アレクサンドリア図書館

チェイネルさん、最近依頼の数が多くなってきているのをご存知ですか？ 僕も受注してはいるんですが・・・正直、人手が足りませんね。

魔物が増えてるんだっけ？狩猟依頼は受けないようにしてるから、わからないなあ・・・ あ、でもそのほかの依頼も増えてるよ。探索のお供募集とか、宗教勧誘とか

宗教勧誘？
クラン内の壁をぐるっと見回す。 掲示板には、確かに教徒募集の張り紙がいくつかある。
おや・・・それには気付きませんでした。ククル教もありますね

アヴェさん、そういえば最近ミサ、でしたっけ。行ってるの？

礼拝していますよ、定期的に。ただ、前と少し出入りする人 ・・・人種と表現するほうがいいでしょうか、少々変わっているように感じます

そっか。活発なんだ・・・やだいけない、今日ナマモノも買ってたんだった！もう帰るね。

それは一大事です。食料が腐る事は避けなければ・・・お気をつけて。

見送って、クランの壁を再び、見回した。 手が回らぬたくさんの依頼。……これはクラン員以外の手も、借りる必要がありそうだ。

こんにちは…。お久しぶりです。 チェイネルさんって、今日はこちらにいらっしゃいますか？ （おずおずと、入り口に半分身体を隠して覗き込むようにして）

あ、はーい・・・？ 窓際にいたチェイネルが声に気付いて歩み寄ってくる

赤坂さん？おひさしぶり！ ギルド内があわただしくってすみません、何か、ご用かな？ ロビーはいつもより冒険者の出入りが激しく、活気がある。 掲示板を眺める者、脇にあるテーブルに腰かけ作戦会議をしている者、 実に様々だ。

用、というほどでもないんですけど、林檎。 うちのクランの…天野さんが作ってて… たくさん収穫できたのでので、食べていただこうかと。
お家の方に伺おうかと思ったんですが、先にこちらを覗いてみようかなって…。 正解だったな、と口の中で呟いて。

赤坂が手に持つ林檎に目を丸くし わぁ、これ作ったの・・・！？すごい、果物って育てるの大変でしょう、 ありがとうございます！

…普通に育てたら大変なんでしょうけど…。 いえ、まぁ、生命を削って作ってるという部分では、同じくらい大変なのかな…。 （天野の魔法？の力で一瞬で育っているのを見ていたので、 　本来の大変さは想像出来ないらしい）

命を削って・・・？そ、そんな大変なもの、貰っちゃっていいんですかね・・・？ 思ったよりも重い言葉が返ってきて、動揺なのか受け取った籠が揺れる。

……表現を間違えました…。すみません。 世の中の、何か作ってる方は皆、自分の生命とか、時間とか そういういろんなものを削って、それで魂や心みたいなのが込もる、とか。 多分そういう意味なんじゃないかな…と。
まぁ、本人、すごく嬉しそうに作ってたので、是非貰ってやってください。

び、びっくりしました・・・そういう事だったら、ありがたく。 美味しくいただきますね！

どうぞ、と、籠を差し出した。
あとね、だいぶ前になるんですけど、ビリーさんがうちに遊びにこられて。 キノコとかいただきました。お元気でしたよ。 ……精霊の、お話を聞いたりして。
（ロビーを見渡して） ほんとに、慌ただしいですね。 何か色々依頼、貼ってあるみたいですけど。（依頼の数々に興味を）

籠を受け取りながら、アルバから受け取ったらしい夫の手紙を思い返し、苦笑する あー、あの人ってば近くに来たことぜんぜん知らせてくれないんだよね、んもう・・・

ぱっと顔を明るくして そっか、元気そうならよかった、そろそろ私から会いに行こうかと思ってた所なんだ。 精霊様のお話・・・えっと、いろんな宗派があるとか、しきたりがきびしいー！ とか、そんなことかなあ？他の人からしたら確かに面倒かもしれないですね。

赤坂と同じ方に目線を向け うん、ここ数ヶ月で一気に増えてきた、かんじ・・・？ ギルドメンバーでも手一杯だから、通りすがりの冒険者さんにも開放してるみたい。

ビリーさん、もう少しこう、愛想よくっていうか、サービス心みたいなのがあれば……。 いや、愛想の良いビリーさんって、それもうビリーさんじゃない気がするな。 （さらっとひどい）
……精霊の話は、そんなところです。

ビリーさんの、「あの姿」については、 ……チェイネルさんは「事情」は知って…おられるんですよね…？ （口止めこそされていなかったが、なんとなく念のため、 　遠回しに話をしつつ張り紙に目を通す）

あは、あはは・・・家にいるときはちゃんと家族サービスしてくれるよ、 だ、大丈夫大丈夫。（半ば自分に言い聞かせるように聞こえる）

・・・そう、だね。「狼」を見るのは2度目かなあ

（流石に事情を隠したまま、姿を消した訳ではなさそうで、ほっと息を吐いて。 たくさんの張り紙の中で目についた単語がいくつか。）

ククル教、エーテル教…。 あまり馴染みのない名ですけど、これが件の精霊様、なんです？

教徒募集の張り紙に目を向け
あ、ククル教は私あんまり詳しくなくて。アヴェさんが・・・ えっと、アヴェさんっていうのは同じチームの人ね。あの人が入信してるから詳しいと思うよ。
精霊様はエーテル教。私の家はその中のフルート派なんだ。 人魚の姿をした精霊様なの。・・・見たこと、ないんだけどね 首を傾げて赤坂に向き直る

ん、んーっと、ビリーさんを助けてくれた精霊、の、宗派が、エーテル教？ エーテル、とは、精霊の名前、でしょうか。同様に…ククル、も、また別の精霊？ （流派？まであるのか。宗教はホントややこしいな…と、「？」いっぱいで少し難しい顔を） ああ、その辺の…宗教の事が詳しく分かる入門書なんかがあれば、 見せていただけると嬉しいかも、です。

……アヴェさんは、えぇ、何度か冒険で顔を合わせたことが。 アヴェさんは、ビリーさんの、その、事情は、一通り知ってらっしゃるんです？

うーん、と下を向いたり、上を向いたりしていい言葉がないか模索して んっと、んーっと。ビリーを助けた精霊様・・・確か、お月の。 ”フルート”は精霊様の名前からとってるって、母から聞いたことがあるなぁ。 ククル教は、どうなんだろ・・・？別括りの宗教だから、なんとも。 赤坂と共に難しい顔をしてこめかみに指を当てる

教本ならどこかに残ってると思います、うん・・・勉強不足でごめんなさい、 いつも当たり前のようにしきたりに従ってて、その成り立ちは深く考えたことなかったー・・・

アヴェさんね、あの姿になることだけは知ってるよ。

（・ククル教徒募集
・エーテル教ボランティア
…この二枚の張り紙の前に立って）

……精霊のちからが戻ったなら、 ビリーさん、仕事を終えて早く帰ってこれるんじゃないかって。 そんな話をしたんですよ。その為には、その精霊の信者を、増やせれば。あるいは。なんて。
──ククル教に関しては、後でアヴェさんの方にも聞いてみるとして… じゃあ、ちょっとエーテル教関係の事詳しく載ってそうな…教本、見せて貰っていいでしょうか。 （教本のあるところに案内されれば黙々と、集中してその本を読み始めるだろう）

そう、ですね・・・お役目を終えて戻ってこれたら、またみんなでごはん、食べたいな。 その時は赤坂さんも、他の皆も、一緒に。 ふわりと笑いかけながら、ノイゼントルム郊外の地図を持ち、テーブルに広げる

教本が残っているかわかりませんけど、ここ・・・の近くに、 大きな図書館があるってきいた事が。どこまで調べられるかちょっと自信ないですけど 人もよく出入りしているそうなので、情報は集まってるかもしれない、かな。

その、赤坂さん、 ・・・うまくいえないんだけど、ありがとう。お気をつけて。

…お礼を、言われるような事は…。 それよりも、色々、個人的な事をお聞きしたり、差し出がましいこと言っちゃったりしてないか。 すみません。ありがとうございます。
（感謝の言葉を述べられて、そのほほ笑みから逃げるように、じりと後ずさる。 僕は何もしてないし、出来ないし。結局は事態を眺めていることしか出来ないのだから）

首を横に振り ううん、とんでもない！話を聞いてくれる人が増えるだけで、とても嬉しいな。 ほらほら、リンゴももらっちゃったし。籠を上げながらにこりと

　そのままロビーを出ようとして、立ち止まり。振り向いて
──差し出がましいついでなんですけど。 ヴァン君とマナちゃんに、事情は話されないのですか？ ふたりともちゃんと、わかってくれると思うし、 …大切な人の事態が、知らないうちに動いているのって、…多分寂しい、ですし。

す、すみません、また、来ますね！
（今度こそ、逃げるように外へと飛び出した）

うーん、そうだね、もうすこし大きくなったら、ちゃんと言おうと思ってるんだ、けど。 あはは、まさにその通りー！って感じで耳に痛いなあ 眉根を下げながらも笑顔は崩さない

あ、はーい、今度美味しいもの、おかえしするね！ そそくさと出て行く赤坂に手を振り、息をつく

・・・
「大切な人の事態が、知らないうちに動いているのって、…多分寂しい、ですし。」

そう、だよね・・・。

エーテル教に関する書物がいくつかでてきた。青年の認識は大まかには一致しているようで、 宗派ごとの精霊の特徴や力について事細かに記載されている。目に留まった単語は･･･

”７大精霊”、”霊誕祭”、”祈り子”
どれを参照しようか。

…とりあえず。精霊に関して確認してみようかな…。 ビリーさんの精霊は、月の、とおっしゃってたっけ…。
（”７大精霊”を参照）

”７大精霊”のページが開かれる。
月精霊：ルーン
影精獣：クーダ
水精霊：フルート
炎精獣：リブロ
氷精霊：イシス
風精獣：フラカン
土精獣：ジェンティ
「精獣」と「精霊」が混在しているが、 それぞれのページを比較すれば「雄型」か「雌型」で区別していることがわかる。

■月精霊：ルーン
教典第１章で語られた、月を司る精霊ルーン＝エリス。エーテル教の始まりとされている。 次頁の挿絵には、月明かりの下空を舞う、エルフのような外見の女性が描かれていた。
『金色の髪筋、　闇に光とじこむ眼、月に透ける肌は絹のよう』
ページを捲れば他の精獣霊も参照できそうだ。

チェイネルさんはフルート派って言ってらしたな…。 ──影精獣クーダって、響き、超かっこいいな。 （軽く厨二病）
（クーダ、フルートの項を続けて参照）

……精霊・精獣、への信仰心がその力の源だと聞いたけれど、 「エーテル教」への信仰心が、全精霊のちからになるのかな。 それとも、ルーンへの信仰がルーンのちからに、という形？
（ぱらぱらとページをめくりながら、内容を確認している）

■影精獣：クーダ
教典第２章で語られた、影よりいずる精獣クーダ=アポフィス。月精霊とは正反対の性質に位置づけられる。 非常に好戦的、かつ狡猾。挿絵には巨蛇と黒衣の男が描かれている。 『脚は地に融け、無骨の如く自由にうねる』
誰かが調べたのだろうか、”砂漠地方の少数民族に伝播、ルーン派との対立　有”とかかれた付箋が貼られている。

■水精霊：フルート
教典第３章で活躍する、水を司る精霊フルート=ハルフゥ。乱獲をする漁師の近くには彼女が現れ、 後に嵐を起こすという言い伝えがある。挿絵には人魚の女性が海を漂う姿が描かれている。 『澄んだ瞳　凪を守り　か細い腕　ひと薙ぎにて嵐を呼ぶ』

読み進めてみたところ、信仰心について以下の記載を見つけた。
『奇跡は我らの心を写すもの　祝いの儀にて一縷紡がれ衣とならん』

『一縷紡がれ衣とならん』
……全体的に詩的表現が多いな。 各神様への祈りの糸が、束になり、一つになると考えてもいいだろうか。

（と、クーダのページに貼られた付箋が気になる）
でもなぁ、それなら、派閥同士で対立なんてしてたら 自派閥の足枷にも成り得るんじゃ…。 まぁ、人が集まれば勝手にいがみ合う物だけども。

──まてよ、『祝の儀』 ……さっき確か。これの事だろうか。
（　”霊誕祭”　のページに戻る）

"霊誕祭”のページが開かれる
一年に3日間、月照る町コーデリアで執り行われるお祭り。（2/3〜2/5） 色とりどりの星型の紙飾りで装飾される他、顔をマスクやフードで隠す決まりがある。 精獣霊の生まれを祝うお祭りで、顔を隠すのは、彼らが人に紛れて遊びにこれるようにと言い伝えられる。
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へぇ、いいな、お祭り。エーテル教のひとたちがひとつの街に、集まるのかな。 これならビリーさんも、もふもふのまま参加してもマスクだ！って言い張れるんじゃないだろうか。

……神様が遊びに来る、ねぇ…。 実際、好戦的なクーダさんとかが遊びに来ちゃったら、大惨事になるのでは。

（独り言を言いながら、そのままの流れで”祈り子”の項へとページを繰る）

”祈り子”のページが開かれる
精獣霊らの媒介。霊誕祭では踊り子と共に舞い、祈りをささげる。 祈り子の中でも、精獣霊から力を借りて魔法を行使できる者を精獣霊遣いと呼称する。
”贄？要調査”と書かれた付箋が貼られている

……贄？
（付箋の文字がとても不穏な空気で。 祈り子に関する他の資料や、過去の霊誕祭の記録など、何か関連の物がないか、たくさんの本と格闘しながら）
付箋の文字は誰のものだろう。…ビリーさんの文字は、どんなだっけ。

（記憶を手繰る。これがビリーさんの文字では無いにせよ、誰かがこれを調べているという事だ。クラン【ゲロイ】のロビーに置かれた帳面など、ピンとくるものは無いだろうか）

祈り子に関する資料はこれ以上出てこなかった。 調査している人間がいる辺り、今後進展があるかもしれない。

付箋の文字はビリーのものではないようだ。記憶をたどればギルドの名簿に似た筆跡がある事を思い出せるだろう。
筆跡のあった名簿のクエスト：グレムリン生態調査

……そう…グレムリン生態調査だった…。ちょっとあたってみようかな…。
（独り言を言いつつ、残りの、炎・氷・風・土精獣霊のページをぱらぱらめくり。他に付箋が無いかもチェックしてみる）

──クエストといえば。 もうひとつの「ククル教」ってのも気になってたんだよな。 何かあるかな。……アヴェさんに直接聞いた方が早いかな。
（そちらに関しても資料になりそうなものをちらと探してみる）

■炎精獣：リブロ
教典第５章で山火事から這い出た精獣、リブロ=ウィテナト。生命力の強さから、勝利の獣とも崇められている。 挿絵には、長い黒髪を束ねた男性が描かれている。
■氷精霊：イシス
教典第４章で語られた、冷気を操る精霊イシス=コリウキ。静寂を好む為、教徒は少ない。 挿絵には、踊り子をイメージしたような女性が描かれている。
■風精獣：フラカン
教典第６章で語られる、イタズラ好きの精獣フラカン＝イストリン。妖精に化けて人里に下りることも多かったようだ。 挿絵には、翼の生えた少年が描かれている。
■土精獣：ジェンティ
教典第７章で活躍する、土と豊穣の精獣ジェンティ=トテック。平和を重んじる温厚な性格とされるが、 挿絵には鬼が描かれている。
付箋は特に見当たらなかった。 ・・・ククル教の本はたくさんあるものの、統一感がなく精査するのが難しそうだ。

（ぱたりと本を閉じる。すっかり時間が経ってしまっている事に気づくと慌てた様子で片付けて） 静かで、落ち着いてしまった。 こういう、何か調べてる時が一番、……何ていうか。
（何だろう、こう。自分が自分でいられるような。そんな充実した気持ちを胸に、図書館を後にした。既にその姿を山の端に隠そうとする太陽を見ながら）

──アヴェさんに話を聞くのは、…日を改めた方が良さそうだな。