祭の後
第四期:祭り囃子が聞こえる
お片付けまでがお祭りです。
お祭りの後。
あちらこちらの屋台が爆発オチで幕を閉じる合間を縫って、
浴衣貸出所で片付けをする天野の元へと。
お疲れ様でしたー。
どうでした? 天野さん。十分堪能出来ました?
全く、僕らだけでは飽きたらず、通りすがりの女性をひん剥いてたって話を聞きましたが、警察にお世話になる準備はできてるんです?
人聞きの悪い事を言うな。
いや、しかし、大変楽しかったし、幸せな時間であったよ。
この、和の雰囲気に慣れていただき、和食や和風建築など、様々な分野に興味を持っていただくこと、それが己(おれ)の一番の幸せである。
……何の回し者なんですか…。
おーっす。
なんかさぁ、そろそろ爆発でもするかなぁって思って覗きに来たんだけど…、別に何もおこらないっぽい?
浴衣は大切であるからなっ?! 燃やさないでくれたまえよ!?
んー、何もおこらないなら、俺っちアノチェと一緒に帰るねー。ばいばーい。
あ、テルプさん、猫焼き! 持って行ってくださいよ。 あんま食べ歩きしてなかったでしょ? アノチェさんにもよかったら持たせてあげてください。 すっごくいっぱいあるので! 猫焼きを 2袋ほど手渡して
んじゃ、僕も帰りますね。人混みは、苦手で…疲れました。
……まぁ、楽しかったですけど、ね。という言葉はぼそぼそと口の中で。
天野さんはお片付けがんばってください。
あっさりと、放って帰る。
ここのクランにわきあいあいという文字が似合う様になるのはいつの日なのか…。
ふふふ、眼福であったなぁ。
ごきげんな様子で、着付けに来てくれた人達と、出店の数々を思い起こして。
ほくほくの笑顔で、後片付けを済ませたのでした。
……皆、感謝である。
★ 返却のためのカゴと、書き置きが ★
貸し出した衣装一式、気に入ったなら貰ってくれたまえ。
この祭を思い出して、たまにまた着てくれると幸いである。
さて
天野が帰った後……
わー帰ったと思ったこんこんさんがいるぞ! 時空の歪みだー!!
楽しい時間と場所をくれてありがとねー。
んん? そのうちココが消えるんだったら
もしかして爆発したうちの屋台の片付けしなくても良い?
ともちらっと思ったけどちゃんと片付けていくね!
発つ鳥あとを濁さず! あっオレどっちかというとウサギだった!!
ゆがんでるからね! しかたないね!
液体屋さんはホントいい仕事してて、GJと言わざるをえないよ!
最後は爆発。基本だよね。
片付け、ありがとう!
そういう気持ち、みたいなものが、この世界には必要なんだ。
そこに存在した…「かつてあったもの」が美しく在るためにね。
…僕も本当にたのしかった! 至らぬ点もたくさんあったと思うけれど
素晴らしいエンターテイナーが集まってくれて、楽しくないはずがない!
っていうのが僕の感想だ。みんなすごいね。
黄金よりも煌めくもの。君たちを。僕も忘れないよ。
イラスト:かげつき
みんなーーー! たのしかったよー!
ありがとー! じゃあ……またね!
たくさんのお土産を手に、最後の挨拶。
何よりのおみやげは、とても楽しい思い出の数々。
みんなの心にも、残りますように…。
*・゜゜・*:.。..。.:*・゜。*
魔法のちからが薄くなり、場が、形を保てなくなったように、溶けていくように。
現実の世界へと戻っていった冒険者達を、黄昏色が見送るように最後に揺らめいて…
やがて、夜の闇へと消えて行った。
〜〜 完全閉幕 〜〜