こどもたち
第三期:キンダーガーテン
そこは子供しかいない不思議な空間…。クラン「とある孤児院より」でのイベント。
此処は何処でもない何処か。
大きな部屋の中心には柱があって、幹の絵が表面に描かれている。
この柱は大樹をイメージしているようだ。
部屋の壁には森やら、動物の絵、壁面中ほどから天井に至るまで空と雲が描かれている。
幼稚園の一室のような部屋。
子供達の好きそうなものは一通りここには揃っている。眠る場所もある。
貴方がこれを欲しいと思えば望みどおり出てくるだろう。
そしてこの部屋には窓がない。扉は頑丈そうに閉じられている。
貴方はいかにして、この部屋に迷い込み、そして出て行くのだろうか…。
この部屋の事は眠っている間に見た夢のようなもの。
出た後徐々に忘れていきます。
(都合が悪ければ出た瞬間に忘れちゃってもいいです)
でも、この出来事がとても心に残ったのなら、ほんの少し、覚えていてもいいかもしれません。
次に現実で出会ったとき、すこしでもよいスパイスになれば幸いです。
それではよいお子様ライフを。
…アタシ、部屋で寝てたはずなんだけど。
(気付くと違う部屋で。更に自分の姿が幼くなっていることに気付く。ご丁寧に当時の服装のままだ。じゃらり、と首に嵌められたものが、それを証明している)
…随分懐かしい姿になってるわね。
(あたりを見回すと、扉が開いて…)
あれ、なんだこの部屋。 こんな部屋孤児院にあったっけ? (と、アルバとアノチェセルが入ってくる。部屋に入ると扉が自動で閉まり、そして…視界がぐらりと揺らいで…)
……。
(ぐるりとあたりを見回すと、サファイアを見つける。警戒し、妹を後ろに隠すと身構えた)
…だれ。しごと?
……。
(兄の後ろに隠れると何も言わず、何かされやしないかと怯えている)
(あらあら♡あっちは中身まで子供になっちゃって♡ 刺激してもなんだし、当分様子を見たほうがよさそうね)
仕事かどうかはわからないけど、アンタ達には手を出さないわ。
そんな怖い顔しないでよ♡
(ひとまず自分達に危害は加えないことが分かると、後ずさりながら、部屋の隅に移動する。そのまま妹と手を繋ぐと座り込んだ)
みんな子供に戻ってしまう、そんな 不思議な空間に、また、誰かが現れたようだ…。
(オカリナを手にしたエルフの子供がぼやっと突っ立っている)
………。
………ええと、僕はどうしたんだっけ? 明日音楽会があるから笛の練習をしていて…そろそろ寝ないと…。
……いや違う。
俺は今冒険者で…偉業から帰ってきて疲れ果てて宿で寝ていたはずだぞ。
待て、何がどうなっているんだ…?!夢の中、なのか?
(縮んでいる自分の身体に動揺しながらも部屋を見渡すと3人の子供に気づく)
あの…君、ちょっといいかな。ここは一体どこなんだろう?
それと…思い違いかもしれないけれどどこかで会ったことあるかな…?
(3人の中で一番堂々としているサファイアに話しかけた。
首に嵌められているものに一瞬表情を固くしながら。)
(幼くても分かる容姿の、エルフの子供に話しかけられ)
…あら♡かーわいい♡
アンタオルゴー?
ふふ、エルフの子供時代が見られるなんて貴重ね♡
アタシの方はこんな格好でごめんなさいね?
(囚人のような服と、首輪にやや済まなそうな顔だけして)
流石にこの姿じゃわからないかしら?
サファイアよ。
(色気のある口調は相変わらずだが胸はまったいらだ)
どこか…って言われるとねえ…。
アタシも寝て起きたらこれよ。
まあいいじゃない?夢ならいずれ醒めるでしょ。
折角だから貴重な姿でも眺めている事とするわ。
ああ、そこの隅に団子みたいに丸まってるのがアルバとアノチェよ
記憶まで子供に戻ってるみたいだから刺激しないほうがいいわ。
…!サファイアか…!
ただの夢ならいいんだけれど…、とりあえず様子を見るしかないようだな。
(視線は双子の方へ)
そうか、アルバとアノチェ…どこかで見たようなと思ったら…。
…3人共、随分と過酷な状況だったんだね。今の姿からは想像できないぐらい…。
そうは言っても、2人とも随分怯えてないかい?放っておく事もできないよ。
(双子に近づいて座り込むとまずはアルバの警戒を解こうと子供の口調で)
こんにちは、俺…いや僕はオルゴー。君たちの名前はなんて言うの?
……。(…とは言え人間の子供と何を話せばいいんだろう…)
えーっと……そうだ、木苺、いる?
(腰の袋から一粒取り出して見せる)
…!
(妹を守るように自分が盾になりながら質問に答える)
なまえ…?ばんごうのこと?
…おまえっていわれる。
…つれてこられたの?
…ごめん、うそいって、ここにつれてきて、ごめん。
…にげて。
(覚えがないが、自分達がオルゴーを騙して悪い所に連れて来たと思っているらしい)
…おにいちゃん… (お腹が空いてるのか木苺に少し反応を示すも、怖がってそれ以上はなかなか手を伸ばさない)
番号…!番号って……。
(辛そうな顔で小さく首を振ると、はっしとアルバの手を取って)
いいや、違うよアルバ。僕は自分からここに来たんだと思う、…あ。
(思わず名前を呼んでしまったので焦ってごまかすように)
ええっと、こ…ここってさ、そんな悪いところじゃあないんじゃないかな…。怖そうな大人もいないし…。
ほら、よく見てよ。僕は遊んだことないけど、人間の子供ってみんなああいうので遊ぶんでしょ?
怖がらなくても大丈夫だよ。毒とかはいってないから。
(一つを自分の口に入れ、袋から今度は2つぶ取り出して差し出す)
(きょろきょろと辺りを見回すと沢山のおもちゃが見えるが)
…わからない。見たことないもの、ばっかり。
…あ…。
(毒はないと、自ら証明してくれたオルゴーから差し出された木苺を、妹が手を伸ばして…)
…おいしい…
(ほんの少し、目に光が戻った)
…たべよ?
(兄の手にそっと、木苺を渡す)
…うん。
(恐る恐る口に入れると甘酸っぱい味が広がって…)
…おいしい…。
(こちらも少し光が戻った)
どこからか響く、何かを叩く音。リズムと歌声。
(踊るように、楽しそうに、ステップを踏みながらよく通る声で歌う少年は、今自分の居る場所が、見覚えのないものである事に気付いて立ち止まる)
……あれ? また、幻、かな?
それにしては、ふしぎな、見たことないものばっかり…。
(きょろきょろと周りを珍しそうに見回して、手に持った石の棒でカンカンと色んなものを叩き、良い音がするものを両手に集めていく。ふと、人がいるのに気が付いて。ひとり離れた場所に立つサファイアさんに声をかけてみた)
ねーねー、ねーちゃん、村の外の人だよね? どうしてこの村に来たの?……
それともやっぱり、幻、なんだろうか?
(木苺を食べる双子を見て少しほっとしていると)
…あれ、歌だ…。またこどもだ。
(…あの子もまた誰かの時が巻き戻った姿なんだろうか…?歌にあの容姿…もしかすると…テルプ、とか?)再び木苺を食べながら見守っている)
(あら、また誰か来たのね…可愛い男の子ばっかりで…ふふ♡)
ここは村じゃないわよ?ボウヤ。
ふうん…幻ね…。確かに幻なのかもしれないわ。こんな…場所…ね。
ボウヤは幻ばっかり見ているのかしら?「また」なんていうんだから初めてじゃないんでしょ?
(ずいっと近寄って赤い目が彼を見詰める。見透かすように)
アンタ、名前は?
(誰かまた来たのに反応して「びく!」と身体を震わせる) …おにいちゃん…だれかきた…。 また…つれていかれるのかな…。 やだよぅ…。 (ぐすんぐすんとべそをかき始める)
だいじょうぶだから。 にいちゃんいるから!なかないで…。 (妹の手を強く握って、頭を撫でる) (ぐっ…と堪えるような表情をして)
村じゃない? 村の外? なんで? どうしよう、かみさまに怒られちゃう。
目を見開いて慌てていた様だが、すぐに目の前の少女に興味は移る
ねーちゃん、きれーな目だねぇ。
俺っちは、テルプ。テルプ・シコラ。
幻を、見るのも、見せるのも、俺っちのとくいわざだよ?
ねーちゃんも、何か見たい?
ねーちゃんの目みたいな、きれーな石、見せてあげよーか。
テルプが歌いだすと、周囲に、無数の発光するルビーの結晶のようなものが現れる。きらきら、速く、七色に、ゆっくりと、速さと色を変え明滅するそれらは宙を舞い、集まったり離れたり。その中心で彼は楽しげに、踊る。(ただ目を凝らせば、それは消えてしまいそうな、すぐに暴かれてしまう弱い魔法)
(へぇ…テルプなの。この子。なるほどねぇ…)
へぇ…なかなか面白いことしてくれるじゃない。
(とん、と軽くステップを踏むと、その明滅する光に飛び込んで踊ってみせる。似つかわしくない灰色の首輪と、ボロボロの服さえもアクセントのようにして、子供の戯れに付き合うかのように)
テルプ、ね。ステキな魔法ね、ありがと♡
アタシはサファイアよ。一応ここではそう名乗っておくわ。
折角だから、其処の子達ににも見せてあげたら?
(と、オルゴーや双子らの方を指し示す)
サファイアさんのステップに合わせて自分もその速度を変えながら
わ、ねーちゃん、すてきなおどりだ!
さふぁいあ。そーか。よろしくね、ねーちゃん。
にこにこと話をしていたが
促されて振り向いた方向に、自分と同じくらいの子どもたちが集まっているのに気付くと
大変興奮した様子でそちらに駆けて行く。
すっかり興味が移ってしまったらしく、サファイアさんの方を振り向きもしない。
(やっぱりテルプだったのか…!これまた小さくてかわいい…。ああ、やっぱり凄いなあ…吟遊詩人さんっていうのはやっぱり昔から歌の上手い人が多いんだろうか…、などと思いながらぽへ〜っとテルプとサファイアのダンスを見つめていたので、次の来訪者の接近に気付かず)
(いつの間にか、部屋の隅から歩いてきたこどもがひとり、きょろきょろと不思議そうに辺りを見回している)
わあ……。
(大樹を模している柱に目を奪われていたが、他のこども達が居る事に気づくとぱぁっと顔を輝かせて小走りにそちらへ近づいてゆき、誰にともなく挨拶の声をあげる)
あの、みなさん、こんにちは。
(近くで見てみると、そのこどもの額の生え際には額冠の様に、そして小さな手の両手首までには万遍なく、まるで茨で傷ついた様な見るからに痛々しい傷痕があるのが見て取れる。が、本人は全く痛がる様子も無くにこにこと機嫌良さそうだ)
――あっ。
(先客のこども達を見渡して、オルゴーくんのもとに、ととと、と駆け寄る)
わあ、こんにちは。エルフさんだ。
わたし、エルフのかたとおあいするのはじめてです!
おみみが大きいんですね。うさぎさんみたいです。
(嬉しそうにそこまで言って、あっ、と何かに気づいた様に)
ごめんなさい。うさぎさんみたい、なんてしつれいだったでしょうか……。
(少し心配そうに声の調子を落とすと、肩から羽織っている上等そうな深緑のケープをきゅっと握り込んで、小首を傾げる)
えっ あっ こ…こんにちは!
あ…あはっ…う うさぎは好きだからだいじょうぶだよ?!うん!
(急に話しかけられたので挙動不審だ!)
エルフってやっぱりめずらしいかな?
うさぎは好き、との言葉に
……よかった!
うさぎさん、とってもかわいいですよね。わたしも好きです。
わたしのお家のお庭に、よくあそびにきてくれるんですよ。
(安心した様に、元の笑顔に戻って)
エルフさんは、ご本にのっていたのを読んだことがあります。
森にすんでいる森のたみ、で、魔法や弓、がおじょうずで、わたしたちにんげんのことは、あんまりお好きじゃないみたいで……、
(本の内容を懸命に思い出し、指折り数えつつ所々棒読みになりながら)
そうそう、森からきたんだよ、僕。
いろんな果物とか、木の実とかたくさんとれて…あれよりりっぱな木がなん本もある。(柱の樹の絵を指差す)
弓と魔法…そうだね。みんなとくいだよ。でも僕は弓はちょっとじしんないかな…あはは。
けがを治す魔法ならけっこういい線いくんだけど…杖なしじゃまだきびしいし…。
僕はオルゴーっていうんだ。君は………
(今度は誰だろうと改めて眺めると額と手の傷に目がとまり)
君、その…それって、いたくないの?
僕…治癒術つかえるけど、なおしてあげ………られるかなあ…?
(当時の自分の技能と杖がないことを思い出して言葉が濁る)
――あっ。
(名前を尋ねられて、本のおさらいに夢中になりかけていた顔を上げ、頬をぱっと紅潮させて)
ご、ごめんなさい。しつれいしました。
わたしは、ネフライト、ともうします!
あの、わたし、こんなにいっぱい、おないどしくらいのかたたちとおあいしたの、はじめてで……。どきどきして、名前をいうのもわすれてしまいました。
(と、照れ臭そうに笑った)
オルゴーさん。オルゴールみたいで、すてきなお名前です。
(傷を見るオルゴーくんに向かって)
あっ、これは、ぜんぜんいたくありません。
(傷だらけにしか見えない手で、額の傷跡をさらさらと撫でてみせて)
これは、いばらのせいじゃさまの、おしるしなんです。うまれつき、です!
とうさまもかあさまも、やかたのひとたちもみんなしってるから、うっかりしていました。
(しつれいばっかりしちゃって、ごめんなさい、とぺこりと頭を下げる)
エルフさんなのに、にんげんのわたしにとってもやさしいんですね。
しんぱいしてくれて、ありがとうございます!
そっか、ネフライトはものしりだね……ん? ね …ネフライト?!(急に素に戻って目の前の少年の正体に驚きながら)
…あ、いや ううんなんでもないよ…。『いばらのせいじゃさま』ってなんだかすごそうだね…?
(そうか、額当てと手袋の下はそうなってたんだ…知らなかったな…)
(また新たな来訪者に反応し、更に額や手の傷を見て) …おしおき、されたんだ…。 …ごめんなさい…ごめんなさい…。 (裾をぎゅっと握ってぽろぽろと涙を零す。自分達の居る場所は収容されている組織の施設だと信じきっているようすだ)
(泣く妹に反応して、妹の身体を抱き締める。自分の体だって小さいか弱いものなのに。ネフライトとオルゴーを見てどうしたらいいかわからず、ただじっと聞いている)
(涙を流し始めたあのちぇちゃんを見て、双子さんにそっと近づく)
……どこか、いたいんですか? おしおき、されたんですか?
(かぼそい呟きを、少し聴き違えたようだ)
泣かないでください。わたし、いたいのとんでいけーってできます。
わたしがそばにいると、いたいひとのいたいのが、すぐなおるんですよ。
だから、ね? 泣かないで……。
ネフライトがこどもたちと話をしていると、先程の少年、テルプがとことこと側へとやってきて。
ねねねね、ねぇねぇねぇ、君たち、外の子だよね?
──どしたの? この子なんで泣いてるの?
泣いてるアノチェさんへと優しく話しかけているネフライトさんに向かって、興奮した様子で問いかけた。
あっ、はい! えっと……。
(元気で親し気な声に突然話し掛けられて、ちょっとびっくりしながら)
外、はよくわからないです。そういえばわたし、お家のお庭をあるいてたはずでした……。
(ここ、どこなんでしょう? と首を傾げてから、しかしそれよりも目の前で泣いたり硬い表情だったりの双子さんが気になる様子で)
この子、急に泣いてしまったんです。
おしおき、って言ってましたから、どこかいたいんじゃないかとおもったんですけれど。
(あのちぇちゃんの様子を窺いつつ心配そうにそこまで話してから、あっ、と気づいてテルプくんに笑いかけて)
わたし、ネフライトともうします。
あなたのお名前、おしえてください!
俺っちは、テルプ。テルプ・シコラだよ。よろしくねっ!
にっこりと。
ねふらいと…さふぁいあ…。石の子があつまってるの?
そういえば、山から出る石がぜんぶしゃべりだしたら、って想像したことあったなぁ。
…………君、きれーな顔してるねぇ。
よく分からないことを言いながら、無遠慮にネフライトさんの瞳をマジマジと顔を覗き込むように。
テルプさん。なんだか元気でたのしいひびきのお名前で、ぴったりですね。
……きれい、ですか? ありがとうございます。
(顔を覗かれて、不思議そうにぱちぱちと瞬きしていたが、石と聞いて顔を綻ばせる)
そうです。ネフライトは宝石の名前です!
わたしの目がみどりいろだから、とうさまがそう名づけてくださったんです。
俺っち、みたことあるよ、みどりの石! さわらせてももらった!
しずかで、すごくやさしいかんじがする石だった。
みがくと、きっともっときれいなんだろうな…。
ねふらいと、いいなまえだねぇ。
身振り手振りを交えて、人懐っこい笑顔を浮かべつつ
はい! みどりの石はほかにもたくさんありますけど、ネフライトは人をいやしてくれるやさしい石なんだそうです。
だからわたし、じぶんの名前もその石も、大好きなんです。
……ありがとうございます!
(名前を褒められて、目の前の懐っこい笑顔にとても嬉しそうに微笑みを返して
……相変わらず怯えたようなふたりの方へと向き直る)
大丈夫ですか? さむくありませんか?
(自分の羽織っていたケープを外して、抱き締め合っているふたりの小さな肩を包み込む様にふんわり掛けようとする)
(木苺をくれたオルゴーや、ケープをかけてくれようとしているネフライト、元気に歌い踊っているテルプ。最初のサファイアの格好ですっかり思い込んでしまっていたが、みな怖がる様子もなく、自分達を気にかけてくれている)
(ようやく、オルゴーの「そんな悪いところじゃあないんじゃない」という言葉を信じてきているようで)
ここ、「しごと」じゃないのかな。
怒られたり、ぶたれたりしないのかな。
(慰めるように妹の頭を撫でると、最初に木苺をくれたオルゴーに)
…ごめんなさい。
…ありがとう。
(と、お礼を言った)
(一度感情があふれてしまったせいで、周りの会話も聞こえず泣きじゃくったままだ) ごめんなさい…ごめんなさい…
(ケープをかけようとしてくれるネフライトに)
さむいの、いつもだから、だいじょうぶ。
いたそうだから、いもうと、ないてる。
…いたい?
いつも……? そうなんですか……。
(大丈夫と言われて、しかしどうして良いか解らずに困って、掛けようとしたケープを自分の胸元に手繰り寄せて)
……あっ。
(ようやく、先ほどの「おしおき」がどういう意味だったか思い当った様だ)
ごめんなさい。いもうとさんが悲しんでいるの、わたしのせいだったんですね。
これは、ぜんぜんいたくないんですよ。
きずじゃなくって、生まれたときからある……えっと、あざ? です。
おしおきされたものじゃないです。
いたいこと、されたわけじゃないですから……その、
(泣きじゃくっているあのちぇちゃんに、再びそっと話し掛ける)
わたしのせいで、こわいおもいさせて、ほんとうにごめんなさい。
(それだけ伝えて、後はテルプくんに任せようと。
少ししょんぼりしながら、後ろに下がってオルゴーくんの傍に戻った)
(少しずつ口を開いてくれたアルバに笑いかけながら)
だいじょうぶ、だとおもうよ。
わるい大人がきたらさ、僕が君たちのことまもるよ。
歳、おなじぐらいにみえるけど、君たちよりも長くいきてるし、
すこしなら魔法だってつかえる!(…と言っても俺が使えるのは回復魔法だけどね…)
(「守るよ」という言葉にじんわりと、泣いてしまいそうになるのを、ぐしぐしと服の裾で拭うと)
…ありがとう、おにいちゃん。
(少しだけ、本当に僅かな変化だが、安堵した表情を浮かべた)
…あっ…。
(しょんぼりしているネフライトに申し訳なさそうな顔をしている)
…痛くないんだって。
おしおきされたんじゃないんだって。
…だいじょうぶだよ。
(泣いている妹にそう、話しかける)
(笑顔でぽんぽんとアルバの頭をたたくと、くるりと背を向けて目頭を抑えた) (………かわいい、そして可哀想だ……) (そのいたいけな姿が涙腺に来たらしくプルプルしている)
(そんな話をしている間にも
やたら元気にくるくる笑うテルプに目をしぱしぱと瞬きして)
…だれ?
自分に向けられた声に、くるりと振り向く。
ん、俺っちテルプだよ。テルプ・シコラ。
どうしたの? ふたりともこわいかお、かなしいかお。
そんな顔してたら、しあわせも逃げちゃうんだよ?
かーちゃんが言ってたもん。どんな時でもえがおでいれば、しあわせ、でしょ?
えがおは「おしごと」につかうんだ。
ともだちになって、っていうんだ。
…でも、「おしごと」したら、おとながきて、つれて行かれちゃう。
ともだちになっても…。だから、えがお、こわい。
(俯いてしまう)
…しあわせって、なあに?
しあわせ は しあわせだよ♪
いたいのも、くるしいのも、こわいのも、いやなもの、何もないこと!
ね、君がこわいと思うえがおは、楽しいえがおで塗りつぶしちゃえばいいよ。
ここで初めて双子の顔を見比べて
わ、ふたりともおんなじかお! でもひとつは泣いてばかりだ。
ね、泣かないで? ほら俺っちのうた、きいて?
俺っちのうたはみんなをしあわせにするうたなんだよ♪
ひとつ、礼をすると、大きな声で歌い出す。
歌声に合わせて、七色に光る宝石が、雪が舞う様にチラチラと降りはじめて。
その輝きを見ているうちに、『何か』が、心の扉の隙間から強引に入り込んでくるような
そんな感覚に襲われるかもしれない。
その『何か』を自分の意志で受け入れるなら、心は軽くなり、踊り出したくなるような楽しさを感じられるかもしれない。
精神に作用する何かの魔法の力も、同時に感じるだろう。
(降ってくる宝石の光景に、顔を見上げて)
…きれい。
(と、呟く)
(その「何か」は兄の心にこじ開けるように入り込んでくる)
―「楽しいよ」「笑っちゃおうよ」―
(その誘いにゆっくりと、笑うも…それは「しごと」をするときに無理やり笑う感覚にも似ていて)
…いたい…
(その笑みはどこか、いびつにも見えた)
(泣きじゃくっていた所に、歌声が耳に入る。ぴくりと反応して、その歌声のほうを見た)
(映し出される光景よりも、その歌声に興味が向いているようだ)
…すてきなうた…。
(しぱしぱと瞬きをする。涙はいつのまにかもう出ていない)
自分の歌で誰かが笑ってくれた!
その喜びでいっぱいで、少年の笑顔の違和感には、気付かない。
あるいは、それでいいのだ、と思っているのか。
…まだいたい? おかしいな。もっとさ、わらいたい! って思って?
いやなこと、ぜんぶ、たのしいことにかわっちゃう。
ほかの人の事もえがおにできる。
そうやって、嘘だって、わらっていれば、ほんとうになるよ。
やっと顔を上げた少女に向かって。
うた、すき? たのしいよ!
君もいっしょに、うたお?
簡単な童謡のような歌をうたいはじめる。覚えやすいフレーズだ
うん…!
(耳がいいのか、テルプが歌った歌を一発で覚えると、真似をして歌った。綺麗な鈴を転がしたような、可愛らしい声で。たどたどしくも、しっかりと)
(すっかり泣き顔も消えている)
(歌による効果の笑みで、目の前のテルプが嬉しそうに笑ってくれた事に対して)
…うん。ありがとう、おにいちゃん。
(と、笑みを返した。それは、先ほどの笑みよりずっと自然だ)
わ、すごい! きれーなこえだ。すてきだね。 君のうたも、なんだかみんなをえがおにするみたい! きっと、もうひとりの……アルバの方を指し おにーちゃんを、 いっぱいげんきにしてあげられるよ♪
(しぱしぱと瞬きをしてそれから…、冬の寒さで凍えた、固い蕾が春の息吹で少し和らいだかのように)
……うん…!
…ありがとう、てるぷおにいちゃん。
(ふわりと笑った)
(それから兄のほうに向かい)
おにいちゃん…!
おうた、おしえてもらったよ…。
(先ほどの歌を披露する)
(妹が笑って…本当に久しぶりに笑って、歌を歌っている様子に)
…わらってる…。
…よかった…。
(つられて笑う)
(3人の方を心配そうにそっと窺っていたが、泣き声の代わりに穏やかな会話や綺麗な歌声が満ちてきた事に、とてもほっとした様だ)
(よかった。テルプさんは、すごいんだなあ……えがおの魔法使いさん、なのかな?)
歌声を聞きながら、ネフライトへと自分の住んでいた森の話をしていたようだ。
この木苺もさ、その森でとれたやつなんだ。(ネフライトにも1粒差し出しながら)
それにしてもネフライトは色んな事を知ってるね。
ぜんぶ本でしったんだ?
たしかににんげんを嫌ってるなかまはおおいよ…うん。…でも、僕は……すき、かな。(少しぼんやりと天井の空を眺めている)
わあ、ありがとうございます。
(木苺を受け取ってぱっと笑顔に)
ジャムはしってますけれど、きのみのままを見るの、はじめてです。きれいなんですね!
……おいしいです。
(甘酸っぱい果汁を味わいながら、興味深そうにじっと森の様子の話に聴き入る)
わたし、お外はお家のお庭しか行ったことないので、いろんなことがかいてあるご本は大好きです。エルフさんのこと、ご本で読んでからずっと、おあいしてみたいなあっておもってました。
うさぎさんや小鳥さんたちと森でくらすのって、すてきなんじゃないかなあ、おはなししてみたいなあって。
でも、わたしはにんげんだから、なかよくしてもらえないのかな、って。
だから、オルゴーさんがやさしくしてくれて、とってもうれしいです!
(視線につられて、一緒に天井を見上げながら)
……オルゴーさんは、どうしてにんげんがお好きなんですか?
ええっとねえ、そうだなあ…にんげんはね、たくさん関わりあったから、すき、かな。
昔はそんなにすきじゃなかったよ。でもね、いろんなヒトといろんなことがあったからね…そのうちに…なんだろう、すきになっちゃった。(天井から視線を外してえへへと照れ笑いを見せる)
あ、もちろんにんげんだけじゃなくて、獣人…けものみたいなヒトとか、ドワーフさんとかさ、ほかの種族のヒトもけっこうすきかな。たまにはひどいヤツもいるけどね!あはは。
たくさん、かかわり……。
(オルゴーくんの言葉を、反芻する様に呟いて)
さいしょはあんまり好きじゃなくても、そうやって好きになったりなかよくなったりできるんですね。オルゴーさんはすごいんですね。
わたしも、もっといろんなかたたちとおはなししたりして、いろんなかたたちとなかよくなりたいです。オルゴーさんを、おてほんにします!
(自分も天井を見上げるのをやめ、照れ笑いのオルゴーさんにそう笑いかける)
ネフライトはずっと…家のなかでそだったの?その、おうちのひとがきびしい…とか?
(きびしい? の問いにふるふると首を横に振り)
とうさまもかあさまも、ほかの人たちも、みんなやさしいです。
でも、お家の外はどうもうな動物とかかいぶつ、とかがいるから、あぶないから出ちゃいけません、って言われます。
お庭にも、だれかに言ってからじゃないと出ちゃだめで……、
(言いながら、外への憧憬からか少し声に元気が無くなってくるが、思い直した様に)
あっ、でも、わたしがお庭に出ると小さい動物さんたちがあそびに来てくれますから、さみしくないです!
ネフライトはみんなに大切にされてるんだね。
わかるよ、僕もむかしは村の外にでちゃダメっていわれてたからなあ…。
『オキテ』がいろいろあってね。大切だから、ダメがふえるんだよね。
オルゴーさんも、そうだったんですね。
(周りに比較対象が居ないからか、オルゴーくんと同じだったという事に安心した様だ)
『オキテ』……えっと、つよいおやくそくのこと、ですね。
エルフさんたちは、森をたいせつにしているからオキテがいろいろになるんですか?
そうだよ。大切なんだ、森と自分達が、ね……。
あはは、オキテオキテっていうと息ぐるしくかんじるかもしれないけどね!村の人はみんなやさしいし、あまりきゅうくつなかんじはしなかったなぁ、うん。
(自分達が、と言うオルゴーくんの言葉の響きに、少し「?」となりながら)
やさしいエルフさんたちとオルゴーさんがたいせつにしている森、わたしも見てみたいです。さっきおはなししてくれた大きな木とか……お空までとどいちゃうくらい、大きいですか?
あっはは、そこまで高いかな。でも木のみきもふとくて、しっかりしてて…ほんとうにりっぱな木がたくさん。
ネフライトにも見せたいな!
…あ、でもね、森のばしょもなまえもおしえちゃダメなんだ。…だから…ごめん。
(少し寂しそうに笑う)
(ごめん、と言われてほんの一瞬残念そうにしたが、
オルゴーさんの寂しそうな笑顔を見てそれを元気づけるように微笑んで)
いいんです! さっき、「たいせつだからダメがふえる」っておしえてもらいました。エルフさんたちのすごーくたいせつな森だから、おしえちゃダメのないしょ、なんですね。だから、わたしもないしょにきょうりょくします。
(人差し指を立てて、しー、の仕草で)
(ふと自分の手の痣が…いばらのせいじゃのしるしが目に入り、……先程、オルゴーくんが治癒術がつかえると言っていたのを思い出す)
オルゴーさんもいたいのをなおせるの、わたしといっしょですね。
(お揃いなのが嬉しいのか、にこにこして)
──いばらのせいじゃさまは、すごいんですよ! えっと……、"いばら(茨)のひとや(獄)におちたともがらを、その身かえりみず"……、"ぜんしんいばらできずつこうとも"……、……えっと。とにかく、すごいかたなんです!
(とある伝承の一節らしきものを懸命に諳んじようとするが、覚えきれていないらしい)
…あ、そうか。(彼の特性を思い出しながら)うん、痛いの治せるのいっしょだね!(手をあげて彼の手とハイタッチしようとする)
すっごくやさしいヒトなんだね?その『いばらのせいじゃさま』っていうのは。
ネフライトはその『いばらのせいじゃさま』みたいになるの?
はい。わたし、せいじゃさまのおしるしをいただいたから、せいじゃさまみたいな人になりますって言ったことがあります。
(一緒だね! とあげられた手と、オルゴーくんの顔を交互に眺めて暫しきょとんと。
そろりと真似をしてあげてみた手にぽんとタッチをされて目を輝かせて驚く)
……わあッ、いまの、なんですか? とっても楽しいきもちになりました!
(タッチで目を輝かせるネフライトを面白く思いながら)
あ、これはね「やったね」っていうことなんだ。
もっと男の子っぽいのだったら、こういうのもある。ぐーして、…こう。
(こぶしを作って相手のこぶしに軽くぶつけるような、そんなしぐさをしてみせる)
こういうのも仲間に…えーと、いままで関わったヒトとかにおしえてもらったりしてさ、いろいろけいけんしたんだよね。
ネフライトもきっと、大きくなったら外にでて、きっといろんなヒトとおはなしできるよ!
ぐーして、こう……。
(教わった通りに真似っこしてオルゴーくんに同じ様にしてみせて、わくわくした様子で引き続き目をきらきらさせている)
こっちはなんだか、かっこいいです!
お外にはすてきなお作法があるんですね。はやく大きくなりたいなあ。
大きくなって…いばらのせいじゃさまみたいな人になって……
あ、でも、とうさまもかあさまも、ネフライトはネフライトでいいんだよっておっしゃいました。
もし、このおしるしがなくっても、おもいやりある人になりなさい、って。
だから、わたしはそういう人になりたいです。
(幼いながらも父母を誇らしく思っているらしき事が伝わってくる声音で、そう話す)
へえー、君のおとうさんとおかあさん、やさしいヒトだなあ…。
きっと、みんなからもしたわれてるんだろうね。
(目をキラキラさせているネフライトににこにこ)
えへへ、たのしいよね!こういうのって。
うん、でもネフライトはさ、ゆっくり大きくなればいいんじゃないかな。そのときまで、外のせかいでまってるよ。
あっ、そうでした。エルフさんのオルゴーさんは、にんげんのわたしたちよりずっと長生きなんですよね。じゃあわたしが、大きくなるのにじかんがかかっちゃってもだいじょうぶですね。わたし、お外に行けるようになったらオルゴーさんにあいに行きます!
(まっててくださいね! と言って、先程習ったばかりの「ぐーして、こう」のポーズをしてみせる)
うん、まってるよ!(軽く握った拳をコツンと彼の拳に当てた)
僕の村につれていけないかわりに、2人でいろんなたのしいこと見つけにいこう。やくそくだ!
(そしてそれは目が覚めればすぐの事だと思っては、可笑しそうに笑っている)
はい! やくそく、ですね!
(合わせられた拳を、もう片方の手で宝物の様に胸元に引き寄せて、高揚と喜びで頬を染める)
やくそくはまもるためにあるんだよ、っていつもとうさまもおっしゃいます。
わたし、ぜったいぜったい、まもりますね!
(逢う事が未来で既に果たされている事はまだ知らぬ身のまま、一緒に嬉しそうに笑う)
そうやって、笑い合うふたりの少年の耳に、先程からたどたどしくも澄んだ歌声が届いている。 すっかり笑顔を取り戻した少女と、それに合わせて楽しそうに歌う少年テルプと。
兄に向かって歌を披露
共に歌っている
(ふたりの歌に聞き惚れながら)
…ねえ、テルプ?
君みたいにきれいに歌うにはどうすればいいのかな?
なんかその……コツみたいなのって、あるのかな?
こつ? ……じょうずにうたう、うたいかた?
首を捻って考えている
んん、と。
まわりのおとがぜんぶ、俺をたのしくさせよーって、うたってる、そのうたをきくんだ。
石もかぜも山もうたってるから、いっしょにうたうんだ。
俺もみんなをたのしくしよー! って、いっぱい思うんだ。
そして、いつもえがおでいるんだ! おどるのもいいね!
よくわからない!
(じょ…上級者向けだ…!!まず感性から違う!)
そ…そうなんだ。と、とりあえずいつもえがおからはじめてみようかな、あは。おどるのはちょっとはずかしいなあ…。
……おどるのはずかしい? なんで? たのしいよ?
えー…と、あまりうまくないから、かな?なれないことするのは、ちょっとはずかしいカンジ…こういうのならできるんだけど。
(と、首からさげてるオカリナをポペ〜と吹いた)
「うまく」するんじゃなくて「たのしく」するんだよぅ。
何でわかんないんだよぅ、と言わんばかりに口を尖らせていたが、
オカリナの音を聞くと一瞬でテンションはMAXに!
わ、わ、わ、ふえだ! いい音! すごい、たのしい音だー!
笛の音に合わせて跳ね踊りながら
そっかあ…テルプ、音楽だいすきなんだね。
あいしてるし、あいされてるってカンジ…。
(楽しそうに跳ねるテルプを見ながら、簡単だけど聞きなれない曲を吹いてる)
笛の音に合わせて、楽しそうに。
部屋の奥から何者かがやってくる
その角・・・翼・・・尻尾。子犬のような大きさではあるが、その姿はまさにドラゴンであった
(小さき竜は見慣れぬ風景に変わったことに気が付き、ふと周りを見回す)
(ここは・・・どこ・・・)
(小さき竜は今日の事を思い出そうとする)
(小さき竜は思い出す。赤髪の少女・・・自分の主人と一緒に森にいった事。途中で主人とはぐれてしまった事。そして主人を探しているところだった事を)
(ナオ・・・どこ?)
(辺りを見回すと、長髪の赤髪・・・主人に似た後ろ姿の子供がいることに気がついた)
(・・・ナオ? ・・・でもこえちがう・・・・・・)
(再び辺りをうろつきつつ、目についたおもちゃ箱を探ると中から見つけたボールをくわえ)
・・・きゅっ
(おもちゃ箱から出ると口にくわえたボールを放り投げる。・・・ボールはダークエルフの少年の足元へ転がった)
(ふと、四足歩行の何かが目に入り)
…!いぬ…!いぬ…!
(動物には恐怖もなく純粋に反応を示した)
おにいちゃん…ねこ…。
(四足歩行は猫か犬扱いらしい)
…なにか、たべるのかな…。
…さっきの (木苺の事らしい) おにいちゃん、まだもってるかな…。
…きいてみる。
(とてとてとオルゴーとネフライトに向かって)…おにいちゃん…。
さっきの…いぬにあげてもいい?
(お…おにいちゃん…!)
(その響きにじんわり心温められ再び目頭を抑え……ている場合ではない!)
(転がってきたボールに気がつくと視線は小さなドラゴンへ)
ちょ、ちょっとまってふたりとも!それ、いぬでもねこでもないから…!
小さいけどドラゴンだよ…!?
え、さ…さっきの木苺?
ドラゴンってそういうのも食べるのかな…もし手を齧られでもしたら…。
(と、言いながらドラゴン見つめるも、ダンジョンで出会う獰猛なそれとはまるで違うように思えた)
い…いちど僕がためしてみる…!ちょっと、まってて。
(手のひらに木苺を乗せ、そろーっとドラゴンの鼻先に近づける)
(……頼むから噛まないでくれよ…あと、丸焦げもごめんだ…。)
(オルゴーくんの足元へ転がってきたボール、その先の生き物に気づいて)
わあ、ほんとうだ、ちいさなドラゴンさんです!
とってもきれいな、みどりいろです……。
(いつか本で見た雄々しい生き物がミニサイズで目の前に居る事に興奮を隠しきれない様だ。その翠の鱗を、紅い角を、綺麗な宝石細工を眺める様に熱心に見詰めている)
ドラゴンよりも、差し出された赤い実に目が行く。
ねねね、ねぇ、それなぁに? きれいだね。たべもの? 俺っちにもちょーだい?
ドラゴンに差し出された木苺を見て、その後ろに並んで、順番を待つ
あ、そうだね、テルプにもあげるね。これ、木苺。見たことない? (そう言うとテルプの手のひらにも赤い実をいくつか)
(受け取った木苺をひとつ口に入れて、目をまんまるにして。
手の上の残りすべてを一気に口に入れる。もぐもぐ)
なにこれ! なにこれ! きいちご! あまい!
(手にほんの少し付いた汁まで舐めている)
(自分が投げたボールにとてとてと近づきボールを咥えた時、ダークエルフの少年と目が合い思わずボールを落とす。彼は、自分の目の前に赤い物を差しだした。・・・それは見覚えのある食べ物だった)
(・・・たべていいかな? ・・・いいよね?)
(木苺とダークエルフの少年の顔を交互に見たり木苺をふんふんと嗅いでいるが、大丈夫そうだと判断すると喜々として・・・しかし手を齧らないように気を付けつつ木苺を平らげると)
・・・きゅ〜♪
(おいしかったのか歓喜の声をあげ翼をはばたかせた)
…………たべた。
(ふと視線を感じ、金髪の少年の方を振り向くと目をぱちくりとし、金色の髪を持つ彼へと近づくと首を傾げた)
(・・・ポカポカする。なんで?)
(彼の周りをぐるりと回り再び首をかしげる・・・彼から心地いい【何か】を感じ取っているが、それが何なのかわからないようだ)
(はばたかれた翼が、みどりの皮膜をきらきらさせるのに見惚れていると)
わ……、
(目の前の素敵な生き物が自分に近づいてきてくれたのに喜びの声をあげ、周りを歩くその動きに合わせて自分も足元に視線をめぐらせる)
ドラゴンさん、こんにちは。わたしは、ネフライトともうします。
(いつも、庭に来てくれる小動物に対するのと同じ様に、にっこりと笑って話し掛ける。そしてそっとしゃがみこんで、驚かさないようにゆっくりと両手を差し伸べ、てのひらで顔を包み込んで撫でようとする)
(ネフライト・・・なまえ・・・おぼえた)
(金髪の少年・・・ネフライトさんに名乗られ、風子はぺこりとお辞儀する。そして撫でられようと身をゆだねようとするが自分が名乗ってないことに気が付き、すっと身を引く)
(・・・ごめん、ちょっとまって)
(再びおもちゃ箱へ駆けていくと散らばったおもちゃの中からクレヨンとスケッチブックを見つけ、スケッチブックを前足で押さえつつ口に咥えたクレヨンで何かを書いている。書き終えるとスケッチブックを咥え、ネフライトさんの元へ戻り目の前にスケッチブックを置き)
きゅー。
(ネフライトさんの周りをぐるりと回った。スケッチブックにはたどたどしい文字でアタシ、フー。 ヨロシクと書かれている)
……、あっ。
(一旦、身を預けようとしてくれたフーさんがふっと何処かへ行ってしまったのを、驚かせてしまったかと心配そうにその行方を目で追う)
ドラゴンさん、なにかかいてる……?
(クレヨンを器用に使うドラゴン、という不思議な光景に思わず見入っていると、書き終わったスケッチブックを見せられて、目をぱちぱちさせる)
わぁ……っ!
みなさん、見てください。ドラゴンさんのお名前、フーさんです!
≪スケッチブックを拾い上げて、皆に見える様に胸の前に掲げて見せた≫
フーさんは、字がかけるんですね。ドラゴンさんってすごいです。
あの、さっきはうさぎさんにするみたいに、急になでようとしちゃって、しつれいしました。
(ぺこりと、頭をさげる)
よかったらあくしゅ、してください!
(微笑んでそう言って、人とする様につい片手を出そうとしたが、これではし難いかとちょっと思案してから両手を揃え、水を掬う様なかたちにして、フーさんへとそっと差し出した)
(すごい? えっへん)
(ネフライトさんが感激する様子を見て自慢げな顔をしている)
(あくしゅってこう・・・かな?)
(ネフライトさんに握手を求められ、前足を上げネフライトさんの両手に前足をのせ、上目遣いでネフライトさんを見つめた)
わあ、よろしくおねがいします、フーさん!
(預けられた前足を両手でつつんで軽く振る。そして、てのひらの中のフーさんの紅い爪と、頭の上で綺麗なカーブを描く角を交互に見遣って)
とってもきれいな、つのとつめですね。このいろ……えっと。
――そうだ! わたしのかあさまが好きなガーネットににています。
もえるみたいな、赤いいろ、とってもおにあいですね。あくしゅ、ありがとうございます。
(見上げてきてくれる瞳を見つめ返してにっこり笑って、その前足をそっと床へ返した)
(ガーネットしらない。 ・・・でもキレイわかる。 ガーネット、キレイ・・・おぼえた)
(ネフライトさんのほほ笑みを見て、自分の主人の笑顔を思い出す)
(ナオもおなじこといった。 だからあたしもツノ、ツメだいすき)
(笑ったように目をつむり、ネフライトさんに前足を床を返してもらうと)
きゅぃ♪
(褒めてくれてありがとう・・・そういう感じに明るい鳴き声をあげた)
(ネフライトの掲げたスケッチブックを見て)
も…文字までかけるんだ?!『フー』…?
すごいなあ…こんなにおとなしくて、かしこいならぜんぜんだいじょうぶ、だね。
(双子たちにも木苺をいくつかわけてあげながら)
(ダークエルフの少年の称賛に尻尾をブンブンと振る。褒められているのはわかるようだ)
字?
(スケッチブックによくわからない線が書いてあるのを見て、俺っちのほうが絵がじょうずだな、ふふん、などと思っている。ちなみに彼の絵は比較的壊滅的な方である)
ふーさんか! よろしくね、ふーさん!
俺っちテルプ! テルプ・シコラだよ!♪
(よろしくね・・・えっと・・・てる・・・ぷ・・・)
(赤い長髪の少年・・・テルプさんに挨拶され、自分も二足で立ち上がると)
きゅ〜。
(よろしくねという感じに鳴き声を上げ、前足を再び地面に戻した)
……きゅ〜♪
ポーズと鳴き声を真似している。
どらごん…?
どらごんってなにかなあ…。
(オルゴーから木苺を貰うと)
ありがとう、おにいちゃん…。
(とお礼を言った)
(ネフライトがスケッチブックを掲げたのをみるが文字が読めない。ただ読み上げてくれたお陰でドラゴンの名前は認識したようだ)
…ふー。…ねこ…。こんにちは…。
…たべる?
(貰った木苺を差し出した)
ふー…。いぬじゃないの?
…たべる?
(同じように木苺を差し出す)
(と、フーと握手をするネフライトの両手に)
…おて…?。
(と呟いた)
(フーさんに木苺をあげる為に自分の傍に来た双子さんたちが、最初よりもずっと柔らかい雰囲気で笑顔を見せている事に嬉しくなり、自分の見た目ももう怖がられていなさそうなのに安堵しながら)
……おて?
おて、ってなんですか?
(呟いたあるばくんに、首を傾げながら問いかける。どうやら彼の家には、お手をさせる様なペットは居なかったようだ)
(双子の少女に食べると聞かれ、急いで双子たちの元へ行くと)
(たべたい! たべたい!)
(尻尾をぶんぶん振りながら期待した眼差しで双子を見つめた。猫や犬と呼ばれたのは全然気にしてない)
(おて・・・それ、できる!)
(双子の少年が差し出した手に右手をポンと乗せ、彼を見つめる。その表情はどこか自慢げだ)
…!おて…!してくれた…。
(ぱぁ…と嬉しそうに)
…いいこ…。ふー、すごいね。
(得意げに見てくるので貰った木苺をまた一つ、あげた)
…うんと…。
(ネフライトに、今ふうこが自分の手にやってくれた動作を見せて)
…これ…おて。
…あくしゅ。
(それから、自分達をさっき気にかけてくれたのに悲しい顔をさせてしまったのを思い出して)
おにいちゃん…さっきの…ごめんなさい…。
わあ、ほんとうです。「おて」も「あくしゅ」なんですね。
(「おて」の方が何だか楽しそうなんだなあ、と思いながら)
あ、はい。わたしは、だいじょうぶですよ。ありがとうございます!
……たいせつないもうとさん、わらってくれてよかったですね。
(自分もおにいちゃん、と呼ばれた事に、ちょっと照れて笑う)
…うん。 …いもうと、わらってくれた。よかった…。 ずっと、ないてたから…。
……ずっと……。 (あるばくんの言葉の響きに、さっき泣いていた事だけではなさそうな何かを感じたが、巧く言い表せずに、呟く様にそう口にするだけになってしまう)
(ずっと泣いていたという幼い女の子は、今は教えてもらった歌を繰り返し口ずさんだりして楽しそうだ)
(みんなと楽しげに遊ぶ子ドラゴンを見ながら)
(フー…ももしかして誰かの子供時代だったりするのかな…。あの赤い角、どこかで見たような気がするけど…)
(持ち前の察しの悪さでまだ気付かないようだ!)
(ぱたぱたと尻尾を振ってる様子に興奮して木苺をあげる)
…はい…!
ふー…いいこ…。
(もう一つくれるの!? ありが・・・)
(もう一つの木苺をもらい早速食べようとするが、この木苺を主人にも食べさせてあげたいと思い再びおもちゃ箱へ。そしてままごと用の木のボールを見つけそれを咥えて持っていくとそれを木のボールに入れて)
きゅぃ!
(木苺を取られないように鳴き声を上げ、木のボールの傍に座り込んだ。どうやら主人にも木苺を食べさせてあげたいようだ)
(あかくておいしいの、たくさんうれしい! ナオ、こないかな〜)
(主人の到着を待つように、再び木のボールの傍に座り込んだ)
…?たべないの?
(木のボールに木苺を入れる様をみて)
…飼い主、いるのかな…。
「まて」みたい。おりこうなんだね。
あかくてあまくて
きーちごーーー ♪
おいしーよー
きーちごー ♪
木苺の美味しさに感動して、先程からずっと適当な歌を歌っている。
歌ってるテルプを見る
おにいちゃんは、えがおにするしごとをしているんだね。
…すごいね。
少しうつむいて
しごと。俺っち、これしかできないから。
俺ねー、石とかはこぶと、息がひゅーーーてなっちゃうから、
みんなみたいにやくにたたなくて。
ぱっと顔を上げると、相変わらずのにこにこ笑顔
でもね、えがおにするのも、いしをはこぶのも、しごとなら、どっちもすごい、よね?
うん…。
おにいちゃんは、えがおにするしごと、すごいよ。
おれたちのおしごとよりずっとすごいよ。
……おしごとは、みんなすごいって。かーちゃん言ってたよ? 俺っちのほうが、とか、ないとおもう…。 (本当は、母の言った言葉の意味はよく理解出来ていないのだが)
ううん…。
…ううん…。
(「みんなすごい、俺っちのほうが、とかない」と言う言葉に、困ったように首を振った)
君のおしごとは、すごくないの?こちらも困ったように首をかしげて でもおしごと、だいじ、だよ。それがないと生きていけないもの。 だから、……生きてるって、やっぱりすごいんじゃないかな…。
うん…。だいじ。しごとしないと、ごはんもらえない。
でも…すごくない。
…なかせるしごとは…すごくない…。
…はやく、おおきくなりたい。
おおきくなって、いもうと、まもる。
…あいつらやっつけるんだ…。
(ぐっと何処か一点を睨みつけて)
しばらく首をかしげていたが、自信なさげに
んーっと、んーっと。 ……いやなしごと。なのかな?
んとね。おおきくなったらきっと何でもできる、けど
いま、がんばってるのは、ちゃんと、いま、まもってるっていうことだよ。
俺っちもほんとうは、
もっといっぱいいろんなことできればいいっておもうけど、
いまの俺はこれしかできないから、だから……
おとなになって、なんでもできるようになれるように。
みんなをもっとしあわせにしてあげるように。
いっしょに、がんばって、おっきくなろうねぇ。
少し真剣に話していたが、最後はにこにこと笑いながら
(こくりと頷く)
おともだちを、なくすしごと。
つれていかれる…しごと。
ここでおともだちになったら、つれていかれるのかな…って。
すこし、こわいけど、おにいちゃん (オルゴーを指して) 守ってくれるって。
うん、おとなになってなんでもできるように。
はやく、なりたい。
…がんばる…いっしょ。
おとなになったら、まもるよ…、おにいちゃんも。
俺っちも、まもってくれるの? えへへ。ありがとう。 じゃ、俺っちは、おとなになったら君のこと、もっとえがおにしてあげる! もちろん、もうひとりも!
うん…!ありがとう、おにいちゃん。
いつか…いつか、きっと。
(にこりと笑いかけた妹の頭を撫でて、笑った)
幼い歌声の方を見て、目を細めているが、
急に思い出したようにくるりと向きを変えてオルゴーさんの方へと。
落ち着きがない。
きーちごーーー
きーちごー ♪
ね、ね、ねねね、にーちゃん。
さっきの、さっきの赤いの、もっと持ってる?
あ、木苺気に入ってくれた?森とかでとれるんだよ。
取り出した木苺をテルプの大きく差し出した両手に乗せて。
(…そういえば彼はどこ出身なんだろう?)
テルプって、どういうトコで暮らしてるの?
森…。知らないなぁという顔でぽかんとしている
俺っちの村? どんなトコ? んっとねー。
だいだいの、おっきい岩がいっぱいあって、
山のかみさまのところにはきらきらの石がいっぱいあって、
もっとおくには火のうみがあって、けむりがもくもくあって、
うらのがけには、とげとげの木と山羊がいっぱいいて、
…そこからとおくを見るとさばくがみえるよ。
身振り手振りを大きく交えつつ説明をしている
……ここ、どこなんだろう。村からすごくとおいよね。
風がぜんぜんちがうもの。──なんだか息もくるしくない。
山、岩、さばく…。へえ、なんだか空気がカラカラしてそうなとこだね。
たしかにそこじゃ木苺はとれないかも…。
息、くるしいときがあるの?びょうき…なのかい?
びょうき? ううん、ちがうよ、かみさまがおこってるんだ。
くるしいのは村のみんなも。
…だけど、俺っちはとくに、すぐうごけなくなっちゃうから、
あんまりかみさまの山にはちかよれないんだよ。
びょうきなのは、かーちゃんの方…。
かーちゃんずっと寝てばっかりで、あんまり動けないんだ。
ふたりそろって山では役に立てないし、
とーちゃんもいなくなっちゃったから…
俺っちもっと村のみんなにいっぱいたのしいうたをうたわなきゃ。
じゃあ、のろい…?っていうのもちょっとちがうのかな…。
(なんだろう…ガスか何かだろうか…過酷な環境なのか)
おかあさんがびょうきなんだ…そっか。
寝たきりでもきっと、テルプの歌に元気づけられたりしてるんだろうね。
うん! かーちゃんは、俺っちのうたとえがおがだいすきなんだって!
みんなをしあわせにするうただって言って、いつもわらってくれるんだ。
わらってれば、くるしいこともかなしいことも、のりこえられるんだって。
俺のうたがかーちゃんの役にたってるなら、すごく、うれしい!
誇らしげに胸を張って、幸せが溢れるような笑顔で。
──にーちゃんのさっきの笛の曲、すごくいい曲だね。
覚えて帰って、みんなに聞かせてあげよう♪
へえ…!(健気さと明るさに胸を打たれつつ)
それじゃあテルプが歌いつづけるかぎり、
村のヒトもおかあさんもみんなしあわせ、だね!
うん、僕の村の曲、ぜひもってかえってよ!テルプの曲とこうかん、だね。
(と言うと、たどたどしくさっき歌っていた曲を吹いてみる)
わ、じょうずだ!
──俺っちのうたが、村を出て、どこまでもいくんだね…。
とーちゃんにも、とどくといいな。
はるか遠くを夢見るように、ふと空の描かれた天井を見上げ
…にーちゃん、なんでふえなの? うたわないの?
歌はヒトからヒトへ、たびをするからね。
「ぎんゆうしじん」ってしってる?みんなに歌と音楽をとどけるヒト。
そういうヒトになりたいんだけど…う…歌はまだシュギョーチューだから…(もじもじ)
みんなにうたをとどけるの? いいな! 俺っち、ぎんゆうしじんになりたい!
あ、でも、と顔を曇らせて
俺っち村から出たらおこられちゃうから…
じゃあ、にーちゃん ぎんゆうしじん になってよね!
いっぱいシュギョーして、俺のうた、ずーっととおくまで、
……俺の行けないとおくまで、とどけてね。やくそく、ね、おねがい!
小指を出したその表情は、今までになく真剣なもので
(彼の未来の姿を思い浮かべるも、その真剣さに押されて何も言えず)
わ…わかった!
がんばって『ぎんゆうしじん』になるよ。やくそくする!
僕らのじゅみょうはながいから、ずっととおくまで、ずっとさきまで歌をとどけるよ。
(思わず真剣な顔で指切りをする)
うん、やくそく! (指切りした手を、ぶんぶんと大きく上下に振る) にーちゃん、ありがとう! 俺っちの分まで、おねがいね!
うわわ、う うん!(勢い良く振られた手に振り回されながらも頷く)
せかいじゅうをたびして、いつかテルプのむらにもいけたら、いいな!
俺っちの村、外のひと、きたことないや。
村の外は砂でいっぱいであぶないんだって。
でもにーちゃん、おとなもやっつけられるくらいつよいならだいじょぶかも!
ね、きをつけて、あそびにきてね!
勝手に強いことにされている
(なんか凄く強いことになっていないか…俺…)
砂がいっぱいかあ…ふくざつなばしょにあるのかな…テルプの村は。
ううん、がんばる!がんばって見つけるよ!まっていてね。
約束を交わし。遠いテルプの村へと想いを馳せながら。 丁度会話が途切れたらしいネフライトの方へと向き直る。
……それにしても君のおうちってさ、すごくおおきそうだよね…?メイドさんとかいっぱいいるの? (ネフライトの身なりからあれこれ推測しながら)
ええとメイドさんたちは――、あとおりょうりばんさんの――、しつじさんの――……、
(指折り数えながらそうやって挙げられた人数からすると、そこまで大規模な屋敷ではなさそうな印象を受ける。主人と使用人たちの距離もだいぶ親しげな事を感じ取れた)
お庭のお花を育ててくれているレジーさんが、わたしによくこう言ってくれます。
「だんなさまとおくさまのようなかたのそばではたらけて、ワシはしあわせだ」
「ぼっちゃん、おふたりをよくみならわなきゃあならんですよ」……って。
(レジーというその、庭師の老人らしき穏やかな口調を再現する様に、少し芝居がかった風に話してみせる)
ぷふっ…レジーさんってそんなかんじのヒトなんだ?なんだかみんな、なかがよさそうだね。おおきな家族みたいだ。 君、兄弟とかはいないの?
レジーさんは、とうさまがこどものころからお家にいてくれてるんですよ。おかおはちょっとこわいけどとってもやさしくて、大きなお花をさかせるめいじん、なんです。
(まるで自分の祖父の事を自慢する様に、楽しそうに話す)
はい、みんななかよしです。わたしにきょうだいはいないですけれど、とうさまもいつも、みんなをかぞくだとおもいなさいっておっしゃいます。
オルゴーさんは、ごきょうだいはいますか?
へえ、そのお庭見てみたいけど、いきなり僕がたずねていったら君の家のヒトはびっくりするだろうね。
僕も兄弟はいないけど、村の年下のコとかはみんな弟とか妹みたいなものだね。>うん、僕のところもでっかい家族みたいなかんじ!
ああでもみんななまえで呼びあうから…「おにいちゃん」って呼ばれる機会はないんだよなあ…
(さっき双子から呼ばれたのを思い返して照れ照れニヤニヤしてるその姿は大人でなくてよかった)
(「おにいちゃん」と呼ばれた事をとても嬉しそうにしているオルゴーさんの様子を見て、目をぱちぱちさせて小首を傾げて少し考え込んでから、ぽそっと口を開く)
……オルゴーにいさま?
(ふと聞こえた「オルゴーにいさま」という単語をオウム返しのように)
にいさま…?
「おにいちゃん」の、べつのよびかた、なんですよ。
(そう、あのちぇちゃんに教えてあげながらオルゴーさんの方へ振り返ってにこやかに)
ね、オルゴーにいさま!
会話を聞きつけて、オルゴーさんへ向かって ……にーさま?
うぐっ…?!
(続けざまに言われた『にいさま』の言葉に思わず胸を押さえる。何かにズギューンと来たようだ…)
に…にいさまってなんかそれ…僕までイイトコのコみたいだね…!?
あ、ああでもみんなと見ためはそんなにかわらないしさ、よびすてでもいいんだよ。
(ズギューンが取れないままへにゃへにゃしまりのない顔で笑う)
イラスト:ジョブチェンジャーズ さま
(照れている様子に首をかしげ)
…おにいちゃん?
にいさまコールにへにゃへにゃのオルゴーくんに首をかしげつつも。
わたし、みんながびっくりしないように、オルゴーさんはおともだちです、ってしょうかいしますね。……あっ、
……あの、おともだち、で、いいんでしょうか……。
(ちょっと不安そうにしながら、遠慮がちに)
うん、もちろん!ネフライトと僕はもうともだち、だよ。 …あらためていうと、なんかてれるけど…あはは。
(ともだちだよ、と聞いてぱぁっと笑顔になって)
わあ! わたし、はじめておともだちができました!
あの、いつかわたしのお家に、ほんとうにきてくださいね。
わたし、とうさまやかあさまやみんなに、とってもやさしいエルフさんなんですよ、ってオルゴーさんのことをじまんします!
見ためがおなじくらいでも、エルフさんだからほんとうはおにいさん、なんですよね?
じゃあやっぱり、オルゴーにいさまです。
わたし、おともだちだけじゃなくて、おにいさんもできちゃいました!
(一緒ににこにこしながら)
僕もきょうだけで、かわいい弟と妹がたくさんできたカンジするよ…。
村の同胞…みんなにもじまんしたいぐらい…。
(まだ顔がへにゃ〜っとしている…!)
ネフライトのお家に…うん、じゃあそれは2つめのやくそくにしよう。
なにかおみやげ、もっていかないとね!なにがいいかな〜、森でとれたくだものとかかなあ…。
やくそく……ふたつめ……。
(感慨深そうにそう繰り返して、心底嬉しそうに、ほわっと笑って)
――やくそくって、すてきですね! どきどきして、そのときまでずうっとたのしみです!
わあ、おみやげうれしいです。エルフさんの森だったら、おいしかったりきれいだったりふしぎだったり、わたしがしらないくだものがいっぱいありそうですね。
きっと、サムさんがはりきっておいしいおかしにしてくれますから、おやつのじかんにいっしょに食べてください!
あ、あと、お庭も見てもらいたいですし、それからわたしのおへやにも……、
(楽しい想像が止まらない様子で、したい事を指折り数えて挙げてゆく)
うん、大人になるまでずっとずっとたのしみにしててね。僕も、たのしみ。
…………でもきっと、あっというまなんだろうな。
(教えられた歌をたのしそうにずっと歌っていたが、ふと、振り返ると兄とテルプが自分のほうをみていたので、こてん、と首を傾げて近づく)
おうた…またおしえて…。
おうた、たのしい。
(くいくい、と服を掴んでひっぱった)
たのしいでしょー。 よかったら、もっといろんなうた、おしえてあげる。 俺のしってるうただけだけど。 なきたくなったら、うたえばきっと、しあわせになれるよ。君も、みんなも!
うん…!たのしい…!
(とてとてと、周りからおもちゃの楽器らしきものをもってくる)
わたし、なくのがまんする…!
ないちゃうときは、おうたうたう…!
だから、おにいちゃん、もっとおしえて…!
うん! いっぱいおしえてあげる!
……けど、んとね、んっとね、こころのなかからおんがくって、でてくるんだよ。
きみだけのうたが、うまれてくるよ。
おほしさまよりもいっぱい! きみのおとがあるから。
だからずっと、ずっと、いっぱいえがおでいられるからね。
大きく手を広げるジェスチャーで
こころ の なか?
(まだ幼すぎて意味がわからず、ぱちぱちと瞬きをする)
よく、わかんないけど、えがおになれるの、わかる!
(それからちょっと考えて、さっきの歌を歌うと…あるフレーズから全く違う音と言葉を歌い始めた。
心に浮かんだ事を並べただけの、むちゃくちゃな歌…。だが楽しそうだ。)
…うん!なんか、いま、わかった!
おにいちゃん、すごいね!
すごいでしょーーー♪
うたはいつだって、君のそばにあるからね。
だから、いっぱい、わらって?
むちゃくちゃなうたに、むちゃくちゃにあわせて、不協和音でも楽しそうに
楽器になりそうなものを叩いたりして…
楽しそうな、賑やかな音が、不思議な子供部屋に響いていた。
……さて、そこに、またひとり新しい子が来たようだ。