君の名は
第三期:キンダーガーテン
あたらしくやってきた少女と、双子の名前。
ふーちゃーん・・・ふーちゃーん・・・。
(部屋の隅から大きめのバスケットを持った少女がとぼとぼと歩いてきた。少女は誰かを探しているようで探している者らしい名前を呼んでいる)
(子供達の様子を足を組んで、ずーっと遠くから様子をみていたところ、今度は少女がやってきたようだ) あら、また誰か来たわね。
・・・ふーちゃん・・・どこぉ・・・?
(いつの間にか見知らぬ場所に来てしまったことに気が付き、泣きそうな顔になるが自分と同じくらいの年の子が集まっているのを遠目で見て)
あ、おなじくらいのこがいっぱい・・・。
(なにやってるのかな?自分がまざってもいいのかな?・・・そう考えながら子供達を見ながら部屋を歩いていると、一人離れた所にいたサファイアさんに気が付き、少し戸惑いながらも彼女の元へ歩いていき)
あ、あの・・・えっと・・・
ちーさくて・・・あかくて・・・みどりいろの・・・ふーちゃん、しりませんか?
(か細い声でサファイアさんに聞いてみた。 少女の目には涙がたまり今にも泣きだしそうだ)
…ん?(少女の声に顔をあげる) また、子供だ…誰だろう。 ふーちゃん?…もしかして、フーのことかな?(ドラゴンの方を見ながら)
いらっしゃい?かわいいお嬢さん? …ふーちゃん?ペットらしいものはアッチに一匹しかいないわよ。 (指差した子供達が沢山いるところの中に、小さなドラゴンがいる)
(サファイアさんが指をさした先を見るとそこには木のボウルの傍でうつらうつらしているふうこが見え)
・・・ほんとうだ!
おしえてくれてありがとう、おねえちゃん!
(サファイアさんにお礼を言うと後先考えずにふうこの元へ走っていった)
(木のボウルの傍に座り、うとうとしていると聞き覚えのある声がして、顔を起こすと泣きそうな顔で駆け寄ってくる主人の姿が見えた)
(・・・ナオ!)
(こちらに来るナオの元へ行こうと立ち上がったその時、今までの記憶が一気に頭を駆け巡り、足が止まる)
(・・・あ、あれ? なんでいつもよりも視界が低く・・・)
(見慣れぬ景色、いつもと違う体の感覚に戸惑っていると、小さいナオミが駆け寄ってきて、抱きめられる)
(・・・あれ〜?なんでナオまでちっちゃくなって・・・あー、これ夢かぁー・・・)
ふーちゃん・・・あえてよかったぁ・・・。
(風子がどう思ってるのか知る由もなく、ナオは風子をぎゅっと抱きしめている。ようやく探していた風子に再会できた事に安堵し、顔を上げると周りの状況に怯えてしまい)
え、あの・・・その・・・ずっとふーちゃんをさがしていたら、いつのまにかこのおへやにいて・・・か、かってにはいって、ごめんなさい!
(風子を抱きしめうつむいたまま周りの子供たちに謝った)
あ、またあたらしい子だ! いらっしゃい! 友達が増えた、と言いたげに、ぱっと笑顔になって
(テルプさんのあっけらかんとした返答にきょとんとして)
あ、うん・・・こんにちは・・・はじめ・・・まして・・。
きゅうにびっくりしちゃって・・・ごめんね・・・。
(初めての状況に戸惑いつつも、ぎこちない笑顔で挨拶をした。緊張しているのかふーちゃんをぎゅっと抱きしめる)
わあ、こんにちは!
だいじょうぶですよ、わたしもいつのまにかここにいたんです。
(いっしょですね、と安心して貰える様ににっこり笑いかけながら)
フーさんは、さがしてるひとがいたんですね。あえてよかったですね!
(抱きしめられているフーさんにも、嬉しそうにそう声をかける)
(うんっ。その上ナオにまた幼馴染として扱ってくれるなんて夢みたいだよ〜♪)(あまりの嬉しさにネフライトさんににこりとほほ笑み)
きゅぅ〜♪
(上機嫌な声で鳴いた)
(謝ってくるナオミに慌てて)
だ…大丈夫だよ?僕たちもいつのまにかここにいたんだし…。
そのドラゴン…フーは君のともだち?
そ、そうだったんだ・・・。
わたし、てっきりよそのおうちにはいったとおもった・・・。
ううん、ふーちゃんはずーっとずーっとそばにいるからともだちじゃなくてかぞく。
ふーちゃんのほうがちょっととしうえでおねえちゃんなんだ。
・・・でもどうしてふーちゃんのおなまえしってるの?
もしかして・・・おにいちゃんって、ふーちゃんとおはなしができるの?
そっか、かぞくなんだ。
こんなにかしこいドラゴンがおねえさんなの、たのもしいね。(腕の中のフーに向かってにっこり)
僕はオルゴー。君は…?
あ、ううん。僕はおしゃべりできないけど、フーはね、じぶんでおしえてくれたんだよ?
(名前の書かれたスケッチブックを拾い上げて見せる)
わたし、ナオっていうの。
・・・オルゴーおにいちゃん・・・よろしくね。
(ナオははみかみながらオルゴーさんに挨拶をした)
(オルゴーさんからスケッチブックを見せられると驚きの表情をみせ)
わ、わぁぁぁ! ふーちゃん、こんなこともできるようになったんだー!すごいすごーい!
(ナオはしゃいで風子を褒める。風子はどこかしら自慢げだ)
ホントびっくり、しちゃうよねぇ。俺っちも、気がついたらこんな、しらないトコ!
おにいちゃんもそうなんだ・・・。 みんな、いつのまにかここにいたんだね・・・なんかふしぎー。 (ナオは風子に『ねー』って感じで同意を求める。風子はナオを暖かい眼差しで見守っている)
はい、そうなんですよ。ふしぎです、ねー。
(なおちゃんとフーさんの親密そうな可愛い「ねー」を、知らず思わず真似しながら、他の子となおちゃんの挨拶を耳にして)
お名前、ナオさんっていうんですね。
わたしは、ネフライトともうします!
そう、わたしのなまえはナオだよ。
ネフライトくん、よろしくね。・・・あ、ネフライトおにいちゃんってよんだほうがいいかな。
はい。よろしくおねがいします、ナオさん。
おにいちゃんじゃなくって、いいですよ。
(君づけで呼ばれるのも初めてなので、少しくすぐったそうにしながら)
ふしぎー、だけど、たくさんともだちがいて、たのしいよ♪
こわいひとも、いないみたいだし、もしこわいひとがきても、
そのにーちゃんが(オルゴーさんを指して)まもってくれるんだって。
……俺っち、テルプだよ。よろしくね♪
わたしもおひっこししたばかりだし、まえにすんでたところもおとなばっかりだったから、
おんなじくらいのこといっしょにあそぶの・・・きょうがはじめて。
(オルゴーさんの方を向き)
エルフさんはまほうがとくいっておとーさんからおしえてもらったよ。
おにいちゃん・・・エルフさんでしょ? ・・・だったらだいじょぶだね。
わたし、ナオっていうんだ。このこはふーちゃん。 わたしのかぞく。
・・・ほんとうはふぁー・・・えっと・・・もっとすごいなまえだけど、ながくておぼえてられないから、ふーちゃんってよんでるの。
うん、僕はエルフだよ。ケガとかしたら僕がいっぱつで治してあげるからね!
(この年の頃にそれだけの技量があったかどうかはさておき)
ナオ、よろしくね。
あのにーちゃん、「えるふ」 ってなまえだったっけ?
別の名前で呼ばれていた様な気がするけど、と首をかしげるが、あまり人の名前に頓着しない性格のようで。
ナオ。よろしくね。
文字がかけるなんてフーはすごいよね…僕もびっくりしちゃった。 あ、木苺いる?さっき、この子もたべたんだけど…(と、フーとその傍らの木苺の入った木のボウルを見る)
わたしもモジのこと、おしえてないからビックリしたー。
きっとふーちゃん、かしこいからわたしがやってることみて、べんきょーしたんだねー。
(再びナオは風子に『ねー』って言った)
え、おるごーおにいちゃん、きいちごもってるの?
うん・・・たべ(オルゴーさんから木苺の件を聞いた風子は何かを思い出したのか慌ててナオの腕から離れた)
あ、あれ!? ふーちゃん?
(ナオの腕から降りた風子は木苺が入ったボウルの元へ駆け、ボウルを咥えナオの前に戻ると)
(いや〜・・・感動の再会で木苺の事すっかりわすれてたよ〜)
(ボウルをナオの前に置き、オルゴーの方を向き)
(オルゴー君、教えてくれてあんがと〜!)
きゅう〜!
(尻尾をパタパタと振りながら、鳴いた)
(ボウルを差し出すフーの様子をみて笑う) あはは、フーは本当におねえさん、なんだね。 じゃあこれ、2人で食べるといいよ。 (木のボウルに幾つか木苺を足しながら)
オルゴーおにいちゃん、きいちごいっぱいありがとう! (オルゴーさんにぺこりとお辞儀をして礼を言った。)
木苺、たくさん取っておいてよかったよ。 いきなりこんなたくさんの友だちができるとおもわなかったからね。
(女の子が増えたのでちょっと嬉しくなって、とてとてと近づく)
…こんにちは…。
ふー…いいこ…。
(ふうこを抱えている事に気付いて)
…かいぬし?
(自分と同じ女の子がいることにちょっとうれしくなり)
えと・・・はじめまして。わたし、ナオっていうんだ。 よろしくね。
うーん、かいぬしというよりはふーちゃんのいもうとかも。ふーちゃんはわたしのこと、いつもたすけてくれるんだ。
だっこすると、ひんやりしてきもちいいよ。 だっこ・・・してみる?
(ナオから抱っこしてみる?って聞き、アノチェさんをじっと見つめる)
(大丈夫〜。 噛みついたりしないよ〜?
まー、抱っこするのはキミの自由だから無理強いしないけどねー?)
(風子はアノチェさんを安心させるように目を細めた)
うん!ナオちゃんだね…!
いもうとなの?わたしと、おなじ…!
(兄の方に向いて目で紹介する)
あそこ、おにいちゃん…だよ。
えと…わたしは…うんと…。
(困った顔をして)
「はろ」…でいいよ。
ほんとうはね、なまえ、ないの。
(「だっこしてみる?」という誘いに)
ほ、ほんとう…?いいの?
ふー…、いい?
いいこ、していい?
(恐る恐るだが、風子を抱っこしようと手を伸ばした)
えへへ、おなじいもうとだね。おにいちゃんもやさしそう。
(アノチェさんの名前の件を聞き、子供なりに察したのか)
・・・そっか。
ほんとうのなまえ、みつかるといいね。
うん!
おなじおんなのこだし、いいよね? ふーちゃん?
(ナオはボウルを持ってきた風子に視線を合わせ、風子に問いかけた)
(風子はアノチェさんの前に行き、ごろんと仰向けに寝っ転がってお腹を見せ)
(もっちろん、ナデナデしてもいいんだよ〜?)
(期待した眼差しでアノチェさんを見つめた)
(風子の了承の合図に、ぱぁ!と笑顔になって)
うん…!いいこいいこ…。
(仰向けの風子お腹を優しくなでてみる)
…つめたい?
さらさらしてる。
…ねこじゃないけど
(ようやく猫じゃないのを理解したらしい)
きれい、だね。
(ふふ、そうでしょそうでしょ? ナオもお気に入りなんだー♪) (アノチェさんにお腹を撫でられ気持ちよさそうにしている)
うん、すごくキレイ!
わたしもふーちゃんのおなか…ううん! せなかも、しっぽも、つのも…ぜーんぶだいすき!
(フーの全てが大好きアピールをアノチェさんにするとえへへと笑うと、木苺がいっぱい入ったボウルを手に持ち)
あのね、きいちごいっぱいもらったから…ハロちゃんもいっしょにたべる…?
うん…!たべる…! ふー、も、たべよ?
(アノチェさんの声に反応して、風子はむくりと起き上がるとナオの傍に座る) (うん、食べよ! あ、でもアタシは一つでいいかな〜?…って今喋れないんだっけ) (最初の方に書いたスケッチブックはどこへやったかなときょろきょろしている)
風子とナオミの姿を見比べながら
…ねえ、ナオ。もしかしてフーはもっと大きくなったら言葉も喋れたりするのかな?
人間に変身したり…とか?
(ん〜と少し考えると)
うん、ふーちゃんのシュゾクはもうちょっとおっきくなったら、ひとのすがたになっておしゃべりできるようになるって、おとうさんいってたよ。
ひとのすがたになったふーちゃんがどんなすがたなのかなぁ・・・?
びじんさんかなぁ・・・?
(クレヨンを取りに行く風子の後ろ姿を見送りながら)
…そうか、やっぱり! (脳裏に浮かべていたとある2人の姿と照らしあわせて、愉快になって笑う) ふふ、きっとそうだよ。びじんさんだろうね、フー。
女の子たちが木苺を食べてきゃっきゃと笑いあっている後ろで、 ネフライトとアルバが話をしている。
(おにいちゃんと呼ばれて、くすぐったい気持ちに肩をちょっとすくめて)
あっ、わたしには、きょうだいがいないんです。
お家の人たちはおとなの人ばっかりだから、わたし、おにいちゃんってはじめてよばれました。
(オルゴーくんが嬉しそうにしていた気持ちをちょっと理解しながら)
おれも、おにいちゃんって呼ぶの、はじめて…。
(ちょっと嬉しそうだ)
おにいちゃんは…どこにすんでるの?
わたしのお家は、町からはなれたところにあるからとてもしずかなところなんです。 とおくのほうにお山と森が見えて、ちかくにはみずうみがあって、みずどりさんがいっぱいとんできますよ。
…そっか。まちには出ない?
あのね…もし、ここじゃないところで、おれたちをみたら、にげてね。
(上等な衣類からターゲットにされるかもしれないと、幼いながらも思ったのだろう)
ここでともだちになってくれたの、うれしかったから。
もう、なくなっちゃうの、やだから。
…にげてね。おねがい。
はい。わたし、お庭までしかお外にでたらいけないから、町にはいかないです。
(にげてね、という言葉に事情が良く解らずに少し戸惑うが、心配されている事は理解しつつ)
……わかりました。わたしがにげないと、いやなこと、になるんですね?
でも、せっかくおともだち……になれたのに。
(ともだち、と言って貰えた事に嬉しさと、にげて、と言われた尋常でなさに、解らないながらも胸苦しさを感じるのに板挟みになって、ケープの胸元を握り込む)
いっしょに、にげたらだめなんですか?
いっしょに?
(驚いてネフライトの顔を見詰める)
…ううん、だめだよ。
おとなのちからにかてない。あいつらにはかてない。
おれ、ちいさいから。よわいから。
いっしょににげても、ともだち、まもれない…。
(ぎゅっと服の裾を握って)
おおきくなって、おれ、つよくなるから。
そのとき、もしみつけたら、そしたら、にげないで、おれ、はなしかけるよ…!
(大人から身を守らなければならない、という感覚が良く解らないながらも、あるばくんの痛々しく真剣で悔しそうな様子に、同じく真剣な顔と瞳でしっかりと頷いてみせて)
……わかりました。
わたしも、大きくなったら今よりつよくなります。
おともだちを、まもりたいものを、まもれるおとなになります。
だから、ぜったい、声をかけてくださいね!
やくそく、です。
(約束の証に、握手を求めようと手を差し出す)
うん!やくそくする。
ぜったい、声をかける。
(差し出された手…いつもなら自分が手を差し出し、連れて行き、無くしてしまうもの。
それを振り払うようにブンブンと頭を振ると握手を返した)
ぜったい、つよくなって、まもれるように。
(にこ!っと笑顔になった)
(握り返された暖かい手に、しっかりと握手を返し。)
交わされる手と手と、約束と。
──その横を、風子はクレヨンとスケッチブックを運んで、ナオミたちの元へと戻る。
カラフルな玩具が沢山散らばっているのを見てオルゴーが口を開いた。
(ネフライトの家へと遊びに行く、その日に思いをはせて)
ネフライトのおへやってどういうカンジなんだろ…ああいうの、あるの?
(部屋の遊具やおもちゃを指差す)
(オルゴーくんの示す指の先を見渡すが、あまりピンとこない様子で)
わたしのおへやには、ないものばかり? みたいです。
えっと、たくさんのご本のたなと、オルガンと、大きなハトさんがでてくる大きなとけい、と、
きれいな森のえ、とか、とってもちいさなお家にちいさな家具がはいっているもけい、とか。
あと、とうさまがつくってくれる……えっと……
ビンに、ちいさいおふねのもけいがはいってるのが、とってもいっぱいあります!
それから、わたしはまだむずかしくてあそべないけれど、りっぱできらきらしているチェス、もあります。
大きくなったらとうさまとそれでしょうぶするって、おやくそくしてるんですよ。
そっかあ、きちんとしたおとなのへやってカンジかな。こどものおもちゃ!っていうものはないんだ?チェスはおとなのあそぶものだもんね。
………ね、ネフライト、せっかくだから、あれ、なにかあそんでみない?
木のブランコなら森にもあったけど、ああいう (小ぶりのぞうさんの滑り台を指差す) のはなかったんだよなあ… (そわそわ!)
ブランコならわたしもしってます、お家のお庭にレジーさんがつくってくれました!
……でもあれは、しらないです。
なんだかかわいい、だい? ですね。どうやってあそぶんですか? のりもの、なんですか?
(そわそわオルゴーくんにつられて興味をもって、ちょっとわくわくした様子で)
まちの子があそんでるの、見たことあるんだけどね。
こっちからのぼって……ここからスッと…。
(小ぶりのぞうさんの滑り台を実演してみせ、服をはたきながら立ち上がる)
ね、かんたんだよ。
(冷静を装っているが何故か目が輝いている…!)
わあ……ブランコより、ずっとたかいです。
(お手本を見せて貰って、自分も滑り台をのぼってみる。小ぶりと言えども慣れぬ高さに少しだけ躊躇うが、えい、っと滑ってみる……)
――けしきが、ながれました!
おっこちるの、すこしこわかったですけど、すべるのってふしぎでたのしいんですね!
(初めての滑り台が感動的だった様子で、オルゴーくんに負けず劣らず目や頬を輝かせて、弾むような足取りで立ち上がりながら服を払って、楽しそうに笑う)
(ネフライトのすぐ後ろから再度滑り降りると、すぐまた登って) …うん、なんかたのしいよね!これ…! 街の子たちがやってるのみてね、ずっとたのしそうだなーっておもって…!えい! (キラキラした瞳で再び滑り降りるその姿は大人でなくてよかった)
たのしいですね!
町は大きくて、ひとがたくさんで、ものもたくさんだってご本にありましたけど、ほんとうなんですね。ほかにも、たのしいものたくさんなのかなあ……。
(自分で滑ったのも楽しかったが、オルゴーくんが何度も滑っている動きを追うのも楽しい様で、同じくきらきらした瞳でじっとそれを見詰めている)
滑り台を無心で滑っているオルゴーだったが…。
(ふと、――誰かに呼ばれたような気がする。少しずつ大きくなっていくその声に、夢の終わりが近づいていることを何となく理解した)
(滑り台の上からみんなに向き直る)
…ごめん!僕、もう行かなきゃいけないみたいだ。
なかまがよんでるんだ。
みんなとはまた…すぐ、あえるとおもう。
だから…またね!
はい、木苺、のこりはサファイアにあげるよ。
(腰から木苺の入った袋を外してサファイアに渡しながらにっこりと)
(ふと大人の口調に戻って)
…夢は夢でも…どうやら悪いものじゃないみたいだね。
ここでなら、いい夢を見れるんじゃないかな…君も。
その首のものだって、望めば消してしまえるんじゃないのかい…?
それじゃあまた、向こう側で会おう、サファイア。
(そう言うと、エルフの少年は開けてもらった扉をくぐっていった)
…あら、いいのかしら。
(木苺をもらうとひとつパクリ)
…いい夢…ね…。
…アンタ達にとっていい夢ならアタシは何も言わないわ。
じゃ、扉は開けておいたから。
また会いましょう?オルゴー♡
(ウインクをすると軽く手を振った)
そっか…オルゴーおにいちゃん、かえっちゃうんだね。 おおきくなったら、ふーちゃんといっしょにおにいちゃんのところにあそびにいく…ね。 (ナオは涙をぐっとこらえ、オルゴーさんの姿が見えなくなるまで彼の後姿を見送った)
(ん。まったねー、オルゴー君)
(オルゴーさんが扉の向こうに消えるまで尻尾を振って彼を見送った)
(やっぱりここは夢なんだなぁ・・・アタシの場合は・・・)
(ナオをちらりと見ると)
(ナオが記憶を思い出した時が目覚め時・・・かな)
…あ…。
おにいちゃん!おにいちゃん!!
きいちご、ありがとう!
こんどは、いっぱい、いっぱい…。
(裾をぎゅっと握って)
わらうから!おおきくなったらあいにいくから!
(最初の頃と全然違う、生き生きとした表情をオルゴーが見ることが出来たかは定かではない)
…にいさま…! あのね…あのね…きいちごありがとう…! (泣きそうになるのを堪えると手を振った)
ん。えるふにーちゃん、ばいばーい♪ 俺っちのうた、とどけてね! たのんだよ! 笑顔で、大きく手を振る。遠くへと、見送るように
(オルゴーくんが扉をくぐり終えたのを見届ける。
「なかまがよんでるんだ」と言ったオルゴーくんの言葉が、身に馴染む気がする。どこかに違和感を感じながら。交わした約束を胸に手を振った。)
……ナオさんとフーさんは、きれいな赤とみどりでおそろいで、とってもなかよしなんですね。
(すてきですね! と、ふたりの髪と角、鱗と瞳を見比べて微笑む)
おとうさんのともだちのアーサーさんやおとうさんのじょしゅのアレスさんにも、おそろいだねってよくいわれるんだー。
なかよしだからあそぶときもたべるときもねるときもずーっといっしょー・・・えへへ・・・。
(ネフライトさんに褒めれて、ナオはしばらく恥ずかしそうにしている)
おそろいでずっといっしょって、とってもたのしそうですね。 きょうだいって、そういうものなんですか?
うーん…おそろいはきっとぐうぜんだし、
きょうだいといっても、いろんなひとがいるけど…。
でも、わたしたちは、おたがいがずっといっしょにいたいっておもうから、そうしているんだよ。
(そう言ってナオはフーに『ねー』っていう。風子は答える代わりにナオに近づき、足をスリスリした)
(ふとネフライトさんの手を見て不思議そうな表情に変わった)
えと・・・ネフライトくんのおててとあたまの・・・あと?
それ、せいじゃさまのおしるし・・・?
もしかして、ネフライトくんのおとうさんって・・・きょうかいのひと?
はい。これは、いばらのせいじゃさまのおしるし、です。
あ、ぜんぜんいたくは、ないんですよ!
(心配して貰ったり、泣かせてしまったりした事を思い出して、そう付け加える)
きょうかい……は、よくわからない? です。
ナオさんは、きょうかいのひと、なんですか?
ううん、わたしのおとうさんはがくしゃさん。
おとうさんがね、せいじゃさまのおしるしは、かみさまをものすごくしんじてるひと につくこと があるって おしえてもらったから、ネフライトくんのおとうさんは、きょうかいのひとかなーっておもって きいたの。
…でもちがうみたいだし、どうしてネフライトくんについたんだろうね?
(ナオは風子を抱きかかえ、ネフライトさんの痣を不思議そうに見ている)
(ふと再び。「なかまがよんでるんだ」と言ったオルゴーくんの言葉が頭の中でリフレインする)
そうだ、わたしも、そろそろお家にかえらなきゃ、みんながしんぱい、す……、
(違う)
――ちがう。
わたしは、わたしがかえるのは、かぞくのもとではなくて、なかまの……、…………。
そう、アティルトに拠点を持つ、クラン[翡翠のあずまや]の、仲間のもとに帰るのだ。
(自覚と共に、今まで一切疑問に思わなかったこの空間の不可思議さが俄かに心に際立って見える。窓も無く、出入り出来るのは扉一枚の、閉ざされた子供部屋。しかし、収監感や閉塞感は感じられない。それは、内装として描かれている開放的な空や森の効果だけではなく思えた)
……誰しもが子供に還る夢の場所、でいいのですかね。
明らかに、子供の頃の身体ですよねこれは。
つい先程まで、童心にも還っていたのも事実ですし。
(そう考えて、思わず、つい先程まで心に当然の様に満ちていた筈の家や父母、使用人たちの事を詳細に思い出そうとするが、それこそ夢の様に既に朧げで追う事が叶わない事を知った)
――そう、ですね。
もう全て過去の事です、ね。
今現在の私の心がここに存在する以上、子供の私の心は存在し得ないのは道理です。
(ちいさな子供のてのひらを目の前へ広げて、それを覆う聖痕ごと、強く拳を握って独り頷く)
私の子供時代は、既に終わっている。……もう、己が今在るべき処へ、帰りましょう。
にじのあしもとのたからものは、どうやらもう沢山、戴いた様ですからね。
(そう呟いて、てのひらをほどいて、穏やかに笑った)
考えに沈み、伏せられていた目線を、ナオさんの方へと上げて。
偶然でも、素敵ですね。
ずっと一緒に居たいと想う絆は、きっと途切れる事は無いのでしょう。
(不思議そうに見つめられ、聖痕の手と手を、胸の前でそっとさすって)
父様も母様も、家の皆も、茨の聖者を心から信じていましたから、それでかも知れませんね。
ただ、私がこれを持つ意味は……今でも正直、わからないんですよ。
(すみません、と言ってふふっ、と笑う)
――貴方がたが、望む限りどうかずっと共に居られますように。
ネフライトくんもかえっちゃうんだね…。
うん…わたし、ふーちゃんとずっとずっといっしょにいるよ…。
ネフライトくんも、せいじゃさまのしるしをもったいみがみつかるといいね。
(涙をこらえ、ネフライトさんの姿を見送る)
…あ、もう、いっちゃうの?
あいつらがおにいちゃんをねらわないよう、おれ、がんばるよ!
…おにいちゃんはおおきくなったら、つよくなって、何になりたい?
(意志を持つ笑顔に、笑顔を返す)
貴方は必ず、強くなりますよ……お兄ちゃんは、知っています。
(笑顔をちょっと悪戯っぽい笑みに変えて、少しお道化た調子でそう言って)
そうですね。私も、皆を護れる様にありたいですね。
そして少しだけ、その人たちが望む道を歩む為のお手伝いが出来ればいいと思っていますよ。
――貴方と妹さん、そして大切な人たちとの幸せを願っています。
ほ、ほんとう?!
(ぱぁっと笑顔になる)
(ブンブンと手を振って、扉を出て行くネフライトを見詰めた)
ええ、本当です。
そう、あるば君に微笑んだ後、今度はあのちぇちゃんに笑いかけて
これからも、その笑顔と綺麗な歌をどうぞ忘れないでくださいね。
――幸せを呼ぶその歌声が、大切な人たちとの絆になりますように。
あ、あのね…。
こわがって、ごめんなさい…。
うん、おうた、すき…!
おにいちゃんにも、こんど、うたってあげる…!
またね…!
(小さく手を振って、ネフライトを見送った)
テルプさん、……笑顔の魔法使いさん!
貴方の楽しい歌と音楽、またぜひ聴かせてくださいね。
――貴方にとって、たったひとつの美しい宝石が、どうかその手に見つかります様に。
──? 難しい言葉には首をひねりながらも>
うん! 村はとおいけど、……いつでもききにきて! まってるよ!
サファイアさんに向かって
お話出来ませんでしたが、その赤い瞳と口調、私には確かに覚えがありますよ。
その枷が、貴方ご自身から無くなる日が来る事を、及ばずながら祈っています。
――どんな堅牢な錠にもきっと、どこかに鍵は在ると私は信じていますよ。
あら、思い出したの?
おぼっちゃま口調かわいかったのに♡
…アタシ、鍵なんてあると思ってないわ。ないなら壊せばいいのよ。
…ああ、この格好だから尚更なのかしら。
ふふ、これ、取れないのよね。…どうしてかしらねぇ。
(ふざけて首輪の鎖をじゃらりと鳴らす)
夢から醒めれば直ぐ会えるわ。今度はあちらで会いましょ?
(ひらひらと手を振ると扉を開けてあげた)
全員に向けて
お名残り惜しいですが、私もこれで失礼します。
ですがさようならは、言いません。また必ず、お逢いしましょう!
(開けて貰った扉をくぐる時、嗚呼、と思い出して、ふふッと微笑んで呟く)
……初めての滑り台、楽しかったですよね? オルゴー兄様。
(一度は途切れたと思った絆だけど…。二回もナオがいる世界に引き寄せられた事を考えると…心の奥底ではアタシとの絆、大事にしまってくれているのかな?)
(ネフライトさんの言葉に二つの偶然にふと気が付き、彼を見送ると)
(……気づかせてくれてありがとう…ネフライトにーさん。
にーさんも、聖痕を持った意味…みつかるといいね)
(感謝の気持ちを込めるようにきゅぅと鳴くとナオの傍へ戻った)
イラスト:ジョブチェンジャーズ さま
オルゴーとネフライト。
ふたりを見送って少ししんみりとしたのもつかの間の事。
こどもたちは楽しくお喋りを続けている。
・・・テルプくんは・・・かぞくっている?
んー? んっと、かぞくはー、かーちゃんがいるよ。とーちゃんは、…いなくなっちゃった。
……みんなは村をにげだしたんだっていうけれど。
かーちゃんのびょうきのおくすりをかいにいったんだって。かーちゃんがいってたよ。
さばくをずーっといったところに、おっきいまちがあるんだって。
──いきてると、いいな…。
ナオの家族は、ふーちゃんだけなの?
(テルプさんの父親の話を聞き、しんみりとすると)
・・・ううん、おとうさんもいるよ。でも・・・おかあさんはいないんだ。
ずっとまえからいないから、おかあさんがどんなひとなのか・・・ほとんどしらないの。
テルプくんのおとうさんのはなしって・・・おとなたちがそういってるだけでしょ?
・・・だったらきっといきてるとおもうよ。
おとうさんって、おかあさんとわがこのためなら、がんばれるモノだって・・・わたしのおとうさん・・・いってたもん。
そうだよ、みんなうそばっかり言ってるんだ。 かーちゃんはずっと、とーちゃんのことしんじてる。 …だけどほんのときどき、さみしくなっちゃうからさ…。 俺は、かーちゃんのこと、もっとえがおにしてあげるんだ。
…そうだよね。かえってこないってさみしいよね。 ねぇ、テルプくん・・・おかあさんって、やさしい?
かーちゃん、やさしいよ。
えがおがすてきだって、うたがじょうずだって、ほめてくれるし。
びょうきで、ずっとうちでねてても、いつでも俺のことかんがえてくれてるんだって。
だからナオのかーちゃんだって、とおくにいても、ずっとナオのことかんがえてるよ。
母親の話をして、急に不安になってきたのか、周りをきょろきょろして
……ここ、どこなんだろうね。
(各々が「帰れるだろうか」と不安になっているところに)
…帰りたければそこの扉から出るといいわ。
さっきのふたりが帰ったように。
アンタ達の望む所に帰るといいわ。
帰れるかどうかなんて気にしなくていいのよ?
どうせ、これは夢なのだから。
サファイアさんの言葉に笑顔に。
そっか、それなら安心だね。
テルプの方へと向き直る。
わたしもいえのことをてつだってるけど…しっぱいがおおくて、かえっておとうさんをしんぱいさせちゃうんだ。
だから えがおにできちゃうテルプくんって すごいとおもう!
それに、テルプくんのおかあさん…、すごくあたたかくてやさしいし…ちょっとうらやましい。
(しんみりとしたかおになるが、すぐにぱっとわらって)
テルプくんっておうたじょうずなんだよね? わたしもテルプくんのおうた、ききたいな。
…あ、おねえちゃんもおうた、ききたいって。 おにいちゃん、またうたって…!
えへへー♪ じゃ、ナオも俺っちのうた、おぼえてかえって、とーちゃんに聞かせてあげなよ!
きっと、とーちゃん、えがおになってくれるよ?
えがおのまほうは、だれにだってつかえるんだから。
じゃ、みんなでうたおう!
かんたんな、おぼえやすい歌を繰り返し、くりかえし。
(テルプとナオミの会話をジッと聞いて)
おとう…さん?おかあ…さん…。
…あのひとたちのこと…じゃない…よね。
(会話を聞くに、とても優しい人達のようで、自分達がみる大人とはかなり違うらしい)
…そっか…。
わたしと、おにいちゃんにも、いたのかな…。
とーちゃんとかーちゃんは、じぶんをうんでくれたひと、だよ。 いまちかくにいなくても、ずっと俺たちのことをかんがえてくれてるんだって。 だから君もあんまりないてばっかりだと、とーちゃんもかーちゃんもしんぱいしちゃうから いっぱいうたって、いっぱいえがおでいるんだよ?
(アノチェさんから私たちにも親がいたのかと聞かれ)
ぜったいにいるよ!だって、おとうさんとおかあさんがいないと こどもはぜったいにうまれないって、おとうさんいってたもん。
いまそばにいないのは…きっとりゆうがあって、とおいところにはなれちゃったけど………ハロちゃんとハロちゃんのおにいちゃんのこと…きっとかんがえて…しんぱいしてくれてるよ…。(目を伏せ、泣きそうな顔になる…二人に名前がない事や両親の事を知らない事がナオには…悲しく感じた)
(テルプさんの『笑顔でいるんだ』って言葉を聞き、顔を手でごしごしして)
…そうだね。ないてたらおとうさんたちにしんぱいされちゃう。
よーし、えがおのまほうおぼえて、おとうさんたちをえがおにしよう。
ねー、ふーちゃん。
(戻ってきた風子にそういうと、少し恥ずかしそうにテルプさんと一緒に歌を歌いだした)
(アノチェさんの言葉が耳に入り)
(あの人…あの人って誰の事なんだろう?)
(アノチェさんの顔をちらりと見ると、彼女の反応からして触れてはいけない内容だというのはなんとなく分かった)
(え、これアタシも歌わなきゃダメ? ナオの歌聞いている側に回りたいんだけどな〜)
(風子はナオの傍に座ろうとするが、ナオに抱きかかえられて『ね?』とお願いされたので、みんなの練習の邪魔にならないようにてちてちと手拍子をした)
そっか…。
おとうさんとおかあさん、わたしたちにもいるんだね。
わたしたちのことを、かんがえてくれてるの?
…わたしたちが、わるいことしてるの、かなしんじゃうのかな…。
しんぱい、するようなことをしてるから、そばにいないのかな…。
(しょんぼりするも、テルプやナオミの言葉を思い出して)
…うたって、わらってたら、おとうさんとおかあさん、むかえにきてくれるよね。
うん…!うたう…!おねえちゃんも、みんなうたお…!
(笑顔をつくって、歌ってくれるフレーズをまた覚えて、繰り返し繰り返し)
はい、ふー、あーん。
(歌が途切れると、喉の渇きを癒すためにかボウルの木苺を一つは自分の口に、そしてもうひとつはふうこの口に。一緒に食べたいらしい)
ふー、にも、おとうさんと、おかあさんがいるのかな…。
(あ、くれるの? ありがと〜♪)
(アノチェさんに差し出された木苺をパクリと食べ、彼女の質問を聞くと)
(うーん…アタシを産んだ人は知らないけど…)
(周りを見まわし、先程持ってきたスケッチブックとクレヨンの場所を把握する)
繰り返される幼い声と、そこらの玩具を叩くリズムに乗って踊りながら サファイアねーちゃんも、もうひとり ※同じ顔のもう一人の方、という意味らしい も いっしょにうたわない? いっぱいでうたうとたのしいよ!
おれも?うたえるかな…。
(妹が歌っているメロディーを、頑張って覚えて、ちょっとずつ口ずさむ)
歌い慣れてないであろう、そのおずおずとした様子の声を、満面の笑みで迎える。 えっへっへ たのしいね!
あら、アタシも?
なら、ダンスでも踊ろうかしら。
(首輪の鎖が当たらないよう、手に持ちながら、軽くダンスを踊る)
折角なら、いい衣装を着たいものねぇ…♡
(ぼろぼろの服をひらりと翻して)
(サファイアさんの華麗なダンスに目を奪われ、風子は思わずクレヨンを取り落とす)
(あのダンス…もしかして…あの人、サファイアのねーさんかなぁ…?)
(風子は時々一緒に冒険しているシスターの事を思い出す。…確信はないがそんな気がした)
わぁっ……!
(ナオはサファイアさんのダンスに見とれ、感激すると)
おねえさんのダンス、すごくじょうずだね!
…おねえさんって、もしかしてほんもののおどりこさん?
(サファイアさんの近くへ駆け寄り、首をかしげて彼女に質問した)
(視線に気付くと軽くウインクをして)
ふふ、ありがと♡
本物…ではないわねぇ。
アタシは片手間だから。本職に睨まれちゃうわ♡
かた…てま? (サファイアさんの台詞に知らない言葉が出たのでナオは首を傾げ) …でも、おねえちゃん すごく、きれい!
んじゃ、俺っちのこの ぬの あげるよ! おかみさんがつくってくれたの、かっこいいでしょ! ねーちゃんのダンスににあうとおもう! 自分の肩にかけられた布…山羊の毛を染料で染めて編まれたもののようだ。 色鮮やかなそれをサファイアさんに差し出して。
あら、気が利くわね♡ 借りるだけでいいわよ? (布を片手首に巻くと、はためかせて。空を切り、宙を舞う。ほんの少し布が加わっただけで、彼女の舞は鮮やかに彩られた)
(色が一つ追加されるだけで違いが出るもんなんだねぇ…後、あの反応絶対記憶あるっぽい)
(風子はサファイアさんの踊りに見とれながら、一つの確信を持ったようだ)
やっぱり! すごくきれい! ほんものだよー! だって、ねーちゃんたのしそうだし! みてる人も たのしくなっちゃうダンスだよ。俺っちだいすきだ!
ふふ、それはどーも♡
得た経緯がロクでもなくても、ガキには関係ない…ってね。
(小さく、誰に聞かせるでもなく呟く)
みんなじょーずだねぇ。 ナオも、ふーちゃんも………はろ? ハロ? なまえ? 先程からナオが呼んでいる単語に、疑問符を浮かべながら、 ナオとアノチェの顔を見比べるようにきょろきょろと
(「はろ?」と首を傾げるテルプに)
おれたち、なまえないんだ。
「はろ」は、はちじゅうろくばん。
おれは、「はこ」。
はちじゅうごばん。
でも、いつも「おい」とか「おまえ」とか「くそがき」っていわれるけど…。
はちじゅうごばんという単語には非常に不満そうな顔を見せて なまえって、よばれてうれしいのがいいよね……。
(やっとスケッチブックに何かを書き上げるとスケッチブックとクレヨンを咥え、ナオにスケッチブックを渡し、アノチェさんに向いてきゅぅ、と鳴いた)
あれ、ふーちゃんどうしたの?
(ナオはスケッチブックを持って駆け寄ってきた風子に、目線を合わせ尋ねると風子にスケッチブックを渡される)
もしかして…これ、よんでほしいの?
(ナオは風子に尋ねると、風子は首を縦に振るので、ナオはスケッチブックに書かれた文字を読みあげた)
えーっと…『アタシをうんだひとは、しらないけど…そだてたおやは、ナオのおとうさん』…。
ふーちゃん、ハロちゃんにふーちゃんのおとうさんのことをおしえたかったんだね。
(ナオは風子にそういうと、風子は目を細めきゅぅ、と鳴いた)
ふーちゃんはね、わたしのおとうさんがタマゴからそだてたらしいんだって。
だから、ふーちゃんのりょうしんのこと…わたしはしらないけど…。
(ナオは一瞬、悲しそうな顔になるが風子の方を向き笑顔になると)
ひょっとしたら、わたしのおかあさんみたいに、とおいところから、ふーちゃんのこと…みまもっているかもしれないね。
(何か書き物をしている風子をきょとん、と見つめて、それをナオミの元にもっていき、読み上げる様に)
…すごいね、ふーはおりこうさんなんだ…!
いいこいいこ…。
(すっかりその動作がお気に入りのようで)
そっか、わたしとおなじ、わからないんだね。
でも、おねえちゃんのおとうさんがそだててくれたんだ…。
なんだか、ほんとうにきょうだいみたい…。
きっと、おねえちゃんと、ふーのところは、だいじょうぶだと、おもう。
(楽しそうに微笑みあっている一人と一匹に、幼い心ながらそう思った。(何がどう、大丈夫なのか、それを伝えきるには彼女は幼すぎて、言葉が足りてはいないけれど)
(アノチェさんのナデナデを気持ちよさそうに受け止め)
(そうだね…アタシの所は『大丈夫』…だね。でも…キミ達もいつか『大丈夫』になるよ。
絆って作れるものなんだから)
(アノチェさんを慰めるように二足歩行で立ち上がり、ポンと彼女の膝辺りに手をやってきゅぅ、と鳴く)
(…って人の言葉で喋れたらいいんだけどなぁ…どう書いたら伝わるんだろ)
…こどもって、たまごからくるの? おとうさんと、おかあさんが、たまごをつくるのかな…。 (首をこてりと傾げて)
(アノチェさんの質問に少し笑って)
ちがうよ〜。たまごは とりさんや トカゲさんが うむもので こどもは ちがう ほうほうで くるんだよ。
でも… こどもが どこからくるのか おとなのひとに きいても、
キャベツばたけからー…とか コウノトリさんが はこんでくるーとか きのまたからー…とか みんな こたえが バラバラで わたしも はっきりと わからないの。
(どれが正解なのかしばらくうんうん考え)
…あ、でも おとこのひとと おんなのひとが キスを したら こどもが できるって きいたから それが せいかいかも!
(間違っているようで、間違っていない答えをアノチェさんに伝えた)
そうなんだ…(答えがバラバラという意見を聞いて)
おとなでもしらないことあるのかな…。
…きす?ちゅうしたらできるの?
…わたしの、まちのひと、あっちこっちちゅうしてるけど、じゃあ、あのあとこどもできるのかな?
…そっかあ…。
(とても際どい感想を述べている)
わぁ…ハロちゃんの まちの ひとって すごいね…。
(アノチェさんの町の人の状況を、正直に感想をいうとふと疑問に思い)
そういえば、こどもが できるって どんな かんじなのかな?
くるまえのこどもって どこに いるんだろ…?
(子供が来る経理を両手をほほに充ててうーんと考えてるが、視線に気が付き)
あ、ゴメン… ちょっと きになっちゃっって…
えっとね、おさけのにおいするところとか、こわいところでね、いっぱい、ちゅうをみるの。
こわいから、はしってにげるんだけど…。
こどもってどこからくるんだろうね…。
黙ってスケッチブックを見ていたテルプだったが、ようやくこれが絵ではない事に気づいたらしい
ナオは もじ? よめるんだなー。すごいなー。ふーちゃんなんてかけるもんなー。
ふたりともいっぱいべんきょうしたの? がっこうとかいってるの?
ううん、おとうさんの おしごとの つごうで よく おひっこし してるから、がっこうは まだ いってないの。
もじは おとうさんや じょしゅさんに、おしえて もらったの。
ふーちゃんは、おしえて もらって ないけど… わたしが おべんきょうを してるときに、わたしの そばにいたから そこで おぼえたのかも。
テルプくんは がっこう いったことある? そこって どんなところ?
がっこう、俺っちも行ったことない…。
まちのほうにあるんだって。しらないこといっぱいおしえてくれるの!
おとなの知らないことだってたくさんしってる せんせい っていうひとがいて
いっぱいかしこくなるんだ!
──俺っちのとーちゃんもかーちゃんも もじ よめないし
むらから出たらおこられちゃうから…、俺っち、かしこくなれないんだけど…。
でもね! 俺っちにはうたがあるから!
へへへ、と笑うが、残念な様子は隠しきれずに
(テルプ君の学校の説明を聞いているうちにナオの目はキラキラと輝き)
がっこうって、すごいところ なんだね…!
(しかしテルプ君の『賢くなれない』の発言を聞き、悲しそうな表情に変わる)
でも テルプくん、むらから でれないんだね…。
うたと踊りがあればー♪
いつだって楽しい気分さー♪
沈みそうな気持ちを吹き飛ばすかのように、くるくると踊りだす。
そのまま跳ねるように、サファイアさんの前に躍り出た。
そのダンスに付き合うように、軽く身体を動かして。 ほら、アンタ達も踊ったら? 折角男女いるんだもの…ねぇ?
(サファイアさんの踊ったら?という言葉に自信なさそうにうつむき)
で、でも わたし…おどったこと ないし…はずかしい よ…。
(両手をいじいじしながら、自信がない声でそう言った)
ナオもおどりなよ! はずかしくなんてない、さいしょはだれでもおどったことないよ。 あのえるふにーちゃんも言ってたけど、はずかしいことなんて ないのにね、と、 自分の鼻歌に合わせてステップを踏みながら。
(踊りに誘われるまま、サファイアさんに手を引かれて立ち上がるが
先程の、テルプくんの何処か残念そうな表情が忘れられずに)
おとなのひとの つごうで…がっこうに いけないって …かわいそう。
(どうにかしてあげたいなと思ったナオは)
あの…あのね。
ちょっと じしん ないけど… わたし、もじの せんせいに なれるよ。……どう…かな?
(後ろ髪を指でいじいじしながら、自信はないが、なんとかしてあげたい。そんな思いをテルプ君に伝え)
か、かわいそうじゃないもん。がっこうとかなくても楽しいもん!
拗ねたような顔で虚勢を張るが、本当のところは「勉強」というものに強い憧れもあるのだった。ナオミの表情に、その気持を見透かされたような気持ちになって
でもね、かしこくなって、えらい人になって、そしたら、ごはんもいっぱい食べられるし
かーちゃんだってみんなだってもっと元気になるとおもうんだ…。
続く言葉は随分素直なものだ。
文字を教えようかというナオの提案にぱぁっと顔を明るくして
ほ、ほんとに? ほんとに!?
そのかわりに…おどりが へたでも …わらわないでね?
(たどたどしく踊り始める。すぐに風子がナオの傍に駆け寄り、風子もピョンピョン跳ね始めた)
ぴょこんと飛び跳ねると、ナオミさんと共に踊り出す だからぁ、へたとか関係なくて、楽しくなれたらそれでいーんだよぅ。
あら可愛い♡ お嬢ちゃん、どうせなら教えてあげるわ。 将来役に立つわよ?…誘惑とかね (子供に何を教える気なのか。タンゴのリズムを取って、ナオミを誘う)
ゆーわく? (聞きなれない言葉に再び首を傾げ)
おねえさんの ことばって ときどき むずかしい…。
…でも じょうずに おどってみたい。
(ナオは胸を高鳴らせながら、サファイアさんに近づくと)
よろしく おねがいします。(サファイアさんにぺこりとお辞儀をした)
ゆーわくはね、男に「ちょうだい♡」っておねだりすることよ♡
男じゃなくてもいいけど。
じゃ、アタシが男役になってあげる♡アタシにあわせて♡
(なおみの両手を取ると向かい合ってポーズをとる。
4拍の内の2拍をステップ、もう2拍をポーズとターン。それだけの簡単な踊りだ)
ステップが難しかったらゆらゆら身体を揺らすだけでいいわ。
ま、あのボウヤ (テルプの事) のいう通りよ。楽しければいいのよ、こんなものはね。
狂ってアタシじゃない感覚を楽しむの。
おねだりならわかる!
時々、助手さんがお父さんに『頭をなでてください』っておねがいしてるけど、
それがおねだりなんだよね?…わたしも後でお父さんに、ゆうわくしよっと。
(大人が聞いたら確実に叱られそうな発言である)
よ、よろしく おねがいします…。
(サファイアさんの手を取り、口でリズムを呟きながらゆっくり踊っていく。最初はじっと自分の足元を見ていたが、リズムを覚えてくると、ステップも軽やかになっていく)
えへへ…わたしにもできてる!
お姉さんが言う感覚は、まだ分からないけど…なんか、楽しくなってきた!
さ、次はアンタがアプローチしてみなさいな。 っていっても男は2人しか居ないわね。ま、誰でもいいけど。
(サファイア姉さんはブレないねぇ…)
(サファイアの言葉に苦笑しつつも、踊りの練習をしているナオをじっと見つめている)
(アタシも人の姿になってたら一緒に踊れるのに…)
え、えと…わたしがさそうんだよね…ど、どうしよう… あ、あの……わたしと…一緒に おどりませんか…? (あるば君の傍へ行き、もじもじしながら誘ってみた)
…?おれ?いいの? (ぴょーんと跳ねるとナオミの側に寄って手を取って踊る。ぴょんぴょん跳ねながら踊っているのは足りない身長を補おうとしているらしい)
う、うん。 …よろ…しくね? (ピョンピョン跳ねるバラク君に何とかついていきながら、ダンスを踊る。時々足がもつれそうになりながらもなんか楽しそうだ)
ふー!みてみて!おれ、かっこいい? (跳ねながら踊ってる姿はどうみても「可愛い」である)
(いやー…どう見てもかわいいだよ…)
(かっこよく見せようとしてるあるば君がほほえましく、風子は目を細める)
(ぴょんこぴょんこ飛び跳ねながらひとしきりダンスを終えて。激しく動いたのかぜーはーしている)
へへ、かっこいいってちょっとたいへんだね…。ちょっとやすも…。
(ボロ服の袖で汗を拭う)
(疲れたのかへたりと座り込み、あるば君の方を見て)
わたしも ちょっとつかれ…あ…。
(あるば君が汗をびっしょりかいてるのに気が付くと、ナオは周りを見回し、見つけた木箱の方へ行くと何かを探している。木箱からフェイスタオルを数枚取り出すと、あるば君の元へ駆けより)
…これ、つかって。
(あるば君にタオルを一枚差し出し、その後、テルプ君やサファイアさんにもフェイスタオルを配った。あるば君の傍にちょこんと座るとフェイスタオルで顔を拭き)
ダンスって たいへんだけど…たのしいね。(にこりとあるば君に微笑んだ)
うん、かっこよくおどるの、たいへんだけど、たのしかった! おねえちゃん、ありがとう! お礼を言うと、もらったタオルで自分も汗を拭った。
ふたりのダンスに大きく拍手をしていたテルプだったが、
突然思いついたようにぱっと顔を上げる。
ねねね、ねぇねぇ、きみたちふたりでさ、うれしいなまえ、つけちゃったらどうかなっ!
一休みしていたアルバと、ダンスに合わせて歌っていたアノチェの顔を交互に見て。
もらったなまえじゃなくても、よんでもらってうれしいなまえ!
──それとも、いつかみつかるほんとうのなまえのために、
「なまえがない」こと、だいじにとっておいてもいいのかな。
…なまえ?うれしいなまえ…。
(妹と顔を見合わせて)
…なにがいいのか、わかんない。
でも、みんななまえあって、いいなあっておもう…。
…なにがいいと、おもう?
な、なにがいい?
言い出しておきながら、自分で考える気は全く無かった様な顔で驚いて
お、俺っち、やぎには、つけたことある。なまえ…。
シロとか、ブチとか、モサモサとか、おおさまとか…。
何となく外見が想像出来るような、恐らくそのまんまな名前が並ぶ。
うーん、うんーーっと。
首をぐるぐると捻って考えている。
もさもさ…もさもさ…
(なぜか気に入っている。もさもさでもいいかもとか思っている)
なまえ… なまえかぁ…。 (ナオは顎に指を当て、しばらく考えると)
かみさまの なまえとか…どうわの なかのひとの なまえとか いろいろ あるけど…
(アルバさんとアノチェさんの方をちらりと見て)
でも なんか ふたりで ひとつ みたいな かんじが する。
テルプくんは どんな かんじに みえる?
(二人にもちゃんとした名前あるんだけどなぁ…まぁ、あえて黙っておこう)
(よっぽどひどい名前がつけられそうになったらさすがにとめるが、基本的に見守るスタンスをとるようだ)
ふたりのなまえー、そうだね、ふたりとも、同じかおだもんね。
でもおなじなのに、ぜんぜんちがうの。つよい声と、きれーな声。
んーっと、たとえば。つよいとげとげの木と、そこにさくきれーな花とか。
ごつごつした岩山ときらきらした砂とか。あとは、うーーんと。んーっと。
何か思い出したようにぱっと顔を上げて。跳びはねるようなダンス。
そうだ、おなじ赤の宝石、炎の石!
俺っちの村の神様の石はいろんななまえを持つんだよ。
んじゃ、んじゃねー、燃える赤の「バラク」と楽園の花の色の「ロードライト」!
アルバとアノチェセルを順番に指差して、どうだ! みたいな顔をしている。
(テルプ君の名付けを聞き、ナオは一旦ピタリと動きを止める。そして両手を合わせると) ふたりとも かみが あかいし、わたしの かんがえてたのよりも いいと おもう。 …でも、ロードライトは ちょっと ながいから…ちぢめて 『ローラ』は どう…かな?
ばらく…ろーら…
ろーら…!
(キラキラと目を輝かせて、名前を反復する)
ろーら…!ろーら…!
すてき…!
ありがとう!おにいちゃん、おねえちゃん…!
(名づけられた石の名に恥じない、可愛らしい花の様な笑みを二人に向けた。自分の名前を歌に乗せてくるくる踊る)
おにいちゃん!わたし、ろーら!
ふー!おなまえ、もらえた!
(膝辺りに手を添えて鳴くふうこに嬉しそうに話しかけて)
(よかったね、ローラちゃん。すごーくいい名前だよ〜)
(名前をもらってはしゃぐローラちゃんに風子は目を細めて尻尾をパタパタと振る)
(素敵な名前をテルプにつけられて)
ばらく!かっこいい!
ありがとう!おにいちゃん!
ろーら、ろーらもいいなまえ!
うん、ろーら、おれ、ばらく!
(忘れないように何度も何度も名前を口にする)
(二人の名前が決まり、ものすごくはしゃいでる二人を見て)
おめでとう、バラクくん、ローラちゃん!
(満面の笑みで自分の事のように喜んでいる)
かっこいいか! よかった!
それはバラクがかっこいいからなまえもかっこよくなるんだよ。きっと。
ふたりに喜んで貰えて得意顔だ
ローラ! ちゃんとおんなのこのなまえになった! ナオはすごいね!
ローラに合わせて歌いながら、その名を呼ぶ。
(褒められたナオは頬を赤く染めて)
えっ、わたし すごくないよ!?
わたしは ただ ちょっとちぢめた だけだし…。
(思わず手に持っていたクレヨンとスケッチブックを落としてしまい、慌てて拾い始めた。風子が駆け寄り、一緒に拾う)
(名前を歌ってくれるテルプに嬉しそうに笑って) あのね、ろーどらいとってなまえも、ちゃんとおぼえるよ…! む、むずかしいけど、がんばる…! おにいちゃんも、いっぱいいろんなのしってて、すごいね。
バラク…バラク…ねぇナオ、 これ、どうやってかくの? (名前を紙に書いてポケットに入れておきたいらしい)
(どうやって書くの?とバラク君に聞かれ)
まっててね。 ふたりの なまえ わたしが かくから。
(風子が持って来てたスケッチブックから紙を一枚破り、紙を綺麗に半分こにすると)
…こっちが…バー…ラー…クー…で
こっちが…ロー…ラー…(口で書く文字を呟きながら、クレヨンで名前を書き)
ふーちゃん、きちんと かけてる?
(風子に文字を見てもらい、風子がこくりと頷くと)
はい、どうぞ!
こっちが バラクくんので こっちが ローラちゃんのだよ。
(満面の笑みで名前を書いた紙を二人に差し出す)
ありがとうおねえちゃん! (名前が書かれた紙を眺めて、大事そうにポケットにしまう) あとでれんしゅうしよ?おにいちゃん。 (同じ様に紙をもらった兄ににこりと笑って)
…!ありがとう!おねえちゃん。 (ローラと同じ動作で嬉しそうに紙をしまう) うん、ろーら、あとでれんしゅう!
よかったぁ俺っちこれがダメだったら あとは「とげさぼてんくん」 (つよい) とかしか思いつかないや。
とげさぼてんってなに? そんなにつよいの? うーん、でもバラクがいいなあ。 へへ、ありがとうおにいちゃん。
(それにしても…ナオも立派になって…よちよち歩きの頃が大分昔に感じられるんだよー)
(風子は小さいながらに成長したナオに目頭が熱くなる。姉を通り越して母親の心境である。しかし、テルプさんの別の名前候補を聞き)
(…髪がとげとげでも緑でもないのになぜその名前…?)
(彼のネーミングセンスに動揺しつつも、双子が第一候補で納得してくれてよかったとホッと胸をなでおろした)