吟遊詩人たち、歌う
第一期:冒険のはじまり

いつでも楽しく歌うのは、吟遊詩人仲間たち。


天野と赤坂が喧嘩している間、テルプは吟遊詩人たちと冒険へと出かける。
お気に入りの行き先は、妖精族の箱庭だ。
ここは昔、エルフが住んでいたと言われている。
花は咲き、水は澄み、美しさを凝縮させたようなその風景の中で歌う
そんな時間は彼にとって最高に楽しい時間で。
中でも、特に気の合う仲間が、この3人だった。

ここからしばらくRP部分はかげつきの捏造となります。
各キャラクターのセリフは、普段の言動や冒険中のセリフなどを参考にさせていただいております。

彼の奏でる音楽は、体の中でくすぶっている炎を燃え上がらせる様。
思わず身体が前に出るような、勇気の出るようなその音色は、
技巧のみが生み出すもので、魔法の力に全く頼らぬ音なのだった。
しかし彼は、自分の演奏を二流と自称する
彼がかつて見ていたもの、目指す「一流」の高みが、どれほどのものなのか
それは彼自身にしか分からないのだろうけれど。
クラン「穀潰しどもの寄合所」 フェリクス
冒険者の酒場で歌うのが本職の吟遊詩人。好奇心旺盛。
仕事もそこそこに、面白いネタを求めて冒険に出る。
英雄譚なんかよりも、そいつの恥ずかしい話を歌いたい。

おずおずと前衛に配置されたのは紅一点、赤いマフラーの少女。
普段は後衛を務めるが、この吟遊詩人ばかりのパーティは、基本的に非力で体力の少ない者ばかりだった。消去法的に彼女が前に立つ事となる。
しかし女の子に前衛を任せ、後ろで楽しそうに歌っている男ども、という絵は、傍から見るとどのように映るのか…。
特に彼女の双子の兄…アルバへの印象は、恐らく最悪の物だろうと思う。
特にアルバはパーティの最前に立ち、全員を守るタンク職だったから。
クラン「とある孤児院より」 アノチェセル
大人しいが、歌うときは一生懸命。
話す時にはいつもどもっているが、歌をうたうときだけは流暢に口が動く。
歌うことが、何よりも好き。

癒やしの光に包まれると、皆の傷が治っていく。
長い寿命を持つ精霊族…ダークエルフであるのだが、
物語に聞き及ぶような神秘的で荘厳な雰囲気とは程遠い、人のいい笑顔を浮かべる青年だ。
とは言っても、実際の年齢は見た目よりも随分と高いのだろうけど。
詩人志望である、というのをどこかから聞きつけたテルプが冒険に引っ張って来たのだが…。
クラン「ジョブチェンジャーズ」 オルゴー
ヒーラーのダークエルフ。癒やしマニア。
本当は冒険者より詩人になりたい。歌のレベルはだいぶひどい。

さぁさ、俺の歌、聞いて?
足が、すくんで、動けない……でしょ?

歌に魔力を乗せる。
彼の歌は催眠術や幻術の類で、敵に恐怖を植え付けたり、味方の力を増幅させたり、
様々な効果を「思い込ませ」「騙して」その力を発揮する。
テルプ曰く、
”思い込みの力って、すごいんだぜ?
普段の自分には絶対不可能な事だって、出来るようになる”
そんな事を言いながら、戦うのに必要のないきらきらした綺麗な幻を出してみたり、意味もなく歌ってみたり。
冒険者として仕事をしている感覚はまったく無いようだ。

いやー、アタッカーさん雇うの、すっかり忘れてたねぇ♪
あっはっは、と、悪びれず、笑う。

吹き飛ばされた魔物たちは、撤退する事を決めたようだ。
ここは随分ランクの低いダンジョンである。魔物もそれほど危険な者は居ない…
とは言っても、それは「冒険者にとって」という注釈は付くのだが。
駆け出しとはいえ、アタッカー不在とはいえ、
冒険者として少し経験を積んだ彼らの敵では無かったようだ。

や、やったね♪
怒ってるの見たことないけど……怒らせないように気をつけないと、かな?

イラスト:かげつき


そんな風に、テルプは楽しい日々を過ごしていた。
彼の髪に付けられた、色とりどりの鈴もうきうきと、シャラシャラと、小さな音を奏でる。
一方。かげつきのクランが挑むダンジョンは次第に険しく、危険度は上がっていく。
天野率いるパーティが、エイワスのダンジョン深くで全滅したのも、この頃だった。
幸い死人は出なかったのだが、冒険が死と隣り合わせである事を、
否が応にも思い知らされる出来事であった。

うわぁ…全滅したああ 誰だよぬるいとか言ってたの〜
同行してもらった方にも申し訳ないぜー。

う…む。己(おれ)の慢心が招いた結果である。
誠に申し訳ない。
考えを改めなければならぬ、な。
何よりも、己(おれ)の修行不足が目立つ。あの程度の攻撃を防げず何が壁か。

まぁぶっちゃけ現状、鍛える(レベル上げ)にはいい感じだしー
雇用費抑えたいしー。俺たち3人+傭兵さん1人。
たまに全滅する程度ならこの方針でいいんじゃね? って思ってる俺っち。
ただし傭兵さんが死亡フラグ付けてない事前提で。
ていうかリーダー最近(っていうか再構築してから?)やわらかくなってない?
はずしちゃったけど「鉄壁」結構重要?
赤坂っちも他の傭兵さんに比べて治癒の術が弱く感じるんだけど、経験が浅いせいかなー。

先日の戦いの記録を見ていましたが、……多分、敵の指揮能力が高いのが問題なんですよ…。
あちら6人の力が合わさると、すごいことに。
プレイしてた人は分かるかもですが、ジョリー・ロジャーだったかなぁ
ううーん、天野さんは攻撃を捨ててやはり完全に守り、あるいは支援に回ったほうが良いように思います。
(天野の粉砕+EXゲージ回復は消す→威圧+発動あたり? それに伴いテルプの鼓舞は他の支援系に変更)
……別に、戦いの分析をしている訳ではないですよ。数値とか見るのも苦手ですし。
僕は出来るなら、死人を出したくないだけですし。
あとは、……最低でももう一人傭兵さんに来ていただくことを強く推奨しますね。

………………。
赤坂の意見はしっかり反映させて頂く。
すまない。
有難う。

だから。別に。

てゆーか!
天野っち、左手、装甲補助(防具)付けてねーじゃん!

………………む。

えーーーーーー…………
えーーーーーー…………
えーーーーーー…………

…………す、すまない。
THE 装備ミス
-------------

石化罠怖すぎるぜ…
俺っちテントいっぱい買い込んで、ダンジョン連戦するんだ…。
二回分くらいしか買えない貧乏クランだけど。
うっかり通常冒険でテント使っちゃって、ちょっと笑ったぜ。わらったぜ…。

…泣くな。
そういえばやっとらんく7だんじょんが適正れべるとなった。
己(おれ)達は転生もしていないので、のんびりしすぎの気がするな。気合を入れねばならぬ。

相変わらず、やや無茶な進撃を続けるかげつきのクラン……むしろ天野。
少し安定してきては、また全滅。そんな繰り返し。
ヒーラーである赤坂は、味方が傷付く度に、助けられぬ度に、自分の力の無さを実感し続けていた。
ひとつ階層を進む度、自分の治癒の光が間に合わぬ度、届かぬ度に、拠点に戻っては自分の無力に苛立ち、……それでも、仕方ないのだと自分を納得させる様に。

……くっそ!
(拳で壁を思い切り殴りつける)
……ほんのちょっとでも、守れる力、とか。
……おこがましいな、僕は。

戦闘不能者を出して何とか撤退する、そんな時も。
何かを踏みつけて 何かを手にいれて♪
どれだけ汚れてたって これは誰かを救うもの♪
ほら皆の喜ぶ顔が見えるよ
そんな裏側の出来事なんて
気にしなくても だいじょうぶ♪
忘れて笑えば だいじょうぶ♪
彼は楽しそうに歌いながら。

二度目の【偉業】の通達。
アティルトのダンジョン、央権人王の試練場を最下層目指して進む。
資金も戦力も足りぬ中、体力と気力を振り絞り必死で辿り着いた先は。

あてぃると央権人王の試練場三十九階にて終了。よりによって己(おれ)の戦闘不能に依る撤退。
…仕舞いだ。此処までという事だな、今の所は。
(言外に、次は違う、という意思を含ませながら)

何だか僕の戦闘行動判断※戦闘スタイルも微妙にミスってましたしね。
取り敢えず天野さんはしばらく両手装甲補助装備で行ってみます?
連携を期待しての攻撃行動と、どちらがいいのでしょうね。傭兵さん次第でしょうか。
そして、スキル枠がいっぱいで他のスキル取れないなぁー、とか思ってたのですが
よく考えたら前提条件の回復とか消しちゃってよかったですね。どうせ治癒陣しか使ってませんしね。
装甲術を学んでみました。これでもう少し防御も上手くなるのではないかと。
(RP掲示板といいつつその場のノリですっごいメタに寄る半端な掲示板ですみません)

メタといえば、戦闘中「○○は何も出来なかった」って時の「ぴょこん」ってなるの、かわいいよねー。

あ、そうだ!
俺っちほとんど、敵の奇襲、察知してたんだぜ!
ほめてーほめてー♪

うむ。

もっとーーー
こころをこめてーーーー
ほーめーろーよーーーーーーー

うむ。

(((.-.)(:I )(゚‐゚)( I:)

相変わらず、ダンジョン深く潜り続ける天野とかげつきのクラン。
彼の求めるのは名声なのか。
テルプ・シコラは今日もまたふらりと出かける。
天野と赤坂が無言で睨み合う、息の詰まりそうなこの場所を出て、目指すのはいつもの仲間の場所。
大好きな歌が響く場所。


そういえばさ、フェリクスのクラン、今パティラを拠点にしてんだっけ?
俺っちのトコも、今ここなの。
ねねねねね、遊びに行ってもいーい?
何かさ、小耳に挟んだんだけどー、そこの寄合所で、楽しそうな遊び、してんだって?

はぁ? 賭博?
神父が? 神父が何で。罰当たりだなぁ。

3人の会話が聞こえたのか、乾燥食の準備をしていたアノチェセルが顔を上げる。
し、神父さん、知ってるよ。ロランさん。と、時々、雇わせてもらってるの。
け、敬虔で、優しくて、た、頼りになる人だよね。
で、その神父さんがどうしたの? と、彼女には罰当たりな部分が聞こえていなかったようで。こてりと首を傾げる。

あ、あーーー、そっかー。
頼りになる人なんだー?
少女の夢を壊してはならぬ気がして、話を合わせてみる。
首を傾げて、再びキャンプの用意に戻る彼女を見送り、フェリクスの耳元で。
……んじゃ、さ、今度、遊びに行ってみるね♪
小声でウインクして見せるのだった。


賭博場……もとい、「穀潰しどもの寄合所」クランロビーは、連日大変な賑わいを見せていた。
この賭博場の主催者である神父ロランは……賭け事が好きだという割には非常に、
何というか、運に見放されたというか。逆に笑いの神に愛されてしまったというか……。
まぁ腕前がよろしくないというか。
はじめてここへと訪れたテルプにも、ロランは優しく簡単なゲームで相手をしてくれた。

こんちはー♪ よくフェリクスにはお世話になってるよ。
近くに来たから、寄らせてもらったんだ。この辺、俺っちの地元に似た雰囲気だから、落ち着くよー。
面白いことやってるってんで、俺っちもまーぜーてー♪
俺っちこういうゲーム初めてだから……すっごく簡単なやつで!
コインを投げて、裏表を当てる、そんな簡単なゲームを。
掲示板のダイス機能を使ったゲームでした。

おお、フェリクスの同業の。砂漠がご出身なんですか。
こちらに来たのは殆ど観光みたいなものですけどね。
特産品に興味があったみたいで…。まあいずれセリオンに戻りますよ。
賭けは初めてですか?最初はそういう単純なのがいいですね。
そして運だけなら私でも勝てる可能性があります!いざ!

あっはっは、じゃあ折角だしもっかい勝負だー♪
見よう見まねだけどカードとか使ってみよう!(カードシャッフル)
引いた数字の大きい方が勝ち、とかでいいのかな〜?
俺っちの故郷の周りに、砂漠が広がっててね。
少々住みにくくはあるけれど、そこに生きる人達の強さ、溢れる生命の輝きはパワフルで、
他の街に代えがたい魅力があるって、俺っちは思うぜ。
太陽のー♪ 光に灼かれー♪ 緑は枯れ果てたー♪ 砂のー大地にー♪
【適当な歌に魔力を込めて、幻を生み出して誤魔化しつつ
カードを引く際に数字をこっそり確認】※イカサマしてます…

そうよ、俺っちの歌は、みんなを、幸せにする歌なのさぁ♪
(リュートをひとしきりかき鳴らした後)
……にーさん、いい人だねぇ。
俺っちにーさんみたいな人大好きさぁ♪
また遊ぼうね♪
(手に入れた賭け金をチャラチャラ鳴らしつつ手を振ります)

…なるほどな。そういう方法もアリかぁ。やっぱすげーなお前!
(テルプさんのイカサマを見てメモ)
ん?なんだよおっさん。歌のメモに決まってんだろ。
いい人だってよ。日頃の行いのおかげだな。

賭博場に集まる面々は個性的で、楽しくて。
テルプが、神父ロランに紹介された教会に行ってみようと思ったのは、そんなある日の事。
なんとなくふらりと。信仰心なんてもちろん無くて。
告解室、という部屋を見つけたのも、たまたまだった。

ん? ナニコレ向こうに誰が居んの?
何かいいにおいするよね何食べてんの? 俺っちにもちょーだい?
無遠慮に壁をつついたり叩いたり向こう側を覗き込もうとしたり、
ひとしきりキョロキョロうろうろした後やっと腰掛けて

へーぇ、神様に。お話、出来るんだ。…別に、お話するような事も無いけどねぇ。
そうだ! ねぇ俺っちの歌、聴いてよ。
神様に、聴いてもらえる機会なんて、そうそう無いもんねぇ。
(狭い空間にリュートの音色が響く。
明るく、楽しげなスピード感溢れる曲調に合わせて
小さな声で歌をうたう。それは神様を讃える歌だった)

……何度も、なんども、歌ったんだ。
届かなかったけど。

(かすれた声でつぶやいた後、ぴょこんと席を立つといつもの調子で)
では神様! 俺っちの歌、お気に召したならばどうか御慈悲を!
投げ銭でも何でも、いつでも待ってるよ〜♪

みんなでわいわい遊んだ後は、詩人仲間と冒険で歌って。
しあわせだった。

雇用費3000弱に対して収入200弱とか、ひどい冒険をしているぜ。

仕送りもしなきゃいけないのに。……それでも、楽しければいいだろう?
笑っていれば、何とかなるさ。いつだって彼はそう考えていたのだ。
しかしその均衡が崩れる日は、思っているよりもずっと早くやってきた。
それはかげつきのクランが、まだ見ぬ深部のダンジョンに挑んだ、その日。

──すみません。
すみません。すみません。僕が。
僕が。
僕が間に合わなかった、から。
ダンジョンに、座り込んでしまった赤坂の横に。
力無く横たわる、テルプ・シコラの姿があった。