたいセットだったりとか。
これから逢うだろう人物のことを言われて
へ?!…え、えと、お、怒った顔じゃなくて、え、笑顔で出迎えたいもの。
だ、だからもうおしまい!
プリプリ怒った顔を笑顔に戻した。
気持ちはわかりますね……ああ、いえ。ええ、何でもありませんよ。
(闇クレープにだいぶ興味をひかれている! やはり彼も冒険者のひとりだ)
(ぱっと怒り顔をやめたその瞳が、可愛らしい乙女の心情を物語っているのを見守り)
ふふ、ええ。その方が貴女らしくてずっと素敵ですよ。
出店、色々回られるのですよね?わたしは関与してないんですけど、
神父様がクッキーを焼いてらっしゃったので、洋菓子が恋しくなった時にでも顔を出してあげて下さい。
(周囲の話を聞きながら、後で行く出店のメモを取っているようだ)
ええと、クレープに射的に金魚すくいに……
楽しそうなお店が多くて目移りしちゃいますね。
改めて、話題は再びオルゴーの浴衣の話に。
はは、俺も似合っていて良かった。この白い浴衣はギシが「癒し系のイメージで」って選んでくれたんだよ。 …最初に、妙なキャッチコピー付きのギラギラした浴衣を面白がって勧められたのは内緒だ。
癒し系……成程。
真っ白ではなく縞があしらわれているのが、確かに柔らかいイメージでいいですね。
しかし、ギラギラな浴衣とは……君がそんな恰好で来ていたら一緒に回るのをやめたかも知れませんねえ。まあ冗談ですけれど。
(クラン仲間にからかわれている親友を想像して可笑しそうに笑いを堪えながら)
ちなみに、どんなキャッチコピーだったんです、それ?
あのギラギラ浴衣は、この賑やかなお祭りの提灯よりも目立つかもしれないな…そんなの着るわけがない!一目見た途端、踵を返されたら立ち直れないよ?!
キャッチコピー………聞くかい…?
「ヤバすぎる肉体美(ボディ)に漆黒(ダーク)の羽衣を纏う 堕天使たちのDancingNight―」
ああいう浴衣を着ている人を見かけたら、きっとその彼は漆黒の堕天使(ダークエンジェル)とやらなんだろうな…それに何、DancingNighって…?盆踊りの事…?
(ヤバすぎるキャッチコピー、そして祭り提灯よりもギラギラ目立つという情報から導き出された親友の『もしも』がネフライトの脳内を襲う!
それは、煌びやかなラメとスパンコールに全身満ち溢れ、無駄に漆黒の羽毛を散らした黒い薄絹を羽織って気取ったポーズを取った姿だった……)
……、…………ッ、ふふっ!!
(堪らず思わず景気よく噴き出したが、咄嗟に顔を背けるにのは成功した!)
……っ、いや、君がどんなおかしな様子だった、としても、踵を返したり、は……二度見くらいで、済ませま……ふふ、あッははは!
(涙ぐむ程ひとしきり笑ってしまって、やっと落ち着いてから) ……いや、すみませんねオルゴー。つい想像してしまって……。 君がそういうものを喜んで着るセンスではなくて、本当に良かったですよ、ええ……。 (油断すると思い出し笑いしそうです……と、まだ少し笑っている)
(想像上の親友のギラギラ姿に『漆黒の堕天使(ダークエンジェル)・オルゴー』という称号(?)が重なってしまい、ちょっと肩を震わせながら思い出し笑いしそうになるのを抑えている)
えぇ、忘れました、忘れました……思い出してしまうかも知れませんけど……ふ、ふふ!
とても楽しそうにオルゴーとじゃれあっているのを見て
ね、ネフライト、今日は本当に嬉しそう…。
実った稲穂が揺れてるみたい…!
更にオルゴーが着させられそうになっている浴衣の名前を聞いて噴出しているの見ると目を丸くして
わ…。ネフライトが噴出したの、は、初めてみた…。
(親友との気安さを驚かれて)
……いや、はしゃいでしまっていて、お恥ずかしい。
私も異国の祭りは初めてなもので普段よりもつい、心が浮き立ちまして。
しかし、先程から随分と詩的に表現して頂いてちょっと照れますねえ。
初めてなりに身を整えてみた甲斐がありましたよ。ありがとうございます。
祭りの喧騒を伴奏に、竹笛の音。
ピーヒャラピーと、楽しげな演奏に乗って、ふらりふらり、踊るように。
鳥居の下で見知った面々を見かけると、笛から唇を離して片手をあげる。
や、皆様お揃いで。楽しんでる?
挨拶を交わしつつ とことこと近づいたところで、
その中にアノチェセルの姿を見つけて。
……わ、ぅわ。
ゆかただーーーーーー!
何だか口を開けて固まっている。
喧騒の中から竹笛の音がする。
乱雑な音の洪水すらも、何かのバックミュージックに変えてしまうような。
ぴくん、と反応して。
あ…、あの音…。
その後、髪をアップにしたテルプが現れる。
見つけた途端に一目散に駆け寄ると、ちょっとだけ裾を掴んで。
て、テルプ…!
えへへ…た、たからもの、見つけた…!
満面の笑みを見せる。
犬耳と尻尾があったら喜びでぶんぶん千切れそうなほどだ。
あ、あれ?どうしたの?
か、固まってるよ?
(踊る様な、どこかで聞き覚えのある様なリズムに目を向けて)
――やあこれはテルプさん!
(こちらも片手を差し上げて挨拶を返すなり、あっという間に場を染めた恋人たちの幸せオーラを目を細めて見守った)
…ふふ、天野さんと話してた通りの反応ね。 テルプさん、彼女、どうですか?かわいいでしょ。 あなたが見たらびっくりするでしょうねってお話してたんですよ。 (ほぼほぼおせっかいのような)
……マジで、控えめに言って、激カワイイ。取り繕う余裕も無く、ストレートな感想。
なにそれすげー似合うじゃん! いつもの雰囲気も大好きだけど、おぉ、浴衣、いいねぇ…。
天野っちが着物きものうるさい理由も、ちょっと分かった気がする。すごく素敵じゃない!
いつもの如く、恥ずかしげもなく大声だ。
勿論、薬師のねーさんもすげー綺麗だけど、……ま、俺っちが言う必要も、無いよねぇ。
く、クレメンティ…!
あせあせと慌てる。さらにちらり、テルプの方を。
反応が気になって。
あ、あ…ありがとう…!
ストレートな感想に顔が熱くなるのを隠せない。
いつものマフラーも今日はない。俯いてしまう。
て、テルプも、す、すごく、素敵…。ゆ、浴衣、似合う…。あ、アップにしてるのも、か、か、かっこ…いいね…!
あ、天野、さんに着付けてもらったの?
天野っちに着付けて貰ったっていうか、無理矢理着せ替えられたっていうか。
すごい剣幕だった。ありゃもう、妖怪の一種だな。
…ていうか、天野っちは女子も着替えさせてんのか? うらやまけしからん。
本人は何かそういうリビドー的なもの、すごい枯れてるっぽいから、問題ないのかもしれなけど。
……お互いが宝って言ったら、友情だってそーじゃない。 何かふたり、最近仲良しさんだし、そーいう宝物も、いいよね♪
親友ですから! という言葉の瞬間、気のせいかいつもの癒やしの光的なものが大きくなった様に感じる。
へぇ、何か、にーさんはすごく明るくなった気がするな。
いや、物理的にじゃなくて、性格というか、雰囲気が?
(明るくなった、と評されてどこか嬉しそうに)
――ふふ、そうですか? こんな大きな祭りに親友と出掛けるなんて初めての経験なので。お恥ずかしながら、今宵は普段よりも少々浮かれてしまっている自覚はあるんですよ。
以前に、アティルトの広場に来ていたイズレーンの屋台へ連れ立ってみようかと話していたんですが機会を逃してしまって。今回はそれが思わぬ形で叶いましたので、余計に。
そうでなくとも、この賑やかな雰囲気の中ではつい浮き浮きしてしまいますけれど、ね。
と、周りを見渡して
あれ、イケメンのにーさんはまだ来てないのか。
(楽しみすぎて…正解!図星!恥ずかしさで赤くなる顔を団扇で隠して)
…えっと……ここのところは、あまりこういう(デートの)機会がなくて…。
浴衣を選びに行ったときから、二人で楽しみにしてたんです。
お祭りもわたしほとんど初めてだし、万一遅刻したり道に迷ったりしたらと思うと、その…
よく似合っている皆の浴衣姿を眺めながら。 いつしか話題は民族衣装の事に。
うーん、言い出しておいてなんだけどあまり詳しくはないかな?あっちの方面はなかなか行かないしね。 でも君の言うとおりマントやターバンで着込むイメージがあるよな。逆にマントの下は露出が高めな人も居るだろうね。素肌にベストとか…君はどっちかというと前者の方が似合いそうだけれども。
そうなんですか。長い冒険者生活の間、そちらに居た時期でもあったのかと思いましたが……森の民が厳しい乾燥地域に馴染むのも、大変そうですしね。
ああ、外側でしっかり熱などを遮断すれば下はむしろ薄着の方がいいというのは理に適っていそうです。そう考えると、砂漠の衣服は個人用のテントの様なものなのかも知れませんね。
ターバンやマント……ふふ、私に似合いますかね?
今回こうして実際に袖を通してみて、異国の衣類の楽しさに目覚めてしまった気もしますのでちょっと興味は湧きますよ。
んー? 南部の衣装はあれ、集落ごとで色々あるから、好みのやつ探してみると、面白いよ。そーいう、ターバン&マントの、いかにも砂漠ーっ ってやつから、うちの天野っちの着てるようなかっちりした感じのもある。こんな。 学ランの、詰め襟のような形に、首元で指を動かしている。
おや! 成程、そういえば南部はそういった集落や部族が数あるのでしたね。 ……そんなにデザインの幅があるものとは思いませんでした。 (かっちりした襟のものは熱をどう逃がすのでしょう……、などと呟きながら、身振りを交えた解り易い講釈に興味深そうに聴き入って)
何か、今回の浴衣屋みたいにさ、色んな地方の衣装着れるトコとかあれば楽しいのにな。 普段と違う格好してる皆を見るのって、すげー楽しそうだ。
おー、あの北のもっこもこのなぁ。一回着てみたいよなぁ。
そういえばテルプの衣装を借りたこともあったっけ…楽器があちこちについてて音楽に囲まれている感じで幸せだったよ。
テルプは何か着たい服、あるのかい?それとも人に着せたい服があるとか。(とアノチェセルをちらりと見ながら)
あー、そうだったそうだった、むっちゃ綺麗にして返してもらったんだった!
最近はちゃんと洗濯してるから、また着たくなったら貸すよー♪ ※ちゃんと=週に一回
着たい服、ねぇ。可愛くて色が綺麗でちゃらちゃらしたやつがいいなー。
人に着せたい服、は…。つられてアノチェセルに目をやって。
ウェディングドレス。とか、頭に浮かぶが流石にそれを口に出せるほどのリア充ではなかった!
ひとりにまにましつつ。うー…ん、あんま、考えたことない、かな…。(にまにま)
ああ、あの服ちゃんと洗濯するようになったのかい?それはよかった…(と言葉を間に受けて)
可愛くて色が綺麗でちゃらちゃら……ピエロみたいなものを想像してしまったけれど、そういうのでいいのかい?
(テルプのその幸せそうなにまにま顔を見て、ピンと。鈍感エルフにしては珍しく想像がついたらしい!)
ははっ、ひとまず浴衣姿が見れてよかったね!
ピエロ! いいね、あーいうの好みだ。
もうちょっと芸達者なら、大道芸人みたいなの、やりたかったなぁ。
あー、でも修行とか大変そうだ…。きっと俺っち、途中で投げ出しちゃうなぁ。
……へへ。うん、「ひとまず」な。
何かピンと来てるオルゴーさんの表情に、少々照れくさそうに。
(舞台に立ったと聞いて)
おや! 笛がお得意だったんですか、君は。舞台と言うからには多くの聴衆の前で、だったのでしょう? その腕前、ぜひ今度私にも聴かせてくださいよ。
(そこまで言って、あの幼い頃に首から下げていた物を思い出して)
……ああ。今でも、オカリナを吹くんですか?
ああ、笛はそこそこ自信があるんだよ!……笛はね。
オカリナ…、ああよく覚えていたな!あの青いオカリナ、懐かしいよ。
そういえば村を出てからオカリナを吹くことは無かったな…偶にはまたあの温もりのある笛の音を奏でるのもいいかもしれない。
お祭りで売ってないかな?
(笛はね、と注釈する親友に、可笑しそうに)
そうですね! せっかくの腕前も、笛では肝心の歌と両立が出来ないですからねえ。
君、そういえば他の楽器はどうなんですか? 竪琴やリュートとか、歌と両立出来るものは。
(売ってないかな? と聞いて)
おや、お祭りでは楽器も売っていたりするんですか?
もし売っていたら、ぜひ聴かせて貰いたいですね。君のオカリナ。
あの青いオカリナとその音色、とても君に似合っていましたよ。吹かなくなったなんて、何だか勿体ないですねえ……。
あー…竪琴とかリュートとかはね……練習中。(明らかに不得意ですって顔が隠し切れない)
ああ、オカリナなら楽器というよりおもちゃとして売ってそうだなって、そう思ったのさ。
そういえばあの青いオカリナ、気がついたら失くしてしまっていたんだよな…うん、手に入れたら吹いてみようか。
練習中……、ふふ、歌も楽器もでは前途多難ですねえ。
しかし、君には切磋琢磨できる時間はあるのですし、頑張ってくださいよ。
――もし、最終的にどうしても駄目だったら、私が君の楽師になりましょうかね?
たぶん、君よりはまあまあ出来ますよ。まあ冗談ですけれど。
(と、悪戯っぽく微笑んでみせる……「冗談」が楽師の方、まあまあ出来るの方、どちらに掛かっているのかは定かでない)
ああ、おもちゃとして! 成程……。
では売っていたらプレゼントしますから、音色で返してくださいね。ふふ、ありますかね?
失くしてしまった代わりには、ならないとわかっていますけれど、ね。
鳥居には様々な人が入れ替わり、立ち代わりやってきて。
オススメの出店や、自クランのお店の宣伝などの話が聞けた。
中でも皆の興味を引いたのは、変な飲み物が飲めるというお店の話。
横から失礼します。変な物とは…?薬品の類いでしょうか。
ああ、すみませんね。わたし仕事で薬を扱うので興味ありまして。後で行ってみようかしら…。
どんな効果が出たんですか?話せる範囲で教えて頂けます?
なんでもその液体を飲むと、身体に不思議な影響がでるらしい。 身体強化 感覚強化 相手の心を読めるようになったり、惚れ藥、興奮剤など…… 何とも怪しげな効果の出る飲み物が、ランダムで出てくるとか。 効果は一定時間で切れるものもあれば、永続的に続くことも…。
まあ、永続効果が出たんですか? そういう目に見えてわかるような効果って大抵長持ちしないものですけれど。 ますます興味が湧いてきたわ。詳しく調べさせてもらいたいところですが… 飲んだ方が手っ取り早いですかね。うふふ。(純粋な学術的興味!)
変な飲み物…?(クレメンティとの会話を聞きつつ)ほ…惚れ薬に心を読める薬?!
それはまた、随分波乱を呼びそうなものだな…。
俺のクランリーダーが、ノルマとして
「今日は1人1杯は『液体』を飲む事!」って言っていたんだけれど、もしかしてその屋台のことじゃ…(頭を抱える)
へぇ、惚れ薬。ていうか興奮剤。耳ざとく聞きつけて、ごくり、と思わず唾を飲む。
ね、にーさん、それ買えるってどの辺?
こっそり小声で問いかける。駄目な目的に使う気だ!
噂のそのお店の看板には「 液 体 」と書かれているそうな。 残念ながら、どんな効果の飲み物が出てくるかは運次第、ということらしいが。
へぇ、 液 体 。 … 液 体ィ ? 名前からして怪しそうだな。
そっかーー、運が良くないと当たらないかぁ。
しかし! 万にひとつの可能性に賭ける! それが男ってもんだろぉ? そうだろぉ?
思わず声に力が入り、おっと、と口元を抑えて小声に戻る。
OK、探してみるよ。ありがとなっ!
テルプさん、(小声で)…薬がご入用ならお値段は張るけどお売りしますよ?
ただ可愛い彼女が側にいる時に、そういう話をされるのはちょっとどうかと思いますよ。
…お楽しみになるのもいいけど、大切にしてあげて下さいね?余計なお世話でしょうけど。
(以前の贈り物の件でアノチェセルの事が心配なようだ)
えっ 買えるの? 思わず大声
えっと、えっと、ナンデモナイデスヨー
周りに取り繕うように笑いかけた後、再度小声になって。
いやね、ちょっと、……いつもと違うアノチェが見られたら、嬉しいなーなんて。
あぁ、でも、今のところ…、普段通りのアノチェってだけで、毎日新しい発見があるし、そんなトコ、どんどん好きになってくし、……しばらく、そういうの、必要無いかもしんないなぁ…。なんかこう、刺激が欲しくなってきたら頼むよ。
悪びれもせずにニシシと笑う。
(小声で)あら、お熱いですね。
わたし、あなた方には幸せになって欲しいわ。そのためにできることは何でもお手伝いするつもりです。勿論こういう薬は必要とされないのが一番ですが、…もし助けが必要なら言って下さいね。
値段はまけませんけど。ふふ。
ねーさん方もね、幸せに、なって欲しいよ?
俺っちの手伝い欲しかったら、いつでも言ってね。…ってのは
イケメンにーさんの方にも伝えてあるから、ね。
にこにこと、笑う。
イケナイ内緒話から顔を上げて。
アノチェはもう、どっかお店回った?
人形焼…、海鮮焼き…。(ごくり。) 何か腹減ってきたな。
取り出されたパンダのぬいぐるみに驚いて
わ、なにこれなんで動いてるの?! びびった、一瞬モンスターかと思った。
かわいい見た目に騙されると、ぷにっとやられる奴な。
へぇー、こりゃ、子どもたちが見たら喜ぶだろうなぁ。
えっと、ぬ、ぬいぐるみに、ま、魔法が込められてるみたい?
ど、どのぐらい、効力あるかは、わからないけど…。
ぬいぐるみが入っていた布袋から、アホ毛がぴょんと飛び跳ねて。もう一体もぞもぞしているのがわかる。
パンダの愛嬌のあるもふもふとした動きに興味津津。と、袋の中のぴょこんとしたものに気が付いて ん、なにこれもう一匹いるっぽい? アホ毛を引っ張りそうだ!
…………ナニコレ。ぽかんと、眺める。
え、えと…そ、そのぬいぐるみやさんで、わ、私が…つ、つくりました…。 て、テルプ探してるときに、つ、作りたく、なっちゃって…。ご、ごめんね…。 ばつが悪そうに。ぬいぐるみをぎゅっと抱き締める。
敬語になってるー!
いや、あやまらなくても、いいんだけど。……上手だね。細かいとこまで。
おーおー、こんなアホ毛まで。
服の装飾や生地などにこだわりが見えて、よく見てくれているのだなぁと嬉しい気持ちにもなるが、やはり少々恥ずかしいというか、その場所は俺のだ、的な複雑な気持ちもあるらしく
てるぷにんぎょうのおでこあたりをつんつん突いて、バランスを崩すのを楽しんでみる。
だ、だって…その…。み、見てるから…。お、覚えてて…。 も、もしテルプが見つからなくても、こ、心強いし…。 複雑な表情を読み取って首を傾げるアノチェを、さらに人形が空気を呼んだのか胸の中から別の場所に移動する
(魔法がこめられたとの動くぬいぐるみを、驚きつつもその楽し気な動きを目で追って。人形の姿が恋人である事やその作成経緯が微笑まし過ぎて、つい笑い声が出る)
……ふふッ、これは何とも可愛らしいですねえ!
(ぬいぐるみ作りを勧められて、その意外性にちょっと目を瞠って) ……私が、ですか? いえいえ、私は手元の器用さには自信が無い、と自信を持って言えてしまいますので。針や糸を持った事もありませんし、残念ながら無理でしょうね。
へ!?…えと… ううん?お、教えてない…よ。
ま、魔法で動かしてもらってからずっと、この…なき…ごえで…。
な、なんでだろう…。
…えと…な、なんだろうね…。…な、なんだろう…。
自分の特別な呼び名だという事は…恥ずかしくていえなくて
も、もう…この子は…。
てるぷにんぎょうを突きながら物凄く真っ赤になっているしゅうしゅう湯気を出し始めた
いや本当にお上手ですよ。作りに愛情を感じますねえ!
一針一針心を篭めて愛らしい分身を作って貰えるとは、テルプさんも果報者でいらっしゃる。
(教えていない、と照れる様子から「のちぇ=ノチェ」で、おそらく彼女の愛称であるらしい事を推し量って。しかし真っ赤になっている彼女をそれ以上追及する事はせず、密かに心に仕舞った)
おや、そうなのですか。
オルゴーの言う様に、とても似合っていて可愛らしい鳴き声だったもので。ふふ!
しかし、もしオルゴーのぬいぐるみを動かして頂いたら、何と鳴くのか興味はありますねえ。
(こめつぶー! とか、でしょうか。と、それを想像したか楽しそうに笑う)
そ、そか。うん、まぁ、よく見ててくれて嬉しいっていうか。…あ、ありがと。(?)
飛びついてきたぬいぐるみが、よじのぼってくるのを眺めている
何か、自分にそっくりな子供みたいだ。 \ノチェー/
こ、こ、こここども…!こども…。
想像した途端に、もうもうと顔から湯気を出して。
…い、言われてみたら…。
そ、そんなつもりじゃ…なかったんだけど…。
のちぇのちぇ言っているぬいぐるみをそっとまた、布袋にしまった。
(カラコロとさわがしく下駄の音を響かせてやって来る男がひとり。目当ての人物に駆け寄るとまずは上から下まで眺めて一言)
控え目に言って、超カワイイ。知ってたけど!知ってたけどー!
(余裕がなくなると男は同じような言葉を発するのか)
…は。すいません、クレメンティ。お待たせしました。
(少し周りを見渡して)
何か話してました?…淋しくはさせなかったようで、良かった。
イラスト:かげつき
ライノさ…!(喜びの色は褒められた恥ずかしさに取って代わられたようだ)
……。試着の時にも見たでしょ…。もう…。
全然待ってなんか…この賑わいですし休憩されている方も多くて、退屈せずに済みましたよ。
浴衣姿、あなたもすごく素敵よ。うふふ、色々案内して下さいね。
(カップルが増えた!)
よおオルゴー。…意外とエルフにも着物って合うもんだな。
いやお前さんだからか?
…あぁ、これか?どこかの物好き、ならぬ鈴木のファンがその良さを広めようと出資があってな、鈴木のお面屋を出店してるんだ。
すごいぞ、鈴木だらけだ。一見の価値はあると思うから、まぁ暇なら見に行ってやってくれ。鈴木が喜ぶ。
(差し出された手を掴む…のではなく、腕を取って、もたれかかるように) うふふ?今日は全部お任せでいいですか? 行きたいところもあるんですけど…あなたは来たばかりですし。 何より、わたしが選んでるとすぐはぐれちゃいそう。着いて行きますね。
任されました。…ふふ、祭りは楽しんだもの勝ちですから。早速行きましょうか。 ここに来るまでにも色々面白そうなのがあって…貴方と一緒に行きたいなって。 …ね?ほらもっと寄って。人がすごいから。
もっと…?こう?この格好、歩きにくいからゆっくり歩いて下さいね。
(と、腕に抱きつくようにして。離れるつもりはなさそうだ)
ふふ。それじゃ、そういうことですので。失礼しますね。
皆様もよきお祭りを。
(リア充が野に解き放たれた…)
ああ、ゆかれるのですね!
おふたり共、どうぞお気をつけて楽しんでいらしてください。
(ふたりの間でふわふわと撒き散らされ続ける親密幸せオーラを見守りながら)
……いや、こうお似合いの方々が複数いらっしゃると、屋台から漂う香りだけではなくこの辺りの空気そのものが暖かくて甘い気もしてきますねえ。
(どうもご馳走様です、とちょっと揶揄う様に笑い掛ける)
ライノさんが現れるとすごく雰囲気が変わるなぁ、と、しみじみとクレメンティさんを眺めている
あ、あぁ、行ってらっしゃい……。手を振って見送って。
んーっと、俺らも、行くか?
アノチェセルに問いかける。
(手を振っていると、遠くからオルゴーを呼ぶ声がする。
声の方を振り向くと、人の行き交う通りの中でオレンジ髪の娘が何かの入った袋を片手に大きく手を振っている)
あ、プレーンだ。
ん…なんだって?「し じ ミ ント…食ってけ……?」
……なんだろう、しじミントって……。
ああ、すまないネフライト。ちょっと行ってくるよ。
みんなともまたお祭りの中で会えるといいな!
(にっこりと微笑むと娘の方へ向かって歩いていった。しじミントが何だかも知らずに)
おや、プレーンさんですか?
……彼女も素敵な浴衣姿ですねえ! 鮮やかな青とは意外な感じです。
(しじ……ミント? と、続く友の言葉に自分も首を傾げて)
ああ、いえオルゴー。それなら私も一緒に行きますよ。
そのミント? が気になりますし、そろそろ私たちも屋台を回りましょう。
このくらい間を空ければ、先にゆかれたお熱い方々の後をすぐに追いかける無粋もしなくて済むでしょうし、ね。
(鳥居に立つ人々へと微笑んで会釈をして)
それでは、
お互い、良い夜と祭りを楽しみましょう!
(呼ばれた方へと行く親友の後に続いて、楽しそうに鳥居を去っていった)
佇む鳥居をくぐってお祭りに向かう人々。 祭の夜は、まだまだ続くようだ……。