ねこもふ魔王 再誕
第ニ期:何気ない日常への
ここはオーラム共和王国の海辺の町、海都カイム。
イズレーン皇国やヴァルトリエ帝国とも取引を行う貿易港であり、
オーラムの海の玄関口として栄えていた。
カイムの、とある酒場の、その上の。狭い階段を登り、小さな入口をくぐった
屋根裏部屋に、クラン「まふら〜と猫」のメンバーは住んでいた。
せとれっと殿。せとれっと殿はご在宅か。
(身体をそこかしこにぶつけながら、のしのしと大きな動作でやってくる。槍はつっかえたので下階に置いてきたようだ)
先日は、嫌な思いをさせて申し訳なかったと思い詫びに参ったのだが。
ほら。か、かに缶だぞ…ほら…。
(かに缶を、左手の爪でカチカチ鳴らして音を出しつつ、右手を撫でたさの余り、わきわきさせて)
否、や、やさしく。待ちの姿勢…。(なんかひとりでぶつぶつ言ってる)
あっ…! ねこもふ まおう…!
あ、あまの、ど、ど、どうしたの!?
(恐る恐る近づくうちに、かに缶の存在を知り)
かに缶だー!!!ちょうだい!ちょうだい!!
(一気に距離を詰め、ぴょんぴょん飛び跳ねながらカニ缶をねだる)
…こら。食べ物を持っているからと、誰かれ構わず近付いてはならぬと教わらなかったか。
もう少し、警戒心を持つがいい。
(近づいてきたネコミミにうずうずしつつ)
は、はなびら。はなびらのように。
(アノチェセルさんに教わった奥義(?)を唱えつつゆっくりと右手で、髪に触れるように)
そう言われると、コルトにもそんなこと言われた気がする!
けいか石?わかった!今度、かわらでひろってくるよ!! たくさんとれたらあまのにもあげる!
(嬉しそうにかに缶を開けてつまみ食いを始める)
ん??頭に何かふい、ごくん、つ、ついてる??
(かにを食べながら大人しく撫でられる)
お…おお…。(やわらかい!!!)
(喜びと興奮のあまりじわじわと撫でる手に力が込もる。わしわしわし。…い、いかんいかん。はなびら…はなびら…。震える右手の黒き衝動を押さえつけつつ、なでりなでり)
せ、せ、せとれっと殿。
ひ、膝に、乗っても、良いぞ?
〜♪
(かににご機嫌で力がこもったわしわしわし、にもニコニコしている! 撫でられて、あほ毛が引っ込んだりまた飛び上がったりを繰り返している。アノチェセルさんに教わった奥義は成功しているようだ。心地好さそうにしている)
ひざ?わーい乗る!!
(天野さんの膝にセトレットが立った!セトレットの尻尾が天野さんの顔に当たりそうになっている)
よーし!あまの!このあとは、肩ぐるまね!!肩ぐるまー!肩ぐるまー!!
(もし猫モードがお望みでしたら”まふら〜は ほどけやすくなっているようだ!”
おお、肩車か。任せろ。
(そう言ってセトレットさんの両脇に両手を入れてひょいと持ち上げ…ようとして。
"まふら〜がふわりとほどけた!" わぁい! にゃんこモード! )
(ふんわりと やさしい やわらかな だきごこち)
にゃ…にゃーーーーーーーーーーー!!
(思わず抱え込み、全力で両手で撫で回す!
セトレットさんを襲う、蘇るまおうの所業! 嗚呼!)
イラスト:まふら〜と猫 さま
(もふもふもふ… ひとしきり撫で回し満足し。
はっと、我に返ると、目の前にはすっかりあほ毛にまみれてしまったセトレットさんの姿…。愕然とその場に膝を付いて頭を垂れる…)
嗚呼…、此の手は… 己(おれ)の手は、また猫を傷つけてしまうのか…。
(震える手に残る柔らかな感触。暖かな手触り…。蘇る喜び…。うずうず。もふ意の波動(?)に飲み込まれ、再びセトレットさんに手を伸ばす)
猫殿、…もう少し、もう少し頑張れるな?!
(突っ張った手の真ん中にあるのは猫好きが残らずきゅん死するというあの。)
に、肉球……!
(ぷにぷにぷにぷに)(もふもふもふもふ)(堪能)
ふぅ…。
は、はなびら、はなびら…。(時すでに遅しという気がする!)
……精神面の修行が…まだ足りぬようだ。出直してくるしかあるまい…。
せとれっと殿。すまない。
(無抵抗でキックを受ける。自業自得であるという様に。がくりとうなだれてはいるが、もふもふ分をたっぷり補給したので何となくお肌つやつや)
ああ、そうだ。こちらはご友人と分けてくれ給え。
(籠いっぱいの林檎をそっと部屋の入口に置くと、頭をぶつけながら退室)
……また来る。(悪魔のような言葉を残して)
うぐぐ…はっ!!アズのうらぎりもの〜!!
もうっ!もうっ!!あまの、もう、ゆるさない!!
カニをひゃっこ持ってこないと、ぜ〜〜ったいに、ゆるさない!!
(怒りながらタリアさんがくれたブラシで毛並みを整えていると、林檎の入った籠に気付き)
あっりんご…!!か、カニじゃないから…ゆるさないぞ…!
(と、言いながら林檎を取り出して転がして遊び始める。罰当たりだ。
この様子だと何日かしたらまた忘れそうな気もする…)
ゆるさない、と言いながらもクリスマスにはおいしいごはんをお届けに来てくれたセトレット君だった。 流石に、ひどい目にあった事は忘れてはいなかったようだが…。
(今日は長居するつもりはないのか、玄関口に来て)
こんばんは!!めりくり!!
…あまのいないよね?いないよね!??
(今日は心の準備がまだできていないのか、きょろきょろおどおどしている)
これめりくりのプレゼント!
魚と〜ぶどうジュース(ワインではない)と〜チーズと〜とり肉!
あと、じゃ〜ん!けいか石(ただの石)!あまのに、わたしておいて!
それじゃまたね!!
お、やっほー♪ いらっしゃい!
天野っち? 出掛けてるみたいだよ。
…何か天野っち、こないだにゃんこの家に遊びに行った後、
がっくりして帰ってきたけど…。
なるほど、大失敗した感じだねぇ。
(珍しく怯えたような様子を見せるセトレットさんを見て苦笑)
プレゼント!
うっわ、ありがとう! 美味しそうだねぇ!
……けいか石……珪化石? 天野っち、石に興味あったんだ? 了解。渡しとくよー。
(しかしただの石ころ。?マークを表情に浮かべつつ)
今日は豪華なごはんだー、嬉しいな♪
みんなで食べるよ、有難う!
(もらったごはんを抱えてにこにこと見送った)
イラスト:かげつき
「……そいうえば昔、このような格好をして、子供らに玩具を配ったことがあったな。」
「えっへっへ、クリスマスの飾り、きれーだよねぇ。
俺っち、こーいうの見るの、大好きだ」
「プレゼント、……珈琲豆ならありますけれど…
持って行きます?」