やくそく
第三期:キンダーガーテン
みらいでまた かならずあえるよ。やくそくしよう。
テルプの文字の練習をするために。 スケッチブックとクレヨンを持ったナオミがせんせいとしてテルプの前に立った。
じゃあね、俺っち、かーちゃんにおてがみ書きたい! んーっとね、かーちゃんだいすきって書きたい! (※母が文字を読めない事は忘れているらしい)
(提案を聞いてぱぁっと笑顔になり) …それ おかあさん きっと よろこぶとおもう! もじが よめなくても テルプくんが よめば おかあさんにも つたわるとおもうよ。
(ナオがテルプさんに文字の先生になるやり取りを聞いて) (そうだね。 手紙は大事にしまえて、時々見て元気をもらえて… 言葉とはまた違った良さがあるんだよ〜)
そ、そうか、かーちゃんもよめないんだな…。
じゃあ、よこに、絵もかいておこう! 俺っちかしこいなー♪
ばらけたクレヨンを拾いながら
これでかくんだね。きれーな色だなぁ。
ふー も、俺っちがじょうずにかけてるか、みててね♪
絵をかくのって、すごくいいと思う! テルプ君のお母さんもきっとよろこんでくれるよ。
(テルプ君に見ててねと頼まれ、風子は顔を上げると) (うん。 添削は風子さんにお任せだよ〜) (任せてって感じできゅぅと鳴くと、てちてちとテルプ君の傍に寄り、ちょこんと座った)
俺っち、ローラとバラクのなまえも、ちゃんとかけるようになっておこう。
紙を広げると、その上にクレヨンを用意すると
ナオの方を向いて、きちんと座る。
せんせーい、おねがいします♪
じゃあ、まずは文字からだね。
わたしが先に一文字ずつかくから、テルプくんも同じ文字をかいていって…あ、そうだ!
(ナオはバラク君とローラちゃんの方を向くと)
二人も文字の勉強…して…みる?
(文字の勉強をしてみる?という誘いに、ぱっと顔を輝かせて) …いいの?! おねえちゃん、ありがとう…! (いそいそとクレヨンとスケッチブックをそこら辺から持ってくる)
もちろん!
もじが わかれば いろんなほんがよめて たのしくなるから
ローラちゃんとバラクくんにも たのしさおしえたいから…。
(もじもじしながらも、えへへと笑っている)
(背が低い楽譜台を持ってきて、楽譜台にスケッチブックを置くと)
えっと…まずは わたしが ことばを いいながら、おてほんを かきますので、
わた…いえ、せんせいと おなじもじを かいてくださいね。
(バラク君、ローラちゃん、テルプ君の名前を声に出しながら一文字ずつ、ゆっくり文字を書いていく。
若干緊張しているせいか文字が若干崩れている)
えへへ、おねえちゃん、てれてる!
(にこ!と笑って)
うん!せんせい、おねがいします…!
(グーの手でクレヨンを握ると、スケッチブックに書いていく)
ばー、ら、く。
ろーら。
てーる、ぷー。
おえかきみたい、たのしい…!
どうかなぁ?
(ナオミが書いた崩れ具合まで真似をしているようだ。見たままを書いているので何とか読める)
わぁ…っ!
すごく じょうずに かけてる…ちゃんとよめ………(自分が書いた文字と見比べ) ……あ。
(自分の文字も同じように崩れていることに気が付くと)
こんどは せんせいも きちんと かくね…。
(苦笑いをして、ローラちゃんの頭をなでようとする)
えへへ…。
撫でられてほわん、とした笑顔をみせる
だいじょうぶ、おねえちゃんのじ、わかるよ。
崩れまでは真似しなくていいことがわかると、何度も練習を重ねて、子供にしてはきちんとした字がそこに出来上がった。
せんせい、どうかな?
(すごく丁寧になった文字を見て、ぱちぱちと瞬きをする) ローラちゃん…すごく きれいな もじになってる! ひょっとしたら わたしよりも じょうずかも……。
うん!ありがとう、せんせいのおかげだよ。
(お礼を言われて少し恥ずかしそうに笑う) ど、どういたしまして…。 もじしか おしえられること できないけど… よろこんで もらえて うれしいな。
クレヨンをしっかりぐーで握りしめて気合は十分。
見よう見まねで、ミミズののたくったような文字を量産している。
どうかな! よめるかな!? (※読めない)
せんせーと、風子さんに見てもらいながら、真剣に取り組んでいるが
あまり人の話を聞かない傾向にあるらしく、なかなか難航しそうだ…。
えっと…(テルプ君が書いた文字を読もうとしばらくにらめっこしているが)
ふーちゃん…よめる?
(流石に読めず、風子に読んでもらおうと見せるが風子に首を横に振られ)
ご、ごめん…ふーちゃんも よめないって…もっと、がんばろっか…。
(申し訳なさそうにテルプ君に言った)
文字を書く為だったはずの紙は、カラフルな色のぐしゃぐしゃで埋まっていく。
形を成さない自由奔放な。
えー、よめない? きあいでがんばれば、いけない?
ナオさん、風子さんに無茶なことをいいつつ、
それでも文字を書きたいという意欲に掻き立てられて「彼にしては」異例のまじめさで取り組んでいる。
うーん…(改めてテルプ君のスケッチブックを見て) いろがいっぱいで きれいだけど、これは どちらかというと…え…だね。
あ、おれもかく!
(同じようにスケッチブックとクレヨンを持ち出して)
こうやって…こうかな。
(スケッチブックから字がはみ出している!)
(バラク君の文字が書かれたスケッチブックを見ようと持ち上げるが、床にはみ出た線を見て)
じょうずだけど…はみだしてるね。
できるだけ かみから はみださないようにすると いいとおもうよ。(少し申し訳なさそうにバラク君に指摘する)
スケッチブックからはみ出している事を指摘されて、素直に頷く。
うん、わかった!
はみ出さず、はみ出さず。字がでかすぎる事だけが問題だったので、難なく字が書けるようになるだろう。
ただし、「バラク」の文字だけはギリギリはみださない程度に紙いっぱい豪快に書かれている。
おねーちゃんできた!
バラクかっこいい!
どや!という表情だ。
あ、こんどは ちゃんと はみださずに かけたね! (バラク君の書いた文字をみて、最後に豪快に書かれた『バラク』という文字を見て) わぁ…バラクくん ごうかい…だね (あまりの大きさに少し驚くが、ドヤ顔のバラク君を見てほほえましく思い) …でも、すごく じょうずに かけてるよ。 (優しく微笑み、バラク君の頭をなでようと手を差し出す)
へへ!
(撫でられて嬉しそうだ)
おねえちゃんがおしえてくれたの、わすれないようにしなきゃ。
(書いたスケッチを、ローラと同じように布に巻くと体に巻きつけて服の下に隠した)
おねえちゃん、ありがとね。
…このなまえ、いしのなまえ…かみさまのなまえ。
うれしいなまえ…。
てるぷってなまえも、そうなの?
かみさまの持っている赤い宝石!
ロードライトも、バラクも、おんなじ石のなまえなんだよ。
おなじなんだけど、色んないろがあるんだ。
透明で、きらきらしてて、すごくだいじな石なんだってさ。
しんらいとあいじょうとしょうりの石!
テルプは…むかしのことばで「たのしい」っていういみなんだって
かーちゃんがいってたよ。
俺っちがえがおでいると、かーちゃんもうれしいんだって。
しんらい、あいじょう、しょうり…。
(噛み締めるようにその言葉を呟く)
おにいちゃんは「たのしい」って名まえなんだ?
すごいね!おにいちゃんそのまんまだ…!
わたし、おおきくなったら、もっといっぱい、いろんなことしりたいなあ…。 (それが叶うかどうか、この時の幼子はまだわからず…。いつもは期待も口に出来ないような環境だが、ここでならそれも口にしていいような気がして、子供なりの期待をぽつりと呟いた。誰に向かうでもなく)
いろんな事を知る事は、とても大事な事であり、文字は 全てを知るための 第一歩。
…これ、お父さんの言葉だけど、わたしも大事だと思うの。
…うんと…。 なんかかっこいいこといってるのはわかる。 (こくこく頷いて)
…俺っちも、俺っちの村のおとなも、村の中のことしかしらない。 砂のむこうには、もっといっぱいのことばがあって、 もっともっとたくさんのうたが生まれるはずなんだよな…。
…おれたちは、そとにでるときは「おしごと」でまちにいくときだから。 いつもおれたちがいるところは、おれたちにみたいにおなか、すかせた人がいっぱいいる。 ねふらいとのおにーちゃんも、おるごーのおにいちゃんも、みんな、とじこめられているひとばっかりだね…。 (一瞬、しゅんとする)
ローラは、……バラクがきっと守ってくれる。 いつかもっとずっと、ひろいところに行けるよ。かならずだよ。 そしたらね、たくさんのうたつくって、いっぱいうたって、 ……ずっとえがおでいてね。
…うん!ろーらはおれがまもるよ!
それに、ねふらいとのおにーちゃんも、おるごーのおにいちゃんも、てるぷおにーちゃんも、それからなおみとふーも。
みんなまもる!だっておれ、ばらくだもんね…!
…ほんとう?
いっぱい、ひろいところ、いける?
…おにいちゃん。
…わたしたちが、ひろいところに、いけるなら。
おにいちゃんだって、きっといけるよ。
(どこか諦めたような、外にはどうやっても出られないようなそんな気持ちがテルプの言葉に見えた気がして)
おにいちゃん、そしたら、やくそくしよ。
おおきくなったら、ひろいところで、おうた、うたお?
おにいちゃんがおそとにでられなくても、わたしさがしにいくよ。
うん! 俺っちいい子にしてよう。 そしたら、神様も俺っちが外へ行くの、ゆるしてくれるかもしれない! そしたらいっしょにいっぱい歌おう、ね!
おれたち、じのれんしゅうも、するよ。
このもらったなまえ、かけるように。
つよくなるのにも、きっといるもんね。
……おねえちゃんは、じもかけるんだね。
…おねえちゃんは、なんでなおみ、なの?
(名前をもらうと、他の人の名前が気になるようで。テルプにたずねた事と同じ事をなおみに聞いている)
(バラク君に名前の由来を聞かれ)
うーんと…昔、お父さんがすごーく困った時に助けてくれた恩人の一人なんだって。
その人はかみと目の色がわたしと同じ色らしいけど… (ナオは天井を見上げ)わたしも その人に会ってみたかったな〜…
そっかあ。おねえちゃんは「おんじん」なんだ。
おねえちゃんは「おんじん」なのに「おんじん」にあったこと、ないんだね。
おねえちゃんのおとうさんは、なんで、「おんじん」の名まえを付けたのかな…。
ううん、わたしはたいしたことしてないから『おんじん』じゃないよ。
あと、おとうさんと『おんじん』さんが あったのは おとうさんが こどものころだって。
『おんじん』さんは わたしがうまれるまえに なかまのひとと いっしょに とおいところに いっちゃったみたい。
…でも、わたしをみてると 『おんじん』さんのこと おもいだすんだって。
そっかあ。 おねえちゃんをみてると「おんじん」をおもいだすの? じゃあ、おとうさんは「おんじん」にあえなくても、きっとさみしくないね。 だっておもいだせるんだもん。
(え、なにそれ…アタシ…初耳だよ?
同じ髪と目の色の別人って…そうそういないと思うんだけど…偶然…だよね)
(風子は顔を俯かせて、考え事を始めた)
ふー? …なんだか、さみしそう…。 いいこ、いいこ? (鳴き声に反応して顔を覗きこむ)
(…心配、ありがとう…ローラ)
(心配かけさせないようにローラに目を細める。でもやはり悲しそうだ)
風子をなでなでしながら…。 せんせいに教わって、名前以外の字の練習もしてみたり… 子供たちの時間が過ぎていく。
(ふと「おとこのひとと、おんなのひとがちゅうをするとできる」というのを思い出して)
バラクおにいちゃん…。
(と、つんつん裾をひっぱると兄のほっぺにちゅうをした)
…なに?
(とローラにちゅうをされる。特に驚きもせずぱちくりと瞬きし)
…こども?これでできるの?
(ローラと鏡合わせのように首を傾げた)
…できないねぇ…。
(また、こてん、と首を傾げた)
(ローラちゃんがバラク君にキスするのを見て、頬を染めて顔を隠す)
ろ、ローラちゃん、だいたん…。
…あれ? (周りをきょろきょろ見まわし)子供…できないね…?
子供ができるのに他に何か大事な事が、あるのかなぁ…?
(バラク君とローラちゃんと一緒に首を傾げ)
…もしお家に帰ったら またお父さんに聞いてみるね。
だいたん?
(頭にはてなマークを浮かべている)
あかちゃん、くるとおもったのにな…。
うん!どうしたらくるのか、わたしもききたい!わかったらおしえてね!
首をひねっているふたりを見ながら得意気に 俺っち知ってる! きょうだいじゃけっこんできないんだよ。 ローラとバラクは、かおがにてるから、きょうだい、なんだよね?
うん、そうだよ。ふたごなんだって。
そっかぁ、きょうだいだとけっこんできないんだね。
(納得したように頷いて)
(テルプ君の指摘にハッとして) それ わたしもおしえて もらったことがある…。 テルプくんのいうとおり、 きょうだいじゃ なかったら できるかもしれない。
んじゃ、さ、俺っちとなら、できるかも! 自分のほっぺを指差して、ローラの方へと差し出すように
おにいちゃんとなら、できる?
(キスの意味もまだよくわからない幼子は、抵抗もなくテルプのほっぺたに「ちゅう」と唇を押し付けて)
…できた?
(無邪気な紫の瞳がテルプの顔を覗きこんで。こてりと首を傾げる)
こども。 ……できてない、けど。
可愛らしいキスを受けた頬がくすぐったいような、なんだかむずむずして。
何故か目を逸らしてみたり、無意味に足をばたばたさせてみたり。
ポケットに手を入れると、たまたまそこに入っていたきらきらしたさざれ石。
それをぎゅっと握りしめて、ローラさんに押し付けようと。
……手!
何故か怒ったような。手を出せ、と言いたいらしい。
そっかあ。
…ふと、考えて。
わたしがこどもだから、こどもこないのかなあ。
「おとこのひと」と「おんなのひと」っておとなのことでしょ?
ぱちくり、と瞬きをして、手を差し出す。
…?なあに?おにいちゃん。
ちいさなちいさな砕けた石は、それでも彼にとっては宝石だったようで。
無骨な無数の石の中から懸命に集めたたからものだったのだが。
あげる!
直径にして1cm程度の透明な石がたくさん、ローラの手の中いっぱい転がった。
受け取ったのを確認すると、照れ隠しなのだろう。目も合わさずにぱっと離れて
何事も無かったかのように、スケッチブックへと戻った。
…わぁ…。
幼子にとっても、その石の集まりは宝物に見えた。
そして大事にしているものなのだろう。
掌いっぱいの優しさの欠片を、大事そうに、零れぬように。
ありがとう…!おにいちゃん!
…あ、とられないように、しないと…。
そういうと布を探してそこに石を包み、更に音が鳴らないように上からまた布を包む。
巾着袋をひっぱりだすとその中に入れて、服の下に隠した。
これで、だいじょうぶ。
おれい…あげられるもの…。
何もない自分にしょんぼりしていると、何か思いついて。
首に下げられた金属プレートを取り出した。
ドッグタグだ。「86」とある。
おにいちゃん、おれい、これ、あげる。
……くれるの? ありがとう。
照れくさそうに、逸らしていた目を相手の方へと戻して。
顔を上げて、差し出されたそれを受け取った。
わ、つやつやぴかぴかだ!
きんぞくの…てつかな? 何か、書いてある。ね、何て書いてあるの?
はちじゅうろく。だよ。 わたしのばんごう。 じはよめないけど、すうじはわかるの。 これしか、もってるのなかったから。
大事なものじゃないのかな? と、少し躊躇して少女の顔を眺めるが
…そっか。ローラは、もうローラだから、ばんごうはもってなくていいんだね。
じゃあ、俺っちがもらっとく。にかっと、笑みを見せて、それをしっかり握りしめ
うん、ろーらだから。
つぎは、そういれてもらうの。
(そのお願いは空しいものかもしれないが、テルプの笑みに、にこっと笑みで返して)
それに、それをもっていてくれたら、さがすとき、めじるしになるから。
さがしに。……来てくれるの?
少し躊躇したような、それでいて嬉しそうな顔で
えへへ、まってるね。砂がいっぱいであぶないから、きをつけて。
……バラクがしっかり守ってくれるから、大丈夫か。
えへへ、と笑う。
うん、さがしにいく。
でられるように、ばらくおにいちゃんとがんばる。
(向こうで「あいつらやっつけるんだ!」と意気込んでいるバラクがみえる)
まっててね、えへへ…。
(ふにゃん、とした笑顔で応えた)
テルプくんとローラちゃんの約束を微笑ましく眺めていたが。ふと。 …そういえば、おなじ おんなのこどうしが キスをしたら、どうなるのかな…。 (ふーちゃんに目線を合わせ)…ふーちゃん、やって…みる?
(ちょ、ちょっと待つんだよ!
い、いや、キス自体は大歓迎だけど〜! アタシにも心の準備ってものが…!)
(突然の誘いにきゅぅきゅぅ鳴きながらあたふたしていると、ナオにチュッとおでこに軽くキスされる)
(あ、口と口じゃないのね…。 ほっとしたような…がっかりしたような…)
(風子はおでこに両手を当て複雑な表情を浮かべてると、突然全身が光りだし、どんどん大きくなっていく! ナオと同じくらいの大きさになると光の塊は人の姿に変わり…)
(光が収まると、そこには人の姿になった風子がたっていた。竜の尻尾と翼がそのままだが、それ以外はすべて人そのものだ。ご丁寧に若葉色のワンピースまで着ている)
あ、あれ…? 人の姿になるのは、確かもうちょっと先のハズ…。
(手をじっと見たり、両手をほほに当てたりして自分の体の状況を調べている)
なんで人の姿になったんだろー? やっぱりあのキスが原因かなぁ…?
(状況が呑み込めない風子は不思議そうに首をかしげている)
わ、うわ!
突然現れた人の姿に、あんぐりと大きな口を開けて
うわ!きゅうになんだろ? …あれ、おねえちゃん、だれ? …あれ、ふー、いない? (きょろきょろと探して)
まぶしい…!
…あれ?あたらしいひと、きたよ?
こんにちは、おねえちゃん。
(びっくりしながらも風子に挨拶する)
(中かがみになってローラの目線に合わせると)
こんにちは、ローラちゃん。
残念だけど、初めましてじゃないんだよ〜。 ずーっと前からアタシはここにいたんだよ。
(自分の尻尾を掴み、ローラちゃんに見せて)
ほらほら〜この尻尾…見たことあるよねー?(尻尾の先をピコピコと動かした)
そのつの…ふーちゃん…だよ…ね?
(翼や角を見て、風子の名前を呼ぶが、もし違っていたらどうしようと考えているのか…ナオミは不安そうな表情でスカートをぎゅっと握っている)
(ようやく自分がフーだとわかってくれた事に対し、すごくうれしそうな顔で)
そうそう! あたし、フーなんだよ〜!
(バラク君に向かってはーいと手をあげ)
お姉さんはふーちゃんだよ〜。 …いや、今はフーさんかなぁ。(どうでもいい事を考え)
さっきまでいた、ちびドラゴンがアタシなんだよ〜。
ほらほら〜、この羽、見たことあるっしょ〜?
(風子は自身の翼をバサバサと羽ばたいている。 …少し涼しい)
ふぁ!はね…!本当だ、ふーだ!
ふーがふーおねーちゃんになった…!
ふーちゃんだ!
縮めて結局その名まえに行き着く。
すごい、まほうみたい!
その尻尾をみて、ぱぁっと顔を輝かせる。
ふー!ふー、だ!
ふーがおねえちゃんになった…!
おっきくなってもふーちゃんかぁ…ま、ふーおねーちゃんの略称なら仕方ないね〜。
でも、おねーさんはナオのキスで姿が変わったから、魔法じゃなくて愛の力って奴なんだよ〜。
(ナオの背後に回り彼女の両肩を持って『ねー?』と同意を求める。ナオは恥ずかしそうにしている)
すごい! ふー、文字もよめるし、へんしんもできるんだ!
…正直、仕組みは知らないけど…ナオのキスでちょっとだけ早く人の姿になれたみたい。
…でもアタシは自力で変身できないんだよね〜。 しいて言えば…愛の力って奴…かなぁ?
(ねーって感じで、ナオに同意を求めている。当の本人は不思議そうな表情だが)
…私を人の姿にしてくれて…ありがとね、ナオ。(満面の笑みでナオに微笑むと、ナオに抱き着かれ)
…ナオは甘えん坊だなぁ…。(いとおしい表情を浮かべ、ナオの頭を優しく撫で)
…夢でも、嬉しいんだよ。(誰にも聞かれないようにポツリとつぶやいた)
あいのちからか! あいのちからはなんでもできるんだって。 ……こどもも、あいのちからでできるのかなぁ。(あながちまちがってない)
そうそう、愛の力って万能なんだよ〜。
え、子供? うーん……(指をほほに当て少し考え)
それだけでできるわけじゃないけど、大事な物の一つってのは確かかな〜?
ふー、ほんとうにおねえちゃんだったんだ。 いいこいいこしちゃった…。
いーの、いーの。
おねーさん、さっきまでちっちゃかったんだしそんなの気にしてないよ〜。
(にししと笑い、ローラちゃんに撫でられやすいようにしゃがみ込むと)
…なんなら、今の姿でもローラちゃんの気のすむまでいいこいいこしてもいいんだよ〜?
ほんとう!?
(ドラゴンの姿にはなかった髪の毛に興味を示したようだ)
いいこ、いいこ…。
ふー、かわいい。
(気の済むまで撫でると)
ありがとう、ふーおねえちゃん。
(にっこり笑った)
(ローラちゃんにされるがままになでなでされる。ローラちゃんが満足した時には髪型がすっかりぐしゃぐしゃになっていたが、なぜか悪い気はしなかった)
どーいたしまして、満足してくれたのならこっちも嬉しいんだよ〜。
(髪型を軽く整えてると、何か思いついたのかニヤリと笑うと)
…あ、そうだ。
今度は、アタシがローラちゃんをなでなでしてもいいかな〜?
(彼女の目線に合わせ、手を軽くワキワキする。なでなでするついでにくすぐるつもりだ)
うん!いいよ! (頭頂部を風子に向ける。深いお辞儀をしているような姿勢に。 そんなことをしなくても身長はおそらく風子のほうが上なので頭のてっぺんはみえているのだろうが、これでも撫でやすいようにしてくれているらしい)
わー、ありがと! では早速…。
(ローラちゃんの心遣いにほんわりとしつつ、しゃがみ込んで最初は両手で頭を優しくなでてるが、途中で右手をローラちゃんの脇腹辺りに移動させると)
………隙あり!
(素早く左手もローラちゃんの脇腹に移動させ)
こちょこちょこちょ〜♪
(こちょこちょ言いながら、悪戯っこの笑顔でローラちゃんの脇腹をくすぐろうと)
ふにゃ!
にゃ!にゃははあはははは!く、くすぐった…きゃー!
脇を締めて防御するも空しく
ひゃふ、ひゃひ!ふー、やめて…!
奇声をあげながら転がりまわる
あっ…ちょっとやりすぎちゃったかなー…。
(ローラちゃんが床に転がり、やめてと嘆願されここでようやく風子は手を離す)
ちょっと、ビックリさせるだけのつもりだったけど…こーゆうのって加減、むずかしいね…
びっくりさせちゃったのならゴメンねー…?
(風子はしゃがんで、ローラちゃんが起き上がるのを手伝うつもりでそっと手を差し出す。今度は悪戯する気は全くなさそうだ)
ひゅーひゅーいいながら手を取って だ、だいじょうぶ…! ここ (脇腹を指して) すごいへんなかんじだった。 きゃーってこえでるの。 みんなそうなのかな、つぎはばらくおにいちゃんにやってみよ…。
それがくすぐられるって感じなんだよー。
多分、大抵の人はくすぐられるとそんな感じになると思うんだよー。
…アイツは残念ながら対象外だったけど。(一人ポツリとつぶやくと)
バラクにーちゃんにもやってあげるといいんだよー。
ただ、やりすぎると息が苦しくなるからほどほどにねー? おねーさんとの約束だよー?
うん!やくそくする。「くすぐられる」ってひゅーひゅーするもの。
さて、話が随分横に逸れながらも、スケッチブックと格闘していたテルプ。
なんとか、文字の体をなした物が仕上がった。
(真面目に取り組むテルプ君を見守り、かきあがったスケッチブックを見ると)
これは、えっと…テル…プ? (読めることに気が付くとナオの顔がぱぁっと明るくなり)
さいしょよりも すごく じょうずに なってる!
(みてみてーと風子にテルプ君が書いたスケッチブックを見せて)
このちょうしなら すぐに おかあさんにも おてがみ かけるように なれるよ!
(嬉しそうにテルプ君にスケッチブックを返す)
でっしょー♪ やっぱ俺っち、さいのうあるな!
えーっと、つぎはー、お・か・あ・さ・ん… だ・い・す・き……
コツがわかってきたのだろうか、悪戦苦闘しながらも、先程よりはすんなりと。
随分と歪んだ、けれどなんとか文字になっているそれをドヤ顔で見せている。
えっと…(歪んだ文字をじっと見つめ、なんとか読めることが分かると拍手をして) テルプくん、おぼえるのはやい! ちゃんと てがみになってるよ。
(最初よりもかなりうまくなった文章を見て、おお〜っと感激の声をあげ) うん、いーじゃんいーじゃん! ちゃんと読めるし、手紙になってるよ〜。 テルプ君の才能もあるけど、ナオの教え方もよかったんだね〜。
よめる! やった! 俺っちやっぱすごい! ナオもありがとー! ナオもすごい! ナオすごーーい♪ 出来上がった手紙のようなものを両手で掲げてぴょんぴょん飛び跳ねている。
(そこに風子が来て、自分の教えがよかったと褒められ) え、そんなこと ないって…テルプくんが おぼえるの はやいから…。 (咄嗟に落ちてた折り紙で顔を隠し…てるつもりだが、隠しきれず真っ赤に染まった頬が見える。かなり恥ずかしそうだ)
(手紙をテルプ君に返すと何か思いついたのか両手をポンと叩き)
…あ、そだ。
才能あるテルプ君におねーさんが特別に折り紙を教えてあげよう!
(そう言うと、ナオが持ってきた折り紙と鋏を使い、真っ赤なカーネーションを作ると)
折り鶴も作れるけど、お母さんに送るならこっちの方がいいかな〜って思ってね。
…どう? キレイっしょ?
(テルプ君に目線を合わせ、少し自慢げな表情で折り紙のカーネーションを差し出した)
折り紙、という言葉に首を傾げていたが、彼女の手の中で
一枚の紙がみるみる花の形になっていくのを、感動の眼差しで見ている。
わ、わ、うわ、すごい! なにこれ! つくる! 俺っちもつくる!
興奮気味だ!
(風子の傍に近寄り、紙が花になっていく様子を見ると)
ふーちゃん、おりがみ できるようになったの!?
きれいな おはな! じょしゅさんがおったのと おなじくらい じょうずだね!
(興奮のあまり、思わず風子の背中に乗りだし、折り紙で作ったカーネーションを見て感激すると)
いいなー、わたしもおってみたいなー…ふーちゃん、わたしにもおしえて?
(目の前に回り込み、彼女の目をのぞき込みお願いをする。相手が親しい相手なせいか…少し距離が近く感じる)
はいはーい、ふたりとも落ち着いてー。
そんなにはしゃがなくてもふーちゃんがきちんと教えてあげるよー。
(そういって、もう一枚ピンクの折り紙を取り出すと今度は二人に過程が見えるようにゆっくりと花の部分を折っていく)
はい、まずはここまでー。
茎の部分はふたりがきちんと折れたら、また教えるよー。
途中でハサミをちょこっと使うから怪我しないように気を付けてね〜。
(二人が折り紙に悪戦苦闘してるのを見守りつつ、風子は折り紙の束の数を数えると)
これ位あれば…できるかな、千羽鶴 (誰にも聞かれないようにポツリと)
くき! くきもつくる! とげさぼてんもつくる!
イマイチ上手に出来ていない花を置いといて、新しい事に目が行ってしまっている
(折り紙の枚数を確かめ、折り鶴を少しずつ折り始めた時。テルプ君が茎ととげサボテンが作りたいと言い始め)
お、テルプ君早いねー…じゃぁ早速、茎も…って…と、とげサボテンも作りたい?
とげ…サボテン?
(テルプ君の言った言葉に、こてんと首をかしげる。気になりすぎて折り紙している手が完全に止まっている)
とげさぼてん! ちょうつよい! こーーーんなとげでこうげきしてくる!(※こない)
眉間にしわを寄せ、両手をいっぱいに広げて説明をしている。
憎々しげではあるが敵ながら強さを認めている風だ。
(きょとんとしていたが、彼の願いをかなえたいと思った風子は少し考え)
サボテンかぁ…サボテンって色々形があるから、テルプ君の思ってたのと違ってたらゴメンね?
(そういうと、大きめの緑の折り紙を簡単に丸く折り、それを糊を使ってスケッチブックの一ページに張り付ける。そして黄色いクレヨンで張り付けた折り紙や折り紙の周りにギザギザに書き込むと)
こんなのは、どうかなー?
(と、できあがった丸いとげサボテンの折り紙が張られた紙をテルプ君に見せる。うろ覚えのせいかトゲのつき方がおかしい所があるが、トゲトゲな感じは出ている)
すいすいと描かれたとげとげサボテンを見て、風子さんに尊敬の眼差しを
ふー、なんでもできる! すごいね!
そうそう、こんな、とげとげで、このへんが、もっととげとげ!
そうだ、こんなかんじ!
作ってもらったサボテンに、何本か、細く折った折り紙を追加した。
スケッチブックから豪快にはみ出している。
これが! ささる! つよい!
これが とげで こうげき…?
(風子とテルプ君が作ったおっきくてとげとげのサボテンを指さして)
これが はりを ひゅんひゅん とばしたり、どーんって ぶつかったり するの…?
(ぬるぬる動くとげサボテンを想像してだんだん涙目になってくる)
とげサボテンって すごく こわい…。
テルプくん、とげサボテンに おそわれて だいじょうぶだった?
とげサボテン、ちょうつよかったけど、俺っち泣かなかった!!!
ものすごく得意気な顔で。
あしに、ぐっさりささって、ねつも出たけど、だいじょうぶだった!
男の子は泣いちゃだめなんだ! かーちゃんが言ってた!
俺っちはだいじょうぶだったけど、ナオはおんなのこだからだめだ!
あいつにはちかづいちゃだめだからな!
……俺っちも、まだまけるから、もうちかづかない…。
(テルプ君によって追加されて、立派になったとげサボテン(予想)をみてほーってなって)
おー。予想以上に立派で強そうだねー。
これに襲われたら、アタシも苦戦するかもー…。
そういえば、なんでテルプ君はこいつと戦う事になったのー?
おねーさん、ちょっとそこんとこ気になるなー。
俺っちが、やぎをおいかけてたら、そいつが足の下にあらわれたんだ! (※踏んだ) だけど、やぎはそいつを食べちゃうんだぜ! すごい! やぎのほうがつよい!
そっかー、ヤギを追いかけてたらそいつが足元にねぇ…。
(テルプ君に付き合うようにふんふんと話を聞く。なんとなく、とげサボテンがどんなのか見えてきたせいか風子の表情はほころんでいる)
テルプ君が苦戦したとげサボテンをむしゃむしゃ食べるってヤギって逞しいんだねー。
なんか、アタシも勝てる自信が出てきたんだよー!(そういって、風子は立ち上がり拳をシュシュシュと素振りをする。…ただのサボテンと戦う気満々だ)
あしに おおケガをして ねつをだしたんだ…とげサボテンってこわい…。
それでも なかなかった…テルプくんってすごい…。
でも…おとこのこって ないちゃダメ なんだね…おとこのこって たいへんなんだね…。
出来上がったトゲサボテンを、アノチェが覗きに来た。 話を聞いていたのか、少しこわごわ、警戒しているように。
(ふたりの姿を見て、先程の数字の書かれたペンダントの存在がふと頭をよぎった。ローラちゃんが数字は読めると言っていたのを思い出して……)
ねぇねぇ、もしかして…ろーらちゃんって…けいさん…できる?
けいさん?
うんと、すうじは、ほかの子とか、よばれてるのでおぼえたの。
(1から9までをスケッチに書いてひとつずつ読む)
それでね、ふたつすうじならんでると、あいだに「じゅう」ってはいるの。
だから、86は「はち、じゅう、ろく」。
「はろ」はね、いいにくいからちぢめたんだ。
ばらくおにいちゃんも、すうじよめるよ。
(ローラちゃんが数字を読める理由をきいて少し悲しそうに)
…そっかぁ。
わたし、すうじは あまり よめないから ローラちゃんと バラクくんは すごいなぁ…。
えっと…けいさん っていうのはね…
(うんうん考えながら、スケッチブックにゆっくり1+1=の計算式を書いた)
こんな ぶんしょう…?を いうの…
でも…わたしは あまり けいさんが できなくて…
けいさんは これしか おぼえてないの…。
(しょんぼりとした顔でローラちゃんに呟く)
おねえちゃんなのに…しらなくて、ごめんね…。
わあ、すうじふたつじゃない…!
いち、じゅう、いち…?
けいさんってちょっとむずかしい…。
ううん、おねえちゃん、いっぱいおしえてくれたよ、へいきだよ。
おねえちゃん、じ、いっぱいしってるもの、きっとこれだってすぐおぼえちゃうよ…!
(一生懸命元気付けようとしている)
(自分で書いた式の+を指さして)
ううん、まんなかのは じゅう じゃなくて たす って いうんだって。
ほかにも………えっと………い、いろいろ あるって おとうさんが いってたよ。
(他の記号があるのはなんとなくわかるが、足し算もよく分かっていないナオミにはそれを思い出すのは難しかったようだ…しょんぼりとしている所にローラちゃんから励まされ)
…そうだね、しらないなら おぼえればいいんだよね。
わたし、にがてだけど…みんなに けいさんも おしえられるように がんばるね。
(ほっとしたのか泣きそうな表情がに安堵の表情に変わり)
えっと…ありがとう…ローラちゃん。
うん!おぼえたら、わたしにも、おしえてね!
うん、もちろんだよ。 もっともっと いろんなこと べんきょうして、 ちゃんと せんせいに なれるように がんばるね! (気合いを入れるように両手を握りしめ、むん!としている)
おねえちゃんは色々知ってて教えてくれてすごいなぁ。
うんと、うんと、なんか、こういうのきいたこと、ある。
「いいよめさんになる」だ!
(どこからそれを覚えてきたのだろうか)
お、およめさん・・・!
(ナオの顔がみるみる赤く染まり、両手をバタバタしだし)
え、あ、そ、その…それ、どこで おぼえたの…バラクくん…!
えと…えと……わたし…その…まだできないこと おおいし……およめさんは まだはやいよぉ…。(しまいには顔を両手で覆い、しゃがみ込んでしまう)
おしごとのとき。
まちをあるかされると、きこえてきたんだ。
「いっしょうけんめい あのこはやってくれて いいよめさんになる」って。
おねえちゃん、いっしょうけんめいやってくれるから、いいよめさんになるんでしょ?
よめさんってはやいとだめなの?
う、うーん…わたしは いっしょうけんめい やってるよ。
でも…およめさんは おりょうりも おしごとも できなきゃダメなんだって。
それにね…えっと…およめさんは ひとりじゃなれないんだって。
えっと…ずっと、ずーっといっしょにいたい おとこのひとをみつけて、おとこのひとも わたしを およめさんに したい っておもってはじめて なれるものなんだって。
まだ、わたしには そんなひと いないけど…
バラクくんは どんなひとを およめさんに したい?
うんと…うんと…。
おれがまもる!ってひと?
でもそしたらろーらと、てるぷおにいちゃんと、おねえちゃんと、ふーちゃんと…あとおにいちゃんたちと…。
指折り数えて
…うーん、いっぱいでわかんないや。
うーん…およめさんに できるのは ひとりだけだよ。
バラクくんには むずかしい しつもんだったかな…? もしそうだったら、ゴメンね…。
でも、みんなをまもる バラクくんは すごく カッコいいとおもう。
…わたしも おおきくなったら だれかを まもる…そんな ひとに なりたいなぁ…。
え?!ひとりだけなの?
うーん…じゃあろーらよめにする…。
結婚=よめさんをもらうというのが理解できていないようだ
およめさんを もらうっていうのは けっこんする ことと おなじだから きょうだいでは むりかも
?? よめさんをもらって ちゅうしたら こどもができる?
ふーちゃん、おねえちゃんのこども…?
あれ、でもふーちゃんはおねえちゃんのおねえちゃんで、よめさんなの?
…………あいってむつかしい。
(頭が混乱しているようだ)
(混乱してる様子のバラク君を見て)
アタシとナオは女の子同士だから子供はできないよ〜。
大人の男の人と女の人が愛し合って、キスをした時だけ…子供ができるんだよ〜…。
…でも、女の子同士でも、男の子同士でも愛があったら…何か別の不思議なことが起きるかもねー…多分、きっと…。
(本当のことをおしえるべきか一瞬考えたが、流石にこの年の子供には早いよなーと思ってもっともな理由をつけてごまかす。しかし最後の方は嘘をつくことの罪悪感かだんだん声の大きさが小さくなっていく)
そっかー、あいってふしぎー。
ふーちゃんとおねえちゃん、ふしぎなことおきたんだもん、きっとおとこどうしでも…。
あ!おにいちゃん!
(テルプにちゅうをするつもりだ)
え〜…それはどうかなー…って…バラクくーん?
(テルプ君にキスをしようとしているバラク君をみて)
…だ、大丈夫…だよね?(…心配半分、興味半分のようだ)
あい、あい? あいってなんだっけ、好きってことか。 俺っちバラクのこと好きだよー。おいでー、と、受け入れるスタイルだ!
ほんとう!やった!
んー、でも、俺っちローラも好きだけど、 さっきちゅーした時何にもならなかったねー? ねー? と、ローラに同意を求めるように首をかしげて
うん、ならなかった。
だっておとこのことおんなのこで なんもなくて おんなのこどうしでふーちゃんできたんだよ。 だからおとこのこどうしだと なんかできる! 豪快にテルプのほっぺに「ぶちゅー」といった
あ…。 バラクがテルプにちゅーをしたのを見てぽかーんとする。
バラクくんのキスにはあまりときめきを感じず。 むぅとした顔で何となく頬をごしごしこすっている。失礼だ。
おにいちゃんろーらのときとちがう…。 同じようにむぅって顔
りょうほうのほっぺにしたら、どうなのかなあ…。 新たな試みをしようとしている!
それなら、こう、さんにんでこんなかんじで、まるくなって ローラが俺っちに、俺っちがバラクに、バラクがローラに、こう。 さらに可能性を広げてみている。探究心!
そんな事を話しながら、出来上がった手紙とお花ととげさぼてんを手に、 ぴょんと跳ねるようにテルプは立ち上がる。
やったーーー! じょうずにできた!
ここ入ったら帰れるんだよね?! ねぇねぇかーちゃーーん! 見て見て!
来た時と同じように、上機嫌で扉へと駆け出した。
あ、おにいちゃんいくの? …なまえ!ありがとう! ろーらといっしょにさがしにいくから! ばいばい! 聞こえているだろうか
そっか、テルプ君帰っちゃうのかー。
次に会った時は病気が治るおまじないの折り紙を教えてあげるねー。
…さよならなんて言わないよ。
またどっかであったときはナオ共々仲良くしてくれると嬉しいんだよー。
(テルプ君に軽く手を振って彼を見送った)
そうか、ばいばいなのか、と、一瞬躊躇するも、手元の手紙をはやく母に渡したくて。
じゃーね!
ナオもふーも、ありがとう! かーちゃんきっとよろこんでくれる!
来るなら、とげさぼてんには気をつけて! おおきくなったバラクでも くせんするかも!
テルプくんも かえっちゃうんだね…。
…うん、テルプくんのところへ いくときはとげサボテンにきをつける。
もっともっと いろんなこと まなんで、
テルプくんの むらのひとたちにも もじおしえられるように がんばるね。
またね…またね!
(手をぶんぶんと振ってテルプ君の後姿を見送り)
あら、帰るのね。
かわいい未来の詩人さん…その目の前の女の子は、覚えておいたほうがいいわよ?
扉を開けてあげる
それじゃ…また会いましょ♡
あ…。
行ってしまう事がわかると一瞬だけ追いかけて
もう一度だけほっぺにちゅうをする
おにいちゃん!なまえ、ありがとう…!
たからものありがとう!
もっててね!さがしにいくからね!
ブンブンと見えなくなるまで手を振った
ローラのキスに、少し考えて、自分からも彼女のほっぺにキスを。
そのままくるりと踵を返して出口の方へ。
サファイアさんの言葉の意味はよく分からなかったけれど
「忘れっぽい」彼であるが、この夢の時間を、少しは覚えているのだろうか。
二度と会えないかも、なんてことを欠片も心配してない風に、一度振り返ると
みんな、ばいばい!
笑顔で、手を振って。扉をくぐるとその姿は見えなくなった。
(お母さんのところへ帰っていくテルプ君を見て、ナオは父親の事を思い出す)
おとうさんも…しんぱいしてるかな。
(ナオは風子のところへ行き、彼女の裾をぎゅっと握ると)
ふーちゃん…わたしたちも おとうさんのところへ かえろ?
おとうさん…きっと…わたしたちのこと しんぱい していると おもうから…。
(結局記憶を思い出せなかったナオに対し一瞬しょんぼりとするが、すぐに笑って)
…そうだね。 そろそろお父さんのところへ帰ろうかー。
アタシの姿がちょっと変わっちゃったからー
…ちゃーんとアタシがふーちゃんだって説明してねー、ナオ。
(風子はナオの手を持ち、二人仲良く扉の方へ行くと)
ねーさん、リョ…いや、お父さん達が心配してると思うから私たちも帰る事にするよー。
…扉、お願い。
はいはい、開けておいたわ。
ちょっとはいい思いできたんじゃない?竜のお嬢ちゃん?
くす、と笑って
また会いましょ、その時は覚えているかわからないけど♡
(サファイアさんの言葉にふふと笑い)
…そうだね。
ナオと再会してからはこういう夢を見てなかったから、久々にいい夢を見たかな。
色んな意味でねーさんらしいコメントだねぇ…
ま、ねーさんが覚えてなくてもアタシは覚えておくけどね。
…いいあだ名の案も見つかったしね♪(風子はイタズラっぽくニッと笑った)
…ふー、も、おねえちゃんもかえるの?
すこししょんぼりしながらも笑顔で
うん、おねえちゃんたち、あそんでくれてありがとう、もじ、ありがとう。
…またね、また、あそんでね。
おねえちゃんたちもかえるの? …なまえ、おしえてくれて、ありがとう! ふーちゃんもありがとう! ばいばい!またあそんでね!
(ナオは『またね』とバラク君たちに控えめに手を振ると、先に扉をくぐっていく。風子はその様子を傍でじっと見守っていた)
久々に見た幼馴染との夢は心地よかった。願わくばもう少しここにいたい。
…だけど、夢はいつか覚めるもの。だから…これでよかったのかもしれない。
…もし傍にいた幼馴染が自分と同じように夢を見ていたとしたら、ここでの出来事をほんの少しだけでも覚えていてほしい。そんな小さな願いを自分の胸の内にしまい込むと、バラク君たちの方へ振り向き)
それじゃあ、みんな どっかでで会った時はナオ共々よろしくなんだよ〜♪
(満面の笑みでパタパタ尻尾と手を振って別れの言葉をつげると、ナオを追いかけるように扉をくぐっていった。)
みんな…いっちゃったね。
うん…。いっちゃった。
おれたちも…。
かえる?あのくらくてつめたくてひもじくてくるしいところに。
かえりたく…ない。
かえりたく…ないよぅ…。
ボロボロと泣いてうずくまる
かえりたく…ない…。 ぐっと涙を堪えるも、今にも泣きそうだ
行きなさい。 あの扉をくぐらないと、おにいちゃんたち♡に会えないわよ。 ピシャリと言い放つと扉を開ける
おねーちゃん…。
ぐしぐしと袖で涙を拭うと決意して
…いこう、ろーら。
おれが、まもるから。
ぜったい、おにーちゃんたちにあいにいこう?
おれ、ねふらいとおにーちゃんさがしにいく。
おるごーおにいちゃんにはきいちごあげるんだ。
やくそく。
おにいちゃん…。
励まされて、同じように涙を拭って、立ち上がる
うん…!
なおみおねえちゃんに、けいさんおしえてもらうの。
ふー、にはいいこいいこするの。
それで、てるぷおにいちゃんを、ぜったいみつけるの。
やくそく。
二人手を繋いで、扉の前に
おねえちゃん、ありがとう。
…ばいばい。
バラクも同じように手を振って、扉の向こうへ消えていった
そうして残ったのは、彼女一人。 彼女は机の引き出しに入っていたノートを取り出した。 彼女が最初にきたとき、あらかじめ部屋を調べていたらしい。
息子が先立ってしまってからどのくらい経つのだろう。
日付を見ることも止めてしまった私には、何十年も暗闇の中をさ迷っているようだ。
妻は私に愛想を尽かして出ていってしまった。
息子が過ごしたこの部屋。
空の移り変わりすら息子の居ない時間を感じてしまうのが悲しくて、窓を塞いだ。
壁も塗り替えて。玩具や家具はそのままに。
私はあれからずっと、研究をしている。
時が…あの時まで…巻き戻ればいいのにと。そればかりを考えて。
挟まれている紙は子供の写真。 手記だけでは研究が成功したかはわからない。 ただ、この部屋は彼の深い悲しみと、子供への贖罪に満ち溢れていて。
出来ることなら、息子に友達を沢山作ってやりたかった。
最後は、そう締め括られていた。
「お友達は沢山呼べたのかしら?研究者さん?」
そう呟くと彼女は…最後の子供は部屋を出た。
誰もいない部屋に、子供の笑い声と走り回る姿が幻想となって駆け巡る。
それから、バチン!と糸が切れたように真っ暗になって、部屋自体が急速に消えていった。
研究者の夢に呼び寄せられたのか、それとも―。
イラスト:とある孤児院より さま
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