わくわく・デート
第ニ期:二度目の巡りで
(扉から中を覗いて知ってる者の姿を探す)
ねぇねぇ、アノチェ、居るー?
ん、急にごめんな。顔が見たくて来ただけ。
(言葉の通りじっと顔を見つめて、幸せそうににこにこ)
なぁ、今日って忙しい?
(孤児院の様子を伺う)
…もし、時間取れそうなら、ちょこっと付き合ってくれない?
う、うん…わ、私も顔を見れて嬉しい…。
(見詰められて照れている)
え、時間?え、えっと…。
(ちらりと後ろを伺うとアルバが「別にいいからいってくれば」と目配せしている)
う、うん…!だ、大丈夫だよ!
(アルバに向かって片手を挙げ、感謝の意を)
ん、じゃあ、……デートしようぜ。
自分で言って恥ずかしくなったのかそっぽを向き、強引に手を取るとそのままぐいぐいと、引っ張るように歩き出した)
うん…!デート…で、でーと!?
そ、そっか、う、うん、そ、そうだよね…う、うん、デート…デートかぁ…。
(改めて自分達の関係が変わったことを再認識して)
えへへ…い、いつも冒険に行ったり、い、一緒に歌ったりしたのに、
な、なんだか凄くどきどきするね…。
(握られた手が熱くなるのを感じながら一緒に歩いていった)
故郷の村の子供らへのお土産に、何か一緒に選んで欲しいと、アノチェと共に街へと出てきた。 手は繋いだまま、街を歩く。それだけで何だかすごく楽しくて
今度、一度村に戻ろうと思うんだけど、その時にさ、直接、渡したいんだ。
俺っちの村、こういう街に売ってる玩具みたいなのって全然なくってさ。
木も、結構貴重で。石ころとか、骨とか、土を焼いた人形みたいなのとか
だいたいそういうので遊んでる。
皆、歌をうたうのが好きで、簡単な楽器を作ってみたりしてたな…。
いざ、お土産、となると……うーん、悩んじゃうな。
きょろきょろと商店街を見回して。
孤児院の子供たちは、どんな玩具が好きなんだ?
そ、そうなんだ…?
も、もうどの位村に帰っていないの…?き、きっとテルプが帰ったときは、皆喜ぶね…!
(いつか村の事を話してくれたときの彼は、とても楽しそうだった。本当に村の人たちが好きなのだなと。そういえば、あの時も手を繋いで歩いていた時だったなと、思い出して少し笑った)
こ、孤児院の子達…? う、うんとね…。
あ、でも少し似てるかも…。
お、落ちてる石で地面に落書きしてたり、き、木を自分で加工して剣にしてちゃんばらしてたりとか。
お、大人しい子は、書庫の絵本読んでたりしてるし。け、結構バラバラかも…。
うん、歌が好きなのはみんな同じだね…!
ぼ、冒険者になってから、み、みんな遊んでくれるし、い、色々くれてるから、た、助かってるよ…!
そっかぁ、ばらばら、だよなぁ…。
けど、そんな色んな玩具買う程の余裕はなぁ…。(苦笑しつつ、玩具屋のウインドウを眺めて)
何か、街にしか無いものを持って帰りたいな。
どの、くらい…? どのくらい帰ってないかなぁ…。
──いや、ちょこちょこ、帰ってる…けど…少なくともこの黄昏の方に行き始めてからは、全然…。
(何だか実のない返事しか帰ってこない)
あ、玩具以外にも、他に見たいものあったら言って?
み、見たいもの? …な、なんだか、テルプと一緒に歩いてるだけで、う、嬉しくて、幸せだから…だ、大丈夫…。
…え、えっと、み、みんな歌が好きなんでしょ?
そ、そしたら、が、楽器とか、が、楽譜とか…どうかな?
(楽器屋のウィンドウ越しに指を差す。奥におもちゃの楽器コーナーがあるのが見える)
あ、ああいうのとか…。
楽器かぁ。それは、すごいいいかも。
…楽譜なぁ、みんな文字も読めないんだけど、……何とかなるかな。
故郷を思い出しているのか、目を細める。
その横顔を見ながら、おずおずと切り出した
…あ、あのね、も、もし、め、迷惑じゃなかったら、て、テルプの村に、わ、私も行きたいな…。
そ、そしたら、が、楽譜読めない子とかお、教えてあげられるし。
わ、私もね、お、教えてもらったのがきっかけなんだ、し、詩人になったの。
そ、それに、前に行ってた、お菓子だって持っていけるよ。
一緒に行きたい、との言葉に、驚いたように顔を上げて。
────…………。
一緒に…なんて来たら。……嫁、連れて来たって、大騒ぎになるぜ?
…いや、それは、流石に、気が早いっていうか。
(目を逸らしぶつぶつ言っている。照れ隠しなのか、手を痛いほどぎゅっと握り)
それでも、よければ、……一緒に来る?
よ、嫁…!?
え、えっと…えっと…。
(想像して湯気が出そうなほど顔を赤らめている)
え、と、い、言われるのはす、少し恥ずかしいけど…。
で、でも行きたいから…い、一緒に行くよ…!
(握った手をぎゅっと握り返した)
(すっと耳元に顔を寄せて)
……結婚式まで、やっちゃうかもよ?
──いいの?
(指を絡めるように手を繋ぎ直す)
(軽口を叩いていた自分がたじろぐ程の、真っ直ぐすぎる想いに笑みが漏れ)
あー、もう、アノチェは可愛いなぁ。
(空いた方の手で、やや乱暴に頭を撫で回して。
その間に、普段の調子を取り戻そうとは思うのだが、鼓動はいつもより弾んだまま。ああ、浮かれているな、と思う)
中、見よう。楽器見よう。
…え?…あ…。も、もしかして、からかったの…!?
(そうなった場合を考えて普通に答えてしまった自分に恥ずかしくなった)
い、今の、わ、忘れて…!き、聞かなかったことにして…!
(赤い顔を隠すようにマフラーで口元を覆うと店内に入っていった)
やーだ。忘れない。…忘れたくない。
(後を追うように入った店内は、触れたことも無いような高価な楽器から
色とりどりの、小さな子供のための玩具の楽器など様々で)
アノチェのさぁ、竪琴って、なかなか年季入った感じだけども、
…いつ手に入れたの?
え?えっとね、こ、子供の時に歌を教えてくれた吟遊詩人さんが譲ってくれたの。
…10歳ぐらいの時かなあ…。
そ、そういうテルプは身体中が楽器でいっぱいだよね。
ぜ、全部手作りなの?
…あ、これ、どうかなあ…。
(カラフルに色分けされた小さな木琴やオカリナ、ハーモニカ等を手に取り、じーっと見て真剣に悩んでいる)
リュートだけは、師匠からの貰い物。
一時期、俺っちも吟遊詩人の先生に師事してた事があって、そん時に。
──あとは全部作ったやつだねぇ。
あ! 初めて作ったのがこういう感じのやつだった。
(売り物の木琴を手にとって)
色んな石とかを集めて、…叩くと音が違うじゃん?
それを並べて、みんなの歌に合わせて演奏したのが、多分はじめて。
皆、すげー喜んでくれて。すげー褒めてくれて。
ああ、こういうのいいよねぇ。色も綺麗だし。
す、凄い…!き、器用なんだね…!
(売り物の木琴を手に思い出を語る彼の顔を微笑ましく見ながら)
…うん、わかるよ。
わ、私、子供の時自信が全然なくて、どんくさくて…。
う、歌を披露したら褒めてくれたの。
だ、だから凄く分かる…。
…こ、これにする?
あるだけ買って、あ、あとは違う楽器も買うとか…。
この太鼓とか、実は底抜けた皿とか使ってたりする。
(ふふふと笑って)
そうだねぇ、これと、あとそのオカリナも買っていこう。
これなら、見よう見まねで作ったりも出来そうだ。
……アノチェの、初めての歌、かぁ。いいな…。
アルバは、聞いたんだろうか、その歌。
ほ、ホントに凄いね…これも作れちゃうんだ…(感心しながら)
は、初めての歌…?う、うーんと…、れ、練習いっぱいした歌ならアルバとか、こ、孤児院で披露したけど…。
ほ、本当に初めての歌はその吟遊詩人さんの前だよ…?
わ、私最初はシスターになりたかったんだけど、こ、このどもりで、ぜ、全然聖書とか言えなくて…。
そ、そしたら、見かねたその人が、賛美歌教えてくれたの…。
そ、それが最初の歌…かな。
(買うものを見繕い、お金を払おうとする)
ああ、そうか。何だか、2人いつも一緒に居るイメージだったからかな…。
その人に……アノチェの師匠に感謝だなぁ。本当に素敵な歌声だもんな…。
よく、見出してくれた。俺っちも嬉しいや。
……ちょ、ちょっと、何でアノチェが出すのさ。
大丈夫だぜ?
…え?…あ…、い、一緒に行くなら、わ、私も出したほうがいいのかなって…。
ご、ごめんね、つ、つい、いつものお買い物感覚で…。
…うん、凄く感謝してる…。
へへ、て、テルプの歌を褒めてくれた村の人も、凄く、素敵だと思うよ?
アノチェは、クッキー焼いて?
(遠慮の欠片もなくにこにこ)
そうさ、俺っちの歌は、みんなを笑顔に、みんなを幸せにする歌なんだってさ。
(くるりと、回って、歌い出す。歌っている間にプレゼントたちを包んでもらったようだ)
う、うん…!ま、まかせて…!
(プレゼントを包んでもらうと店を出て)
こ、この後って…あ、あと何か必要なものとか、ある?
あ…。お菓子焼くなら、ざ、材料買ったほうがいいのかな…。
え。
あ、いや、えっと、えっと……
(今、何をするつもりだったっけ、というような、曖昧な表情で歌を止めて)
あー、そんな、今すぐじゃなくていいよ、今、ギルドからも何か通達来てるし。
そっちの仕事が区切りついてから、ね。
アノチェは? 何か用事ある?
テルプ…?
どうしたの?だ、大丈夫…?
(少しぼーっとしているような表情に、心配になって顔を見る)
う、うん。わ、わかった。
わ、私は特に用事はないよ…?
す、少し休憩でもする?
へ? う、うん、大丈夫だけど?
ん、じゃあさ、知り合いの冒険者がやってるカフェがさ
しばらく休んでたらしいんだけど、最近再OPENしたんだって。
ガヴォンっていう虎のにーさんとか、知ってたっけ?
うん、赤坂っちオススメだよ。
…正直、俺っちそういう街のお洒落な店、みたいな、そういうとこ行ったことなくてさ。
知り合いの店だったら、多少、さ。落ち着けるかなーなんて。思って。
そーいうトコ嫌いじゃなければ、行ってみない?
……へへ。
何か、デートっぽいな。…デートか。うん。
──行こっか。
(手を繋げるように、左の手を差し出して)
ここはアティルトの賑やかな広場に面したカフェ《麦の恵み亭》。
事情により営業停止状態だったが先日より再オープンしたようだ。
落ち着いた雰囲気の店内は新築の木材が薫り、日の光がたっぷりと入る。
入店すれば元気な女の子と気さくなオーナー、そして虎の男があなたを出迎えるだろう。
あなたはここで料理に舌鼓を打っても良いし、
一杯の珈琲で粘って店員や他の客との雑談に興じても良い。
テルプたちがやってきたのは、
よく共に冒険に出かけたクラン【しまとらカフェ】のメンバーが営業するカフェである。
幾度かの営業停止に見舞われたが、無事本日開店。
おめでとうの気持ちも込めて、普段はあまり馴染みのないカフェへと足を踏み入れた。
テルプはこういう、「普通の」女の子が好みそうな店など出入りした事が無い。
夜の街や酒場など、遊ぶトコロといえば少し妖しげな香りのする場所ばかり。勝手も何も分からない。
……顔馴染みの店だ。少しくらいの粗相は大目に見てもらえるだろうか、なんて
そんな打算も、無くはなかったのだけれど。
お邪魔しまーす…
(きょろきょろと、慣れぬ様子で店内を覗き込んだ。ろには同じ吟遊詩人仲間のアノチェセルが同行している)
ごめん、えっと、こういう店入るの俺っち初めてで、
どう注文とかすりゃいいか分かんないんだけど、大丈夫かな。
普通の酒場みたいな感じで、いいのか?
(必要以上に緊張しているようだ)
わ、新しい、木の香りだぁ。いいね。
ほら、アノチェも、おいで。
いらっしゃいませ。
おや、これは大変久しぶりでございますね。
(緊張した様子のテルプに)
ふふ、気軽な店ですのでどうか気負わずに。
どうぞ、お好きな席へ。メニュー表をお持ち致します。
お、お、何ー? にーさん、久しぶり! えっらいイケメンオーラ増してんねぇ…。
こんな風に、店を持つ大変さなんて俺っち想像も出来ないけど、
とりあえず、開店おめでとさん、なんだぜー♪
…窓際が、いいかな。いい天気だし。
(店内から外を眺めて、広場の人々がよく見える席をチョイス。アノチェに、席に着くように促した)
はい、どうぞ。
あ、あの、ま、前にほんの少しだけ冒険で雇用したことあったんだけど…。
お、覚えて無いよね…。へへ…。
(そう言うのは時間が撒き戻る前の出来事だからだ。相手が覚えていないかもしれないが、それでも)
え、ええと、覚えてなくても、あ、あの時はありがとう…ございました…(ぺこり)
(テルプに席を促され座る)
うん…!あ、ありがとう…!
へへ、こういう所って、どんなのがあるんだろうね…!た、楽しみだなあ…。
お祝いのお言葉、大変ありがとうございます。
給仕者としてまだまだ至らぬ身ではありますが……(と、一呼吸おき)
今日がお二人にとって佳き思い出となるよう心を込めておもてなしさせて頂きます。
(深々と頭を下げる)
アノチェセル様もようこそ。
いえ、覚えておりますよ。正確に申せば《前》の事はすっかり忘れていたんですが……
不思議な廻り合わせにより思い出しました。こちらこそ、その節はありがとうございました。
(席についた二人にメニュー表とお冷を差し出す)
こちらがメニュー表です。お決まりになりましたら声をお掛けくださいませ。
(一礼をすると一旦その場を離れた)
おー、また立派な店建てたよな。
ガヴォン、再々オープンおめでとな!早速食いに来たぜ!
(後ろの人物に振り返って)な、いい店だろ? ギシのやつも無理やり引きずってくりゃよかったぜ。なんかお土産でも買っていってやるかな。
…あ。ありゃ詩人2人じゃねのーか?おーいアノモガフッ
(プレーンの背後から口を抑えこんだまま目立たないようにしゃがみ込む)
シッ!
だ…だめだろあの雰囲気を壊しちゃあ…!少しは察するんだプレーン!
やあ、再々オープンなんだって?おめでとう。
ささやかながらローン返済に協力できればと思うよ。
ああ、席はできればあの二人から見えにくいところでお願いできるかな?
いらっしゃいませ。
お二人連れ立ってのご来店ありがとうございます。
ローン……誰だ、いらん事広めたのは
あ、いえ。お心遣いありがとうございます。
冒険者稼業も廃業ではないので店と併せてなるようになる……でしょう。たぶん!ハハハ!
(ごほん、と咳払いひとつ)
ふむ、それではあちらの席へどうぞ。
(テルプたちの対角になる席に案内しメニュー表とお冷を差し出す)
お決まりになりましたら声をお掛けくださいませ。
わー…!ど、どれも美味しそう…!
(メニューを見ながら)
ど、どうしよう、め、目移りしちゃうね…。
(といいながらパフェが気になっているようだ。初めて見るようで目をキラキラさせている)
ありがと。(メニューを受け取って、こちらもパフェをじっと見ている)
なぁなぁ、アノチェ。チョコパフェとフルーツパフェ。
アノチェならどっち頼む?
(どちらにするか決めかねて、他人に判断をあおぐスタイル)
(はんぶんこ……天才だな、という顔でメニューから顔を上げる)
よし、じゃあ、俺っちチョコの方にする。
虎のにーさん、フルーツパフェとチョコパフェ1つづつ…
──、で、よかった? 他、何かあれば。
(目の前のアノチェさんに確認。後から入ってきた二人組にはまったく気付いていない様子だ)
えっ、飲み物…。(手元の水とガヴォンの顔を交互に見て)
この水ってサービスなんだっけ。
そんなら、飲み物は…いいかな…。
砂漠から離れて長いけど、いまだに水は高級品のイメージが抜けない。
(ちまちまと、嬉しそうに水を飲んでいる)
フルーツパフェとチョコパフェをお一つずつですね。
それと紅茶……と。かしこまりました。
(飲み物は水で良い、と言うテルプを見て)
ふむ、この辺りは水に困る事はそうありませんが……
大切に、使っていきたいものですね。
それでは少々お待ちを――
・
・
・
(しばしの後、パフェと紅茶を乗せたトレーを運んでくる)
お待たせ致しました。
追加のご注文などございましたら私かそこの悠子までどうぞ。
それではごゆっくりとお寛ぎください。
(一礼し、その場を離れる)
ああ〜あの二人そういうことなのかな〜。いいな〜初々しくて。
注文するものがまたかわいいよね〜(遠目にニコニコ見守っている)
ああ、あまり見ちゃいけないな。はい、プレーン。メニューだってさ。
今日はなるべく静かにね。
プ「注文ならもう決まってんだぜ。マッカ風トラウマランチ2つな!」
え、もしかして今勝手に俺のも頼んだ?
まあいいけど、不吉なメニュー名が気になるな…。
プレーンの分→
オルゴーの分→
(即決で注文するプレーンに一瞬ぽかんと)
……ああ、失礼。
マッカ風トラウマランチをお二つですね?
(メモを取りつつどこかオルゴーを哀れむような目つき)
少々お待ちくださいませ。
・
・
・
(やがてガヴォンがプレーンに、悠子がオルゴーの分を運んでくる)
お待たせ致しました。今回のトラウマランチはこちらになります。
プレーン→【カレー(攻撃的な赤さと香りを放っている)、サラダ、ヨーグルトのセット】
オルゴー→【ミニ海鮮鍋(やたら赤く煮えたぎっている)、ライス、にら玉のセット】
ランチメニューにはお好きなドリンクが付きますのでご希望があれば改めてお持ち致します。
へへ、前のはトラウマっていうにゃあヌルかったからな!
お、来た来た。今回はカレーか!いただきますっと。
(手を会わせるや否やスプーンに山盛りのカレーにかぶりつく)
…うわ、やべえ。美味い。美味いけどヤバいな…!
目からも汗がでてきやがった…!
これは認めざるを得ねーな…トラウマランチの名を…!
(ぼろぼろ涙をこぼしながら順調にカレーを片付けていく)
(運ばれてきた煮えたぎる料理を見つつ不安げな表情)
…あ、やっぱりこういう系統の料理なんだ…?
正直辛いのは苦手なんだけど、頼んだ以上残すのも悪いよな…いただきます。
(控えめな一杯を口に運ぶ)
………………辛い。いや、美味しいんだけど、美味さを感じるやいなや辛さが全力で殴りかかって来る…。
プレーンのは更に辛そうだよな…。辛党の君が泣くだなんて相当のものなんだろう…>俺が食べたら死んでたかもしれない。
プ「泣いてねーし!心の汗だし!(ガツガツ)」
あ、だめだ…。悠子…水…。3杯ぐらい……。
あ…あと、何か持ち帰りできるものってあるかな? サンドイッチでもお菓子でもなんでも良いから、手土産にしたいんだけれど。
(涙目でカレーを食べるプレーンの姿に)
だ、大丈夫ですか?
無理はしないでくださいねっ!
(と、オルゴーから水を頼まれ)
あ、はいっ、お水3杯ですね!?
(少し慌て気味に水を持ってくる)
どうぞ!
お持ち帰りですけど、
【ベーグルサンド、フルーツサンド、ビーフサンド】
なら出来ますのでお好きなものどうぞ!
大丈夫だぜ!
美味いし、病みつきになる辛さだし、なんだかスッキリした気分なんだよな。
本当はおかわりもしたいとこだけど、目の前のやつが死にそうなんで今日はこれぐらいにしとく!
オ「ケホッ…じゃあフルーツサンドで。お会計も頼むよ…。」
(トラウマランチを完食して笑って見せるプレーンを見て目を丸くする)
おお、すごい!あれ、5辛だったんですけど完食した人は初めてです!
お口に合ったなら良かった、次は最強の6辛ですね!
オルゴーさんは……たはは、お疲れ様でしたー。
ええと、お土産はフルーツサンドですね?
(食事代を受け取り注文の品を持ってくる)
はい、お待たせしました!
たぶんまだ辛さで味が分からないと思うから帰ったらゆっくりどうぞ!
ご来店ありがとうございました、ギシさんにもよろしくお伝えくださいませっ!
(ぺこり、と一礼)
ジョブチェンジャーズのふたりが辛さに悶えている間、こちらのふたりは甘い時間を。
そっか、テルプ、さ、砂漠の地方の生まれなんだね…。
み、水が貴重って言ってたもんね…。そっかあ…。
だ、大事にしてるって、い、いい事だと思う…。
ちょ、ちょっと見習わないとかな…。ず、随分忘れてたかも…。そんな感覚…。
(注文されたものが届くとガヴォンにお礼を言って受け取った)
あ、はんぶんこだよね。
(と、テーブルにある空いた皿に自分のパフェをとりわけようとしている)
どっちかっていうと、ええええ水飲み放題?! マジで太っ腹ァ! みたいな気持ちなんで
……ど、どうかな。大事に、してるのかな。
アノチェだってさぁ、井戸からチョコがじゃぶじゃぶ出て汲み放題! だったら
超嬉しいでしょ。
そんな感覚、…? ん… 違うかな…。(自分で例えを出してみて自分で混乱している)
ああ、ありがと、にーさん。
(ふたつ並んだ、高くそびえるパフェに感動を覚えつつ受け取って)
(アノチェが手にした小分け皿をすすー、と彼女から遠ざける)
ねぇねぇ、ここ。これ。…欲しいな。
(生クリームと、アイスと、何かベリー系の果物の部分を指し、机に身を乗り出して)
ちょーだい♪
(口を開けて、食べさせてもらうのを待つ姿勢だ!)
さ、流石にチョコが汲み放題はないかな…?(くすくすと笑う)
な、何だか「水」そのものを大事にしてる気がしたの…。
そ、そうじゃなかったら、さ、サービスの水だって、そんなに嬉しそうに飲まないもの…。
(微笑ましげに見詰めている)
…ん?
(小分け皿を下げられ)
え…?
(あーんを待機しているテルプを見て)
えぇぇ!?
(声を上げてしまった自分に慌てて口を押さえる)
え、え、えと…え、でもスプーン私の…
(い、いいのかな…と小さく呟き、辺りをちらちら確認すると)
は、はい…。
(まず果物をそっとスプーンに乗せてテルプの口に運んだ)
(慌てている様子のアノチェさんをにこにこ眺めて。
差し出されたスプーンを躊躇なく、ぱくりと)
ねぇねぇ、ここの、クリームのとこも、ね?
(さらに催促しつつ、自分のチョコパフェの方もスプーンに取る。
チョコソースのたっぷりかかったクリームと、果物と、アイスと。自分の好きなものをどんどんチョイスして乗せていくので、ひとくちにはやや大きめ)
はい、アノチェも、あーん♪
(ふと、孤児院の子供達が甘えておねだりしている様子が浮かんで、照れながらも少し可笑しそうに)
て、テルプ…な、なんだか子供みたいだよ。
う、うん…。アイスとクリームね?
(自分のスプーンにアイスとクリームを乗せてまた食べさせようとすると、テルプから自分の口に向けてスプーンが差し出される。流れ的に食べさせ合う形に)
え!?わ、私もなの?
お、おおきいよ…。
あ、あー…ん…。
(スプーンをテルプに差し出しつつ、目を伏せ、おずおずと口を開けた。赤い顔も含めその様は少し扇情的にも見える)
(その表情にどきりとしてしまって、スプーンを持つ手が震えてしまった、様な。
慌てて、差し出されるパフェの方に意識を集中させようとして、ひとくち口に入れて)
……ん! ん。 美味し…。
(思わず声を上げる)
俺っちさ、アイスって本当に夢の食べ物って感じがする。
…だって冷たくて、甘い。
(この詩人は味に関してボキャブラリーが貧困になる傾向にあるようだ…)
(ぱくり、とアノチェも口に入れるが、乗せられたアイスが大きかった為にクリームが少し口についている)
へへ…!美味しいね…!
(アイスが夢の食べ物というテルプに)
うん、言いたいこと、す、少しわかる気がする…。
な、なんていうのかな…。
直ぐに口で溶けて消えちゃう食べ物って、ぜ、贅沢な気がするもんね…!
(にこりと笑うと、紅茶を啜って)
ご、ご馳走さまでした…お、美味しかった…!
アノチェ、ついてる。クリーム。
(指でクリームをぬぐい、そのままその指を自分の口へと。
普通に食べるよりも甘く感じるな、などと思いながら、存分に彼女との会話を楽しむのであった…)
ん、おいしかったねぇ。
え、あ…。あ…。
(クリームを拭われ、口にする様を目の前で見せられて一気に顔が真っ赤に)
あ、え、あ、あの!と、と、とらさん!
お、おか、おかいけいお、おねがいします…!
(よく見ると他にも客が居る事に気付いた。恥ずかしくて居たたまれないようだ)
(アノチェセルに呼ばれ)
お会計ですね?
本日はご来店頂きありがとうございました。
(ふ、と虎の顔が微笑む)
お二人とも実に初々しくいらっしゃるようで。若い時間とは良いものですね。
どうか、実りある二人の旅路を祈っておりますよ。
お時間が許しましたらまたお越しくださいませ。
(と、柔らかに一礼したと思うとテルプに「この後はまた続きかな?」と悪戯っぽく耳打ちする)
今日は「子供のデート」だからね。そんな感じで。
(アノチェに聞こえていないのを確認し。楽しげに、あるいは残念そうに? 苦笑混じりで返す)
今日はありがとう。すげー美味しかったよー。
誰かに教えるのがもったいないくらいだけど、宣伝しとくね。
はい。(二人分ね、と言外に含ませて、手早く済ませるとしっかり彼女の手を引いて、店の外へと)
(しれっと接客モードに戻りお代を受け取る)
はい、確かに。
(美味しかった、と言われ)
いえ、大切な誰かとのひとときこそが最高の調味料となったのでしょう。
お二人にとって思い出深い時間になったのなら幸いでございます。
それではお気を付けて。またのお越しをお待ちしております。
(改めて一礼し、二人を見送った)
あ、あの、ご、ご馳走様でした。
あ、兄にも今度勧めるね…!
(ぺこりとお辞儀した)
(ガヴォンとテルプで何か会話がされているようだが聴こえず首を少し傾げる)
な、何を話してたんだろう…。
(そう呟き、手を引かれながら店を出て行った)
イラスト:かげつき
おいしかったねぇ。
すごく暖かい雰囲気で、…虎のにーさんも接客、サマになってたよねぇ。
いつもの雰囲気と全然違うの、ちょっとおもしろかった。
今度はランチとかもいいかも。メニュー見てるだけで、わくわくしちゃった。
ね、また行こうね。
う、うん…!(まだ少し動悸のする胸を押さえながら)
と、虎の人、ぼ、冒険の時とちょっと違うんだね…。び、びっくりしちゃった。
うん、また…行きたいな。こうやって。
(繋いでる手を少し強く握って微笑んだ)
あ…で、でも、食べさせあいっこは、は、恥ずかしいから…ね…?
恥ずかしくても、してくれるんだよねぇ。
(いたずらっぽく笑った後、握った手を引き寄せる。必然的に身体を密着させるような姿勢で歩く事に)
…すごく、嬉しいよ。ありがとね。
えっ?!
だ、だって…い、嫌がったら、て、テルプ寂しそうな顔、し、しそうだし…。
そ、それに…そ、そんな嬉しそうな顔されたら…。そ、その…。う、うん…。ど、どういたしまして…。
(密着された事で「手を繋ぐ」というより「腕を組んで歩く」様な形になる)
ご、ごめんね、わ、私顔赤くなってばっかりだね…。
な、なんかね、今日、ずっと、どきどきしてばっかりなんだ…。
た、楽しくて、嬉しくて、で、でも全然余裕なくて…
…別れるの、少し寂しいぐらい。
へへ、こ、こっちこそ、今日はありがとう…!テルプ…!
──送ってく、けど。
もうちょっと、ねぇ、ちょっとだけ、遠回りして行こう。
(広場に並ぶ様々な露店や大道芸人を指して)
時間、大丈夫なら、だけど。
(特に用事などないけれど。露天に並ぶ色とりどりの布や細工物などを眺めて感想を言い合ったり、大道芸人の華麗な技に歓声をあげてみたり)
はじめて噴水を見た時には、何て贅の限りを尽くした装飾物なんだっ! って思ったもんだなぁ。
ふつーにあちこちにあって、びっくりした。
このさ、底にコイン投げてあるのは、何なんだろうね。まじないかな。
(どうでもいい話をしてみたり)
(色んなものを眺めて、話をするだけで本当に楽しくて。いつもなら早く帰らないと子供達が心配するだろうと思うのに…。帰りたくないなあと思うのは初めてだった)
(噴水を見上げて)
ふふ、そ、そうだよね。
わ、私も、孤児院にきてからかな、噴水をちゃんと見たの…。
こ、コインは、き、聞いた話だと後ろ向きに投げて、噴水の中に入ったら、ね、願いが叶うとか…だったかなあ…。
…お願い事って、叶っても叶っても、キリがないよね…。
こ、これだけでも十分嬉しくて幸せなのにな…。
(ぽつりと、水底に沈むコインを見詰めて呟いた)
たくさん願うってのはいい事だって、俺っちは思うぜ。
それは生きる力が強いって事だ。
……何か、お願い事あるの?
うん…いっぱいあるよ(苦笑して)
あ、アルバが倒れませんようにとか、さ、サファイアが無茶しませんようにとか、こ、子供達が元気で居ますようにとか。
…おじさんが早く帰ってきますようにとか…。
あ、あとは…内緒…。
(テルプを見詰めはにかむと照れ隠しでマフラーで顔を半分隠した)
…て、テルプは?
俺っちは、そうだなぁ。
「いつも、楽しく。悲しい歌が聞こえませんように」
「俺の歌が、誰かを幸せにしますように」
「アノチェのお願いが、叶いますように」
────コイン、投げてみる?
(そういうと、布の財布からコインを2枚取り出し、1枚を握り、もう1枚をアノチェに差し出そうとする)
(奇数:入る 偶数:外れ?
…す、少なくとも、て、テルプの二つ目のお願いは、私を幸せにしてくれてるよ…?
わ、私テルプの歌大好きだもの…!
(コインを投げてみるかという誘いに)
うん!…あ、だ、大丈夫だよ、自分のコインで試すから…!
(そう言って自分の財布からコインを出した。後ろ向きになってそっとコインに願いを託す)
────ように。
(えい!っとアノチェはコインを投げた)
(6面ダイス1回 奇数:成功 偶数:失敗)
ああ、よっし、俺っちも!(後ろ向きに、祈るような姿勢のアノチェさんの横へと立ち、気合を込めるように)
とぉ!
(6面ダイス1回 奇数:成功 偶数:失敗)
っしゃ!
(ガッツポーズ)
(しょぼんとしてるアノチェを見て)
俺のお願いは、「アノチェのお願いが叶いますように」だから
…アノチェも成功したのとおんなじだぜ。 やったね!
(いたずらっぽく笑って、いえーい、と、ハイタッチスタイルで待っている)
(ぱちくりと瞬きをすると)
…ほ、ほんとう…?
…へへ…!嬉しいな…!
(気を遣ってくれたかもしれないけれど…それでも気持ちが嬉しくてハイタッチをした)
あ、ありがとう、テルプ、だいすき…!
(にっこりと笑うと鐘の音が鳴る)
…あ…。もう、こんな時間なんだ…。
ああ、遅くなっちゃうね…。
……行こっか。みんな、心配しちゃう。
それでも、鐘の音が鳴り止むまで、そこで立ち止まったままで。手を握り、何と無く街行く人を眺めて
…いこっか。
(自分に、言い聞かせる様に)
(優しく、澄んだ声に──尊いものに触れる時のような、少しの畏れを覚えながら。
音を、寄り添わせる様に、時に重ねる様に、共に歌う。言葉を交わすより、見つめ合うよりも、お互いが深く絡まるような、絆されるようなこの時間を、リズムに合わせて、ゆっくりと、──なるべくゆっくりと歩いてしまっているのに、気付かれてしまっているだろうか)
(楽しい時間は飛ぶように過ぎるというけれど。あっけない程、早く見えてきた終着点に、苦笑して)
……今日は、ありがとね。
(手を、離して、向かい合う)
(輝くような黄昏の色から、宵闇の色へ。紡ぎだされる歌声は、移り行く空のように音を変えていく。いつも温かく灯される孤児院の灯りが、今日だけは寂しく感じた)
…こ、こっちこそ。
た、楽しい時間をありがとう…!
(向かい合って笑うと)
また…また会おうね…!
(いつもの言葉を、祈りのように紡ぐ)
うん。また、ね。
次は、何処へ行こうか。考えておいて。
…ああ、何か、ふわふわして、幸せで、今日はずっと、何だか夢を見てる気分だよ。
ねぇ、アノチェ。ノチェ、ねぇ。
(腰をかがめて、顔を寄せて、その表情を見逃すまいというようにじっと、見つめて)
──キスしてもいい?
(ありったけの喜びと、幸せと、ありがとうを、触れるだけの唇に込めて。その時間が長かったのか、短かったのか、自分ではよく分からない)
あいしてるよ。
(離れる際にそう囁いた)
皆にもよろしくな。
(アノチェさんが孤児院の中へと消えてしまうまで、見送るつもりで手を振っている)
(顔が熱い。火照った熱が、唇にまで伝わってしまうのではないかと思うぐらい)
ん…。
(名残惜しげに唇が離れると、こくりと頷いた。まだ少し、その言葉を言うのは恥ずかしいらしい。「だいすき」は何のてらいもなく言えるのに)
うん…!
ちゃ、ちゃんと言っとくね…!
(いつまでも見送ってくれている彼に手を振ると、孤児院のドアが静かに閉められた)
(閉じた扉の向こう側、柔らかな光と、暖かな食事と、彼女を必要とする…家族、たち。
彼女の事を、欲しい、ばかりで、そこから連れ出すには、恐らく勇気が足りなくて…。自分のものにした途端、何だか自分の足元が、全部崩れてしまいそうな。彼女ごと、底のない暗い穴へと落ちてしまいそうな、不安な気持ちで)
──今までは。偽物でも、幸せならそれでいいって、そう思っていたのにね。
(何のことだか、自分では分からない、だけど)
「いいんだよ」という鈴の音の上に重なった、
彼女と共にうたう歌。
心のなかにずっと響く音。
おやすみ。
(ゆっくりと、家路を行く。いつの間にか、星が綺麗で。彼女も見ているだろうか。…彼女との歌を口ずさんだ)
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アノチェと一緒に買った、村へのお土産を荷物にまとめて。
砂漠を渡る険しい道程。荷物は少ないほうが良いのだけれど、
壊れないように、大切に包んでしまい込んだ。
彼女とのデートの記憶に浸ってにまにましていると、玄関の扉が開く。
赤坂がえらくずっしり重そうな荷物を抱えて、帰ってきたようだ。
…おかえり。
何、どしたのその荷物。
土を、貰って来たんです。
ちょっと、園芸でもしようかと思って。
──テルプさんも、どうしたんです?
どこか、お出かけされるんですか?
(テルプの手元の、小さな旅支度を見て)
うん。
今すぐじゃないけどね。ちょっと、村の皆に報告したい事があってさ。
(溢れる幸福感を抑えきれぬのか、口元が緩んでいる)
冒険の方が一区切りついたら出掛けられる様に、簡単なやつだけでも準備しとこうと思って。
…村って、えっと、テルプさんの、故郷っていう、お話の。…ですか?
──だって、あれは…。
実在、しないんじゃないですか? という言葉を飲み込んだ。 宛所に訪ね当たらない、という村。 もしかしたら、それは、彼の頭の中にしか存在しないのではないかと、そんな危惧まで僕は抱いていたのだけれど。
〜♪
(機嫌よく、土産の品らしい街の玩具などを詰め込んでいる)
──い、一緒に、行きましょうか?
は? なんで?
……いえ、別に。嫌なら、いいんです…。
ふふ、変なのー♪
────
忘れたままでいられたら。時間がすすまずにいてくれたなら。
そしてふと思う。この世界の在り方は、僕の望みそのものだ。
どうかこのまま、変わらずに。
今、なんとかここにある幸せが、どうか壊れませんようにと。それだけを願いながら。