その槍の先

第四期:いつもの

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真っ直ぐに、前だけを見つめるふたりの槍使い。

カチュア 17q3


(クランを訪れると槍を振るう男が目に入る。しばらく食い入るように見つめ、一息ついたと思うところで話しかける)

…失礼、一突き隊のカチュアよ。 日頃は冒険につきあってくれて感謝するわ。 アナタ達は何を言いつつも頼りになるもの、冒険者としてはそれで充分よね?
今日はそのお礼と思って、クッキー… 漢方入りクッキーね、苦くはないわよ?ちゃんと甘い、はず。 …受け取ってもらえるかしら? (と、クッキーの入った包みを差し出す)

天野 輝樹  1btg

大きく息を吐いたところで声をかけられて、そこで初めて気がついたかのような素振りで、ゆっくりと顔を上げる。 手ぬぐいで、運動量の割に控えめな汗を拭いつつ。 おお、かちゅあ殿。いつも世話になっておるよ。

…漢方。ほぅ、薬膳というやつだな。 東方の食の考え方というのは、武術の心得とどこか繋がっている様にも感じる。 何事も大切なのは根底である事だな。戦いであれば心根、という事だ。 有難く、頂こう。 丁寧に一礼して受け取る。甘い「はず」というやや不穏な発言には気づいてないのか何なのか。

──……一手、手合わせどうだ。
練習用の槍を二本手に取って、一本相手に渡そうと。 受け取って貰えたなら間合いを取り構えるだろう。

カチュア 17q3

そうね、…同感だわ。…信念のない刃に力はない。
(似ている、と思う。得物が、戦いで見える高揚が、考え方が…近いと。だから知りたい、その根底を)

…ワタシが勝ったら、アナタが何のために戦っているのか、教えて?
(槍を受け取りつつ、告げる。そして同じく間合いを取り、静かに構えた)

ダイス省略の戦闘ロールです
天野 輝樹  1btg

受けてくれた事に、ニヤリと不敵に笑う。ずっと、一度、合わせてみたいと思っていたのだ。

穂先が触れる程度の間合いで腰を落とし。 目線が合うのと同時に。ピンと空気が張り詰める。 一歩、二歩、じりじりと間合いを変えない足運びで。 半歩、踏み込んで見せ、相手の突きを誘いつつ一歩引く様に。

相手に「打たせる」試合が得意だ。うまく乗ってくれるかどうか。

カチュア 17q3

(交える前から、こんなに楽しいのは…久方ぶりね)
(静かな緊張の中、どうしたものかと彼女は考える。構える相手は、守りに長けている。…あの男より堅さで言えば勝っているだろう。現に誘っている、こちらの一歩を。単純な攻撃は逆に相手の機になる。ならば、待つ?こちらが守るべきか、いやそれはない。)
(やはり相手は守りに長けているのだから。生半可な守りなど意味はない)

………
(槍を握る手に力が籠る、顔の笑みが深くなるーーーならば貫くのみ。いいわ、乗ってあげる)

……
(ワタシにはこの槍一本の間合いで充分なのよ)

…っ
(相手が引くのに合わせ、跳ねるように一歩踏み出し最速に乗るとそのまま槍を突き出した)

天野 輝樹  1btg

そうだ来い。すべてを乗せて、突いて来い!

相手の後ろ足が大地を蹴り、筋肉が収縮するその瞬間に 間合いを外すように体重を後ろへと引いて。 真っ直ぐな。彼女らしい真っ直ぐな一筋が、一条の光となって、ただ前へと。


……っ
まさに全身全霊を乗せたような一撃は、天野の予想を超えて、眼前へ、…その先まで。伸びる。 ならば、と迎える穂先を滑らせるように相手の勢いをいなし、そのまま突きを叩きこもうと。

カチュア 17q3

(…っ届けっ!!)
(一線が白い頬をかすめ、一線が赤い髪をかすめた。些細な差とはいえ、差であることには間違いない。にたりとまた笑みをゆがめて少女は問う。)

…手合せとしては満足したでしょう? (これ以上を楽しむならそれはきっと手合せとは言えないわ、と思いまたわらう)
ねぇ、天野輝樹?
(ねだる様に名を呼んだ)

天野輝樹 1btg

跳躍力と瞬発力、力強さ。何よりも、気合。 彼女の小さな身体に秘められた溢れんばかりのまぶしい力が常に行き場を求めて張り詰めていて、 それがこの一点を目指して爆発したような勢いを感じた。 一寸、間合いが違ったならば、喉元を切り裂かれていただろうと思う。

……お見事。
敬意を込めて。槍を引くと丁寧に一礼を。
「本番」を、いつか迎えられればと、切に願うよ。かちゅあ殿。
その本気の太刀筋を、自分に向けられる殺意を、感じられたならば最高の気分であるのだろう。ひどく焦がれるが。 ただ今はそれは成すべきことでは無く。今はその時では無く。

名残惜しそうに、表情を緩めた。

イラスト:かげつき

天野 輝樹  1btg

……さて。君の勝ちだ。 何が聞きたいと? 己(おれ)の戦う、理由、だったか。 少し考えるような素振りを見せて

赤坂 天矢  1btg

お、落ち着きました? カチュアさん。天野さんも。 張り詰めた戦いの空気が緩んだのを確認して。おずおずと遠慮がちに
よろしければ、部屋に珈琲を用意しましたから、中、どうぞ。 どちらもお怪我、してませんか?

天野 輝樹  1btg

……ふむ。少し休むか。

カチュアさんから槍を受け取ると、静かに扉の中へと。 途中、一度振り返り、共に来るよう促す様に。

  1btg

珈琲の香り。カフェオレに出来るようにミルクも用意されている。

カチュア 17q3

(雷鳴の如く…か)

(まさに痺れるような一筋であった、もしもそれに貫かれたら、その時は……とその感慨にふさわしい表現に悩んでいると赤坂に声をかけられ)

…ワタシ、珈琲ってあまり好みじゃないのよね。 (ミルクだけでいいわ、とカップに口をつける。一息つくと、語られる言葉を待った)

天野 輝樹  1btg

己(おれ)も、……緑茶を入れなおしても構わんか。 というか、何故人の好みも聞かずに珈琲を入れるのか。

赤坂 天矢  1btg

…あわよくば、珈琲の美味しさに目覚めていただこうかと。いいですよーだ珈琲は僕が飲みますから… 少々拗ねたように、あーおいしいなぁ、とかひとりでつぶやいている。

天野 輝樹  1btg

そんな赤坂を無視して急須にお湯を注ぐと、少女と向い合せに席についた。
何の為に、か。……若い時には考えたこともあったが。 随分と老熟した様な言い回し。

そうだな。我が為すべき事が正しいと信じるが故。 其れが己(おれ)の存在する意味であり、道である故だ。

天野 輝樹  1btg

机の上で手を組み、真っ直ぐに彼女の目を見据える様に。 睨むような、挑発的なと評される事もあったが、己(おれ)はこういう対し方しか知らぬ。

かちゅあ殿。君が行く道はどうだ。 其れが正しくともそうでなくとも…、君は自分の往く道に後悔せぬか。 それならば己(おれ)は君の未来を祝福しよう。共に武の道を歩く者として。 目を逸らさぬままで、口元だけで笑みを。

──どうだ。

カチュア 17q3

(貫くようなその眼差しに真っ向から対し)

…どうだ? 何よ、天野輝樹。ワタシの返答が欲しいの? …嫌よ。これは勝者への捧げものでしょう?
でも、そうね。 (あぁ、やはり、ワタシとこの男はーーー。一等少女らしく微笑み、告げる)

…願わくは、アナタの巡りに幸運があらんことを。…アナタの祝福に感謝して。 ……そして、共に武の道を歩く者として。
──どうかしら?
(最後までその視線を外すことはなかった)

天野 輝樹  1btg

幸福は、な。……もう約束されているのだ。しかし、有難う。感謝する。 誇らしげに言い放つと、にこりと笑う。

何処までも往こう。 手にした湯のみで、乾杯のポーズを。 ──前途に。

カチュア 17q3

…そう、それはいいことね。 (心からそう思うと) 何処までも貫き通す。 (カップを掲げて、乾杯のポーズを取る)
──前途に。


……ふふ、ミルクとお茶の湯飲みで乾杯っておかしいわね。 (くすくすと、緩んだ頬に気づいて)ワタシ、ここに来てからずっと楽しかったみたい。

…ありがとう、天野輝樹。 (独り拗ねている赤坂に向かって)それに赤坂も。このミルク忘れられない味になったわ。
ではこれで。長居してしまったわね。 あぁ、手合せならいつでも受けるわよ? …この巡りに感謝を。

天野 輝樹  1btg

……そう、たまに、同じ様に歩いている者を見ると。楽しくなる。 こちらこそ、有難う。良い時間を過ごさせて頂いた。

では、な。かちゅあ殿。 また、是非に。槍を交えたい。……出来れば近いうちに、な。

赤坂 天矢  1btg

ミルクの味と一緒に、珈琲の香りを、思い出してくださってもいいんですよ! 珈琲アピールを忘れぬ伝道師であった。