妹さんをください
第三期:巡る、めぐる

お兄さん!!!

ぴょこんと。孤児院の門から顔をのぞかせるいつもの彼が。
その手に持ってきたものは。

アルバ、アノチェ、誕生日おめでとー♪
はい、これプレゼントな。ふたりに。

(小さめの2つの箱をそれぞれに渡す。
中身は、お揃いの…、宝石を使った部屋飾りの様だ。
銀色の鎖には、何処かに吊るせるような金具が付いていて、その先には宝石が3つ連なっている。
上のふたつは、小さく丸く削られた透明水晶。
一番下は大きめの、……やはり水晶の様だが、
淡い紫色と明るい黄色が層になって混じりあったような色をしている。
ロックアイスの様に荒く削られたものは、アルバに。
丸く磨かれたものは、アノチェの方へと)
きれーな石でしょ♪
宵と暁を一緒に閉じ込めた様な色って、言われる事もあるんだってさ。
この石見た時にさー、お! これアルバとアノチェだ! って思ってさ。
よかったら、どーぞ。
光に当てると綺麗だけど、残念ながら直射日光にはあんまり強くないらしいから
部屋の明かりなんかで、ね。


イラスト:かげつき

…た、誕生日祝ってくれてありがとう…!
わ、私達、前の記憶もあるからなんだかもう一回16歳祝うのも照れくさくて、アルバと二人してささやかでいいかなって思ってたんだ。
(卑下するわけでもなく、照れ隠しをして)
(贈られた部屋飾りを、アルバがしたことと同じように光に照らす)
わ…綺麗…。本当だ、暁と宵が一緒に居るみたい…!
…テルプはいつも素敵なものくれるね…。
…へへ、わ、私が返すの、追いつかないや…。…ありがとう…。
だいすき…。
(そっとその飾りを優しく胸に抱いて、柔らかく微笑んだ)

……俺の方こそ。全然追いついてないけど。
こんな、溢れるほどの大きな喜びを貰ってばかりなのは俺の方。
──好きだよ。
(アルバの目の前という事も気にせずに、堪らないという顔で笑う)

あー、石は、雄大な大自然が永い時間をかけて生んだ稀有な美しさで。うん。 ……その、細工の方は俺っちが。アノチェから見て上手く出来てるなら、嬉しいな。 (何だか恥ずかしそうに、誤魔化しながら鼻の頭を掻いてみたり)

(何か贈るという言葉に苦笑して)
俺の歌、たまに聴いて、楽しい気分になってくれたらそれで十分、だけどね。
なんかね、アルバにはもういっぱい貰ってる気がしてるんだよな。
…ふたりが小さい頃からずっと、一緒に生きてきてさ。
アノチェがとても優しくて、すごく強いのも、アルバと一緒に居たからなんだなぁって。
俺がアノチェの好きなトコ、アノチェの全部、アルバが守って来てくれたんだなって思ったら、
それこそ、俺の方こそ、返しきれないくらい。
……ありがとう、言わなきゃなって。そう思うぜ。
(珍しく真面目な調子で)

テルプの歌は俺も好きだし、チビたちも喜んでるんだよな。
いいのかな、そんなお礼で…。
って、止せよ、前も言ったけど同じガキが出来てた事なんて大したことじゃないって。
あの組織に居続けてたらこうはならなかったんだ、おじさんとおばさんに言ってやってくれよ。
(照れくさそうにぽりぽりと頭を掻いている)

(そのまま、真面目な流れに乗って顔を上げた)
えっと、さ。
俺ね、今そういう、石を削ったり金属扱ったりして色々作るの、練習してんの。
何とかちょっとずつ、安定していい物作れるように、なってきてさ。
色々店にも売り込みに行ったりして、そこそこの値で買ってもらえるように、なって。
俺っち、吟遊詩人やってるけど、どーも「仕事」として歌うの、苦手で。
俺の歌はただ楽しいだけのものでいいやって、……まぁ、俺のワガママなんだけども。
そんなんでさ。その。俺の収入とか安定させてさ。ふたりの色々とか落ち着いてさ。
今すぐじゃ、無いんだけど。
(大きく、息を吸い込んで)
俺、アノチェと一緒に、生きていきたいんだ。
俺っちアノチェに色々貰ってばかりで。俺に何が出来るのか分からないけども、
アルバが安心出来る相手だとは全然思えないんだけど。
アノチェが俺と居て、俺の歌を聴いて幸せを感じてくれるなら。
ずっと幸せにしたいと思う。出来る限りの事はするから。
ね、どうか俺に、アノチェの事、──アノチェの隣を、歩かせて欲しい。

(突然の「お嬢さん妹を僕にください」発言に目を見開いて)
…俺さ、いつだったかな、
「片割れじゃ出来ない事をあいつにしてやってくれ」って、言ったじゃん?
…そしたら「隣にいたい、出来る限りの事をする」って、お前答えたじゃん。
俺、あの時からある程度覚悟してたよ。
それこそ、いきなり連れていかれて、居なくなるかもしれないって。
て、てか!アノチェにちゃっかり指輪贈ってるじゃん!
もう結婚する気満々じゃん?!
…こ、こんなちゃんと挨拶してくれるとは思ってなくてさ…。
(贈られた金属細工を見て)
うん…いい出来だと思う。
俺としては折角そんないい歌もってんのに勿体ねーなとは思うけど。
アノチェを…妹をそこまで好いてくれて、ありがと。
うん…こいつを…頼むよ。一緒に歌を、ずっと歌っていってくれよな。
きっとおじさんとおばさんも、応援してくれる。

……アルバが背中を押してくれなきゃ、俺、今でも逃げてばっかりだったかもしれない。
ありがとな。アルバも、俺にとってすごく大事な、大事な──。、……何だろ。
(友人? 弟? 兄? ひとしきり考えて)
んー、とにかく! 大事な。……家族みたいに、なれるといいな。
(くすぐったいような顔で、笑う。頭を掻いてみたり、落ち着き無く)
──うん。約束するよ。ずっと一緒に。

て、テルプ…。
あ、あの…あの…!
(ぎゅっとテルプの服の裾を掴んで)
だ、ダメだって言われたって、着いていくんだからね…。
だ、大丈夫だよ!
わ、私は歌を仕事にできるし…!
な、なんだったら酒場で…!
(と、言いかけて「…アーノーチェー…。また無鉄砲な事するんじゃないぞ」と、やや怒りの篭った声が聞こえる)
う…。
て、テルプ…。
あ、あの…。あ、ありがとう…。

(そっと、服を握りしめるアノチェの手を取って)
生活の事なら心配すんな! って、言えねぇのが、なっさけ無いよなぁ。
(口ではそうはいいつつも、嬉しそうににっこりと)
ま、何とかなるモンだって♪
一緒にね。楽しい歌、歌っていこうね。
……これからも、ずっと。よろしく。

(くすくすと笑うと)
…そういえば、酒場で一緒に歌ったのが…きっかけだった気がする…。
あ、あの時はおにいちゃんみたいだって、思ったのにね…。
うん!これからも、ずっと。よ、よろしくね…!

──そうだな、俺っちもあの時は、急にひとりになっちゃったアノチェの、 にーちゃんみたいになれればなって、そう思ってたんだけど。 ……アノチェが、可愛すぎるから。(そう言って、軽く額にキスをして)

(額に軽くキスをされて、「可愛すぎるから」と言われて。呆気に取られ額を押さえるとこう呟いた)
…だ、だって、すきになったんだもん…。
(あの日の夜に。
歌った喉から、聞こえた耳から、繋げた手から。じんわりと広がって。心に「好き」を宿した。
片恋でもいいと、思っていたのに…。ふと、あの頃が懐かしくなって、ふわりと笑った)

ああー、でも、おじさんとおばさんって、……厳しい人?
(イキナリの逃げ腰だ!)

おじさんもおばさんも、や、優しい人だよ…!
い、いつも仲が良くて、おじさんが、おばさんを優しく気遣う姿、見てるの大好きだったんだ…。
だ、大丈夫だよ、あ、アルバも言ったけど、き、きっと応援してくれるから…。

やさしいんだ! それは、すごく安心した…。
おじさんたちの事、さ、何か協力出来ることがあれば、何でも言ってよね♪
じゃ、ちょっと俺っち子供らと歌って来ようかな。
(一緒に行く? と、目線だけでアノチェに問いかけて)
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家に帰って、ひとり。
ベッドの上で転がりながら、彼女の顔を、声を、思い出す。
愛しくて、いとしくて。

(゚▽゚)(<゚。)(<。゚)(。△。)(゚。>)(。゚>)(゚▽゚) ごろんごろん

o(゚−゚)oころん♪o(。−。)oころん♪o(゚−゚)oころん♪

……おかみさんに、結婚式のベール作って貰いたいな……。
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遠い砂漠の向こうの故郷へと、想いを馳せる。
鈴の音はころころと、今も彼の耳元で小さな音を鳴らしている。