白狼からの手紙

第ニ期:二度目の巡りで

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ビリーさんの手紙を受け取って……、彼の家族に、触れて。
ビリー 1cmb

(トン、トントン)
(開いた戸を叩き手を振っている)

赤坂 天矢  1btg

あ、ビリーさん、こんにちは。 どうです? その後、落ち着かれました? 珈琲飲みますよね。どうぞ。
(中へと促しながら、いそいそと珈琲の準備をしている)

ビリー 1cmb

”まあまあかな。道中で冒険者に会っては成り行きで同行したりとか・・・”
(ああどうも、と部屋の中に入る)

赤坂 天矢  1btg

ああ、それは、良かった。一人じゃ、味気ないですもんね。 冒険者の皆さんは、懐の深い人が多いですし。有難いです。
ビリーさんタイミングいいですねぇ。先日丁度また新しい豆を買ってきたんですよ。 ゆっくりしていってくださいね。 ──それとも、何か、進展とかありました?
(カップに注いだ珈琲を、そっとビリーさんの方に置き、伺うように目を見る)

ビリー 1cmb

(コーヒーを受け取り暖を取る。 とはいっても書きながらなので片手でペンを動かし)
”いい香りだ”
(ふう、と一息入れ、コーヒーを啜り始めた)
”進展か・・・今のところはないな。・・・そうだな、変わったことといったら 最近森に立ち入る奴が増えた、ってところか? あまり奥地に来てほしくはないもんだ。仕事が増える”

赤坂 天矢  1btg

そういえば、人間の身体の時よりも、鼻、利くんでしょうかね。 珈琲の香りとかより感じられるんだろうか。ちょっと羨ましいな…。 (自分も珈琲の香りを楽しみつつ)
…森? 仕事? 精霊を守る、とかおっしゃってましたっけ。

ビリー 1cmb

(ああそうだな、と赤坂に目を移し)
"豆の他に、水とか、空気とか。違いはわかりやすいな。 いいことだけじゃない。香水や匂いのきつい物は卒倒しそうになる"
(赤坂の問いに頷き)
”精霊を崇める信者やトレジャーハンターは俺のことを『墓守』と呼んでいるようだ。精霊の祠に入ろうとする輩を追い払うくらいかな、今の落ち着き具合だと”
(書き終えたところで再度コーヒーを啜り)
"そうだ土産と本題"
(ビリーは アケビ丁寧に封された手紙 を取り出した)

赤坂 天矢  1btg

あけび! うわ、なつかしい! ちっちゃい頃よく食べた!
(幼い頃に戻った様な気持ちになったのか、一瞬、取り繕った口調が崩れた気がする)
あ、有難うございます。テルプさんすごく果物とか好きで…。 天野さんも、トロピカルじゃないフルーツが恋しいようで、 ああ、二人共喜びます。
(手紙を丁寧に受け取って)
はい、確かに、承りました。 えっと、どのように受け取ったと伝えればいいでしょう。 旅の途中で会った、とか? そんな感じでいいのかな。 そういえば僕ちょっと、臨機応変な対応は苦手な方です。
(急に緊張したような面持ちに)

ビリー 1cmb

(アケビを受け取った赤坂に目を細め)
"森で採れるものなら持ってくるから、いつでも言ってくれ。そこは広いし・・・今度コーヒーの苗を育ててみようかと思っている"

(妻の前で慌てふためく赤坂を想像した。こりゃ、変に取り繕わないほうがいいか。)
"妻にだったらあったことをそのまま話しても構わない。一応、今仮暮らししている小屋の位置も、知っているしな”
(辿り着けるかどうかはともかく。と肩をすくめ)

赤坂 天矢  1btg

珈琲の苗!!! そ、それは、非常に魅力的ですね!? う、そうか、育てる所まで気が回らなかった…。 そ、育てる。この手で。豆を。 い、いいですね。もし、収穫したら、味を、そしていずれ育てるノウハウを。
(かなり興奮気味に身を乗り出して、我に返って着席)
えっと、そうそう、そうか、チェイネルさんはご存知なんでしたね。 じゃあ、お子さんへの説明は、チェイネルさんにお任せする形にして…。 うん、それなら、大丈夫そうです。お任せください。

イラスト:Герои さま

ビリー 1cmb

(興味津々な赤坂に尻尾を振り)
"苗が育ったら見に来るといい。工程を知るのも楽しいだろ?"
(懐から手帳を取り出し、気になる苗のリストを書き出したページを開く。どれがいいだろうか、と言いたいようで。反応を伺っているようだ)
"ああ、頼んだ。別に急がなくていいからな。"

赤坂 天矢  1btg

(手帳を覗き込みながら、ふんふんと頷き)
どうでしょう、ビリーさんも珈琲を育てるのは初めてなんですよね?  奥さんと一緒に土いじりとかもなさってたんです?
(チェイネルさんと共に、もふもふと花畑を管理している狼ビリーさんを想像し、 いや、手伝ってたとしても、もふもふの時じゃないから、と頭を振る)

うーん、最初は育てやすいのがいいと思うんですけど、 正直、苗に関しては全く知識が無いですね…。 気候に合わせて、その土地で古くから栽培されているものが 土壌にあったものだとは思うのですが。 北の方…でしたっけ? そちらはは栽培例が少なかったように思いますし。
(これか、これ…でしょうかね…。と、寒さに強いと言われるいくつかの品種をピックアップ)

ビリー 1cmb

”一応手伝ってはいたが、コーヒーは初めてだな。苦労しそうだ”
(頭を振る赤坂を不思議そうに見つめ首をかしげる)
”だな、ノイゼントルムは作物の種類が少ないから、絞り込むのは楽なんだが。”
(ピックアップしてもらった苗に線を引き)
”頭を使うのは苦手だ” (気が抜けたのかくぅん、と鼻を鳴らす)

”ああ、もうこんな時間か。つき合わせてすまなかったな。また豆のことで進展があったら立ち寄るよ” (それじゃ、と立ち上がりコーヒーを飲み干す)

テルプ・シコラ  1btg

(扉を開けてばたばたと駆け込んでくる)
ただいまーーー♪ っと、もふもふにーさん、来てたんだ!  と思ったら、もう帰るのか。わーーい間に合ってよかったよぅ♪  相変わらず良い毛並みだねぇ。ブラッシングとかしてんの? (もふもふもふもふ)

赤坂 天矢  1btg

あ…、あ。(ぼくももふりたい と 目で訴えている)

ビリー 1cmb

(突然はいってきたテルプに驚き、尻尾をぶわ、と膨らませ)
・・・ (とりあえずされるがままモフられている。赤坂をちら、と伺った後、くるか?と手招き)
(なんだか遊園地のきぐるみになった気分だ。まあ、悪くないが。)

赤坂 天矢  1btg

(あからさまに嬉しそうな表情でおずおす近付き、幸せそうに首元に指を埋めて、もふもふもふ)

はっ、そうだ、遠路はるばるいらしてるんですよね、そろそろ。そろそろ…。
(もふもふ) 珈琲豆栽培の方は、僕も色々調べてみますね。 個人的に、興味も湧いてきましたし。(もふ…) 手紙の事もお任せください。 じゃあ、じゃあ。お気をつけて…(もふ)

ビリー 1cmb

(毛に隠れていたネックレスが飛び出したのをシャツの内側にしまい)
"ああ。俺も色々調べてみる。他のやつらも巻き込んでみていいかもしれない。…それじゃ、ありがとな”
(手を振り部屋の戸をあけた。 まだ撫でてくるテルプを尻尾で柔らかく払い、クランを後にする)

テルプ・シコラ  1btg

んっじゃねー♪  あ、これ、貰ったってー? あーりーがーとーーーー!!
(あけびの礼を大声で叫びながら、ふたりで手を振り見送る)
しっぽ、いいなぁ。何か便利そうだなぁ。 動かすの、どんな感覚なんだろうね? お尻に、こう、力入れる感じなんだろうか。
(腰に、紐を尻尾の様に結びつけて、自分で自分の尻尾を追いかけたりしてちょこまかと遊んでいる)

赤坂 天矢  1btg

その日の夜に、ありがたく、あけびをみんなでいただきました。 テルプさんが、ビリーさんのもふもふ具合を自分の事のように自慢していて、 それを聞いていた天野さんが心なしか羨ましそうにしていたように、思った。

ここから先しばらくログ保存忘れていた箇所となりますので、おぼろげな記憶に頼った捏造RPとなります。

ビリーさんから預かった手紙を、大切に鞄にしまい込んで。 場所は聞いていたが、はじめて訪れるビリーさんの自宅。セリオンの郊外。 庭に咲いたたくさんの花が風に揺れて。、良い香りを振りまいていた。

赤坂 天矢  1btg

しかし、緊張するな…。初めての家ってだけで身構えちゃうのに。 ──何かこう、秘密を握ってる、って思ったら。
えっと、ごめんくださーい……。
思わず小声になってしまうが、ドアをノックして。

ヴァン 1cmb

階段を駆け下りる、どたばたと大きな音。
はーい。 ノックに応えて扉を開けた。

あ、アカサカのにーちゃんじゃん! 久しぶり!  母さんに用事だった? 多分そろそろ帰ってくると思うよ。 どーぞ、中で待ってて! 部屋の中へと、促した。

赤坂 天矢  1btg

あ、どうも、ヴァンくん、お久しぶり。 今日は、そうだね、チェイネルさんに渡したいものがあって…。 えっと、じゃあ、待たせて貰おうかな…。おどおどと、招かれるままに中へと入る。
あ、これ、良かったらお土産、なんだけど。 セリオンの牛乳と、あと、色々お菓子の詰め合わせ。

ヴァン 1cmb

お菓子! やったー! ぱっと笑顔になった後、何か思い出したように背筋を伸ばして。 これはこれはケッコーな物を、ありがとうございます。差し出されたお土産に礼を。
今、お茶出すからね。 母さんからしっかりオモテナシするようにって、言われてるんだ!  そういうとバタバタと奥の部屋へと。

マナ 1cmb

ヴァンが奥に消えたのと入れ替わるように、階段を駆け下りる、ぱたぱたと軽快な音。 パパ? パパなの?!

転がり込むように部屋へと入ってくるが、テーブルの前の赤坂と目が合うと、ぱちくりと目を見開いて。 あれ、おきゃくさま!  いらっしゃいませこんにちは! マナっていいます。ぺこりと礼をすると、髪が一房、ぴょこんと揺れる。 ごめんなさい、お兄ちゃんが誰かとお話してたから、パパが帰ってきたのかと思っちゃった。えへへ、と、バツが悪そうに笑って。 いらっしゃいませ。冒険の人?

ログ取り忘れにより、アイコンも不足しておりまして、このマナちゃんのアイコンはクランゲロイの中の人である大葉さまに許可をいただいて、大葉さまのイラストをトレスさせていただいたものとなっております。感謝です!
赤坂 天矢  1btg

あ、どうも……、えっと。 はじめまして、クランかげつき の、──赤坂って言います。 えっと、お父さん、お母さんとよく冒険にご一緒させてもらってる…。 今日は、チェイネルさんに用事があって、……少しお邪魔、しますね。
幼い子とはいえ、初対面の人間と話すのは、何だかぎこちなくて。 パパ、という単語に、隠し事をしているという罪悪感も伴って、きょどきょどと礼をする。

ヴァン 1cmb

にーちゃん、おまたせ!
お盆の上に、冷たいお茶の入ったグラスを乗せて現れる。 えーっと、……ソチャデゴザイマスガ、どうぞ! あ、座ってすわって。ゴユックリ。 にかっと笑って椅子を指し示すと、グラスをテーブルへと。

赤坂 天矢  1btg

お、おかまいなく…。ぺこぺこと頭を下げながら、勧められるままにテーブルに着く。
何ていうか、なんだか、しっかりしてるなぁ。 僕がヴァン君の年の頃なんて、お客さんが来ても、隠れているだけだった気がする。 父の客人は多かったが優秀な兄達はともかく、僕の事など気にも留められなかったそんな気がする。 などと物思いにふけるように、出されたグラスを手に取って。

ヴァン 1cmb

母さんの見よう見真似だけどね。 父さんがいない分、俺がしっかりしなくちゃ。 胸を張って得意げな顔が、玄関前の物音に気づいて跳ね上がる。 あ、戻ってきたかも、母さん。

チェイネル 1cmb

ヴァンの言葉の通り。玄関の扉を開ける軽やかな音。
ただいまー、ごめんね、色々寄ってたら、遅くなっちゃって…。 買い物の大きな荷物の陰からにこやかな顔が覗いた。
あ、あれ? 赤坂さん?  思ってもみない来客に、目が丸くなる。 いらっしゃい、ごめんなさい、お待たせしちゃったかな。

ヴァン 1cmb

大丈夫だよ! 俺がちゃーんと、オモテナシしておいたから!  ね、アカサカにーちゃん!

赤坂 天矢  1btg

あ、ええ、はい。 あの、こちらこそ、急にお邪魔しちゃって、すみません。 えーっと、クランの方にいらっしゃらなかったみたいなので自宅に押しかけちゃいまして。 ……ホント、しっかりした息子さんですねぇ。 チェイネルさんの教育が、行き届いているんだろうな。 半分ほど空になったグラスと、ヴァン君の顔を交互に眺め。
ああ、今日の、用事は、ですね。
ビリーさんは、あえて子供たちに黙って姿を消したんだから。 その想いを無駄にしてはいけないと、そう思えば思うほどに不自然な話し方になってしまう気がする。自然体、自然体で…。

あの、知り合いにハーブのお茶を、いただきまして。
そう言うと、随分前にビリーさんから貰ったハーブを取り出した。
僕、珈琲は好きなんですが、ハーブティーはあまり詳しくなくて、その人から、チェイネルさんが詳しいとお伺いしまして。 あと、預かり物とか、……白い、狼の、冒険者の方から……。 なので、少し、冒険のこととかも、ゆっくりお話をさせていただきたいなと、思って。
どう話しても、不自然な気がする!

チェイネル 1cmb

白い狼、の単語に顔を上げる。
あ、ああ…、えぇ、ハーブティーなら任せてください。 とびきりおいしい淹れ方、お教えしますよ。 そうね…、ヴァン、マナを連れて、ちょっとお外で遊んできてくれるかな。 お仕事の話も、あるから。

ヴァン 1cmb

はーい!  よっし、マナ、行くぞ!  んじゃねー、アカサカのにーちゃん!
にぱっと笑うと、玄関から駆け出した。

マナ 1cmb

あ、待ってよー、おにーちゃーん!
兄の後をぱたぱたと駆け足で追いかけて。

チェイネル 1cmb

夕ご飯までには、帰って来てねー。
花壇を駆け抜けるふたりのに、手を振って見送った。

えーっと、赤坂さん。……白狼、って…。
伺うように赤坂の瞳を見る。

赤坂 天矢  1btg

……ビリーさんに、お会いしました。
チェイネルさんの瞳に笑顔を返し、頷きながら、鞄から手紙を取り出した。
うちのクランに訪ねてくださって。 びっくりしましたよ、もふもふなんですもの。ビリーさんの毛並みを思い出しつつ。
元気そうでしたよ。うちで珈琲を飲んだりしながら、少しお話もしまして。 珈琲豆の栽培なんか、始めるつもりらしいですよ。僕も珈琲大好きだから、もう楽しみで。 そんな話をしながら、手紙を両手で手渡した。
……どうぞ。読んでください。

チェイネル 1cmb

そっか。夫がお世話になりました。ありがとうございます。
受け取った手紙をそっと抱きしめるように。
じゃあ、……読ませてもらうね。
そっと手紙の封を開け、便箋に目を走らせる。
……いつでも、急にいなくなっちゃって…。

赤坂 天矢  1btg

以前にもこういった事があったんですよね? ビリーさんからお伺いしました。 手紙を読む彼女の邪魔にならぬよう、グラスに口を付けてふと窓の外に目をやってみたり。
何かことづてとか、……ビリーさんに渡したい物なんかがあれば、 僕、丁度この後仕事で北に行くので……。ついでにでも、届けてきますよ。

チェイネル 1cmb

本当? 助かります。じゃあ、お願いしちゃおうかな。
手紙を読み終えて顔を上げ、その顔がぱっと明るく笑顔に変わる。
どうしよう、色々必要だよね。……でもかさばるものは、逆に邪魔になっちゃうかな…。  立ち上がるとぱたぱたと手早く用意を。

赤坂 天矢  1btg

──お子さんたちには、内緒にしてらっしゃるんですよね。
にこにこと、笑顔のふたりが目に浮かぶ。 幸せそうに父親を語る子供たち。……自分の家族とは随分と違う形の。
心配、だろうな。 ビリーさんが選択した道だから、僕なんかに言えること、何も無いんですけれど。

赤坂 天矢  1btg

……はやく、戻ってこれるといいですね。 変な事言っちゃうみたいだけど、ビリーさんとチェイネルさん、…ヴァン君、マナちゃん。 暖かくて、笑顔がいっぱいで、理想の家族って感じなんです。 何だか、羨ましいくらい。
笑顔で話していた筈が、 自分の家族があまりに理想とかけ離れていると現実に、思わず笑顔が曇る。

チェイネル 1cmb

理想の家族、か。……嬉しいな、ありがとう。
小さくまとめた荷物をテーブルへと運んできて、微笑んだ。

でもね、私たちが笑顔いっぱいだって、そういう赤坂さんもすごくいい笑顔、してますよ?  笑顔は、笑顔を呼ぶの。 私達の笑顔が赤坂さんを笑顔にして、そして赤坂さんが笑えば、きっと周りの人の笑顔を呼ぶの。 赤坂さんが笑顔を、周りの人にプレゼントしていく事が出来るの。 だから赤坂さんも、羨ましがる事なんてないって、私は思うのよ?
陰ったその表情に、やさしく語りかける。
……ご家族とは、あまりうまく行ってないんです?
おせっかいかな、などと思いながらも、聞かずにはいられなかった。

赤坂 天矢  1btg

えっと、僕のところは、……。
困ったように笑いながら。
僕が、その、兄と違って随分と不出来だったもので……。 失望、させたんだと思います。その証拠に、僕が黙って家を出た後も、一度だって探しに来た事も、無いし。
そう口にした時に、気が付いてしまった。ああ、僕はどこかで、探しに来てほしいと思っているのだな、と。 放り出した筈の家族を、自分を顧みぬ親を、それでもまだ求めているのか。笑顔がさらに苦いものになる。

チェイネル 1cmb

黙って、出てきたのね……。
あのね、一度お話してみても、いいんじゃないかな。 探しに来ない、んじゃなくて、何か事情があって探しに来れない、のかもしれない。 赤坂さんが笑顔で会いに行けば、きっと家族の皆に笑顔を分けてあげられると思うの。 ね? 気持ちの整理が出来たら、で、構わないから。
赤坂の顔を覗き込むようにして、にっこりと笑顔を作る。

赤坂 天矢  1btg

まっすぐな目が自分の芯を捉え。 優しい笑顔に釣られるように、こちらも思わず笑顔になった。
ふふ、本当だ。笑顔は、笑顔を呼ぶんですね。 ──そう、ですね。いつかちゃんと話をしないと、とは思ってるんです。 情けない話、まだ、怖くて。……でも、いつか。
先延ばしにして逃げている。いつか向き合える時が来るのだろうか。 そんな事を思いながら、小さな荷物に目が留まる。
えっと、ビリーさんの荷物、それだけで大丈夫ですか?  僕、結構重いもの持って運んだりするのは、得意な方ですよ?

チェイネル 1cmb

そ、そう? じゃ、すみません、ちょっとかさばっちゃうけど、これと……。 ぱたぱたと、再び戻ってきた手には小さなタッパの様なものがふたつ。 丁度、子供たちと一緒に作ったカレーが、美味しく出来たから…。 少し作りすぎちゃったので、片方は赤坂さんのクランで、食べてくださいます?  そう言いながら手早く包んで、持ち運びしやすい形へと。
あと、追加で……これを。
一枚の写真をそっと取り出した。
やっと現像出来たから、持ってて、って。お願いします。

イラスト:Героиさま

赤坂 天矢  1btg

カレー! うちのまで、ありがとうございます。 ホント男ばっかで、料理しない人たちばかりなので、手作りすごく有り難いです。
遠慮なく、と、礼をしながら。取り出された写真に目をやる。
わ、いい表情だなぁ。 きっと寂しい気持ちも癒やされますね。 ……分かりました。大切に、お預かりします。 ……写真だけじゃなくて、みんなの笑顔も届けられたら、いいのになぁ…。

チェイネル 1cmb

届きますよ。私達の笑顔をいっぱい受け取った赤坂さんの笑顔で。 きっとビリーにも、伝わると思うから。

赤坂 天矢  1btg

え、えがお、ですか。えがお、笑顔…。 ど、努力します。
眉間にしわを寄せて百面相。
写真を眺めていて、ふと気が付いたことを口にする。
あれ、このペンダント、ビリーさんも持ってた気がする。 お揃い、なんですか?

チェイネル 1cmb

あ、えっと、赤坂さんが見たの、これだと思います。 私のを、ビリーに渡したんです。必ず、返しに戻ってきてねって。

赤坂 天矢  1btg

ああ、成る程。それは、ちゃんと帰らないと、いけませんね。 ビリーさん、すごく大事そうに持ってましたよ。
そっと、石を服の中へとしまい込んだ、その仕草を思い起こしながら。

チェイネル 1cmb

そう、少し、ずるいの。 だってそれ、私の母の、形見の品なんです。
少しきまりが悪そうに、

赤坂 天矢  1btg

か、形見の品……。 そんな、大事な物……ですか。 それは、たしかに、ずるいなぁ……。 チェイネルさんのその表情に、思わず吹き出した。 ほんわかした雰囲気の人なのに、……なかなか、策士だと、思う。

じゃあ、確かにお預かりしました。 またビリーさんの方から何かあれば、お伺いしますね。 そう言って、預かった写真は大切に、曲がることの無いように、ノートに挟んでしまい込んだ。

チェイネル 1cmb

そう、その顔、ですよ。その笑顔、ビリーに届けてくださいね。
吹き出した吹き出した赤坂を見て、自分もまたいたずらっぽく笑い出す。

……では、大変お手数かけますけれど、よろしくお願いします。 本当に、ありがとう。

大切な荷物を背負って。
なんだか荷物まで暖かく感じる。
チェイネルさんに見送られなから、花の甘い香りに包まれて、 歩く足取りはとても軽いものだった。

捏造ここまで。